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競売とは住宅ローン回収の最終手段!流れやリスク、回避策をわかりやすく解説

更新日 2025-08-06

瀧 基洋

記事監修者

瀧 基洋

バブル崩壊を経験し、住宅販売・仲介・開発に従事。
事業破綻による住宅ローン問題を機に任意売却に注力し、返済相談を支援。

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「住宅ローンの返済が厳しくなってきた.」
「このまま滞納を続けるとどうなるのだろう」


このような不安を抱えながら、最終的に「競売」という手続きに進む可能性について調べている方も多いのではないでしょうか。競売手続きが、具体的に自分や家族にどのような影響があるのか、疑問をお持ちになる方は少なくありません。


競売は債権者が裁判所を通じて行う強制的な売却手続きです。しかし、決して避けられない最終手段ではありません。競売になる前には複数の段階があり、適切な対策を講じれば、回避できる可能性があります。


この記事では、競売の基本的な仕組みから実際の流れ、そして競売を避けるための具体的な方法までをわかりやすく解説します。住宅ローンの返済でお悩みの方は、今後の選択肢の理解や最適な解決策に向けて、ぜひ参考にしてみてください。


競売とは?

競売(けいばい・きょうばい)とは、債権者が裁判所に申し立て、債務者の不動産を差し押さえて強制的に売却する法的手続きです。


住宅ローンなどの返済ができなくなった場合には、債権者である銀行が債務を回収するための最終手段として行います。裁判所が主導となって不動産を売却し、売却代金を債務の弁済に充てる仕組みです。


競売は入札形式で行われ、最高価格を提示した人が落札者となります。債務者の意思は一切考慮されず、すべて裁判所の権限で進められる強制的な法的手続きです。


売却価格が市場価格の約6割になるケースが多く、債務者にとっては本来の売却価格を下回る実質的な損失になるため、大きなリスクを伴います。競売について理解しておけば、万が一の際に事前に対策できるでしょう。


住宅ローン滞納から競売完了まで

住宅ローンの滞納が始まってから競売が完了するまでには、複数の段階があります。各段階で適切に対処すれば、競売を回避できる可能性があります。


ここでは、滞納開始から競売完了までを時系列に沿って見ていきましょう。


銀行から返済を迫られる

住宅ローンの滞納が始まると、まず銀行から返済を求める連絡が来ます。


滞納1ヶ月目:電話による返済見通しの確認
滞納2ヶ月目:督促状が届く
滞納3ヶ月目:督促状が複数回届いたあとは催告書が届く


はじめの督促状では、厳しい文言が使われていません。ただし、滞納が長期化すると「このまま支払えない場合は一括返済を求める」といった内容が記載されるようになります。


期限の利益喪失による一括請求

滞納が3ヶ月を超えると、銀行から「期限の利益喪失通知」が届きます。期限の利益とは、住宅ローンを契約通りに分割して返済できる権利です。


期限の利益喪失通知の内容は、住宅ローンの残債全額を一括で返済するように求められています。なぜなら、期限の利益喪失は、分割払いできる権利がないことを意味し、一括返済しなければならない状況になるためです。


代位弁済

期限の利益を喪失すると、保証会社が債務者に代わって住宅ローンを金融機関に一括返済する「代位弁済」を行います。


代位弁済が行われると、債権者は銀行から保証会社に変わります。保証会社は銀行よりも積極的に債権回収する傾向があるため、回収の動きが加速化するでしょう。


競売申立て

代位弁済後、保証会社は回収できる手段がないと判断すると、裁判所に対して競売の申し立てます。裁判所が申し立てを受理すると、競売手続きが開始されます。


申し立てから数週間程度で、裁判所から債務者に対して競売開始決定の通知が送付される流れです。


競売開始決定

裁判所から債務者へ「競売開始決定通知」が届きます。競売開始決定通知には、競売に至る理由や対象不動産の詳細、債権額などが記載されています。


裁判所主導による法的手続きが開始され、スケジュールも作成されており、中断は極めて困難です。


現況調査・評価

競売開始決定から1~2ヶ月程度で、裁判所の執行官や不動産鑑定士が物件の現況調査に訪れます。競売での売却基準価額を決定するために行う調査と評価は、以下のとおりです。


建物の状況
各部屋の状態
周辺環境の調査


また、売却物件の情報として現状の写真撮影も行います。債務者に立ち会いの義務はありませんが、拒否しても強制的に行われる厳しい調査です。


入札開始

現況調査後に裁判所から「期間入札決定通知書」が届きます。期間入札決定通知書には、入札期間や開札日、売却基準価額などが記載された文面です。


通常1〜2週間程度の入札期間中に入札希望者が裁判所へ入札書類を提出します。


開札・落札

入札期間終了後、開札が行われ、最高価格を提示した人が落札者です。


開札日の前日までであれば、債権者の一存で競売を取り下げが可能ですが、開札日以降の取り下げは困難になります。


立ち退き

落札者が代金を納付すると所有権が移転し、元の所有者は速やかに退去しなければなりません。退去を拒否した場合、落札者が裁判所に引き渡し命令を申し立て、強制執行により立ち退きを求められます。


引っ越し費用の援助などは交渉できません。また、次の住居が決まっていなくても強制退去となるため、債務者にとって大きなデメリットとなります。


競売手続きになる4つのリスク

競売手続きが開始されると、債務者には多くのリスクが生じます。リスクを事前に理解しておくと、競売を回避する必要性がより明確になるでしょう。


ここでは、競売手続きで生じる主要な4つのリスクについて詳しく解説します。


競売での売却価格は市場価格よりも低くなる

競売で売却される不動産は、市場価格の6~7割程度で取引される傾向です。入札形式での売却であり、通常の不動産売却と異なり、買主との価格交渉ができないためです。


適正価格での売却ができず、売却後も住宅ローンの残債が大きく残る可能性が高くなります。自宅を売却されたにもかかわらず、住宅ローンが多く残り、債務者にとっては厳しい状況です。


プライバシーが侵害される

競売情報が裁判所のウェブサイトやBIT(不動産競売物件情報サイト)に個人情報を含めて公開されるため、プライバシーの侵害になってしまいます。


住所や外観写真、間取り、売却基準価額などが誰でも閲覧できる状態のため、近隣住民に競売の事実が知られてしまうでしょう。


プライバシーが大きく侵害され、精神的な負担と社会的な信用失墜につながりかねません。


落札後の退去スケジュールが強制的に決まる

競売の落札後は、代金の納付と同時に所有権が落札者へ移転します。元の所有者は裁判所の決定に従って速やかに退去しなければなりません。


引っ越し先が決まっていないなど債務者の都合は、一切考慮されないで立ち退きを求められます。退去を拒否した場合、落札者から裁判所へ引き渡し命令を申し立てられ、強制執行による強制的な退去させられます。


売却後の返済負担や立ち退き費用がかかる

競売は市場価格より低く売却されるため、売却後も多額の住宅ローンの残債がある状況です。住宅ローンの残債には返済義務が継続し、保証会社や債権回収会社からの厳しい取り立てが続きます。


また、引っ越し費用や立ち退きにかかる諸費用は、すべて自己負担です。金銭的に苦しい状況で、さらなる費用負担が発生し、生活再建がより困難になりかねません。


競売を避けるための具体策3選

競売による売却は避けられないものではありません。適切な対策で競売を回避し、より有利な条件で問題を解決できる可能性があります。


ここでは、競売を避けるための主要な3つの具体策について詳しく見ていきましょう。


住宅ローンの返済条件変更を依頼する

住宅ローンの返済が困難になった初期段階で、銀行へ返済条件変更の依頼を検討します。多くの銀行では、債務者の収入状況を考慮して返済計画の見直しに応じてくれるケースが多くあります。


返済条件変更の主なパターンは、以下のとおりです。


元金棚上げ
一定期間における元金返済を止める。
返済減額
月々の返済額を一定期間だけ減額する。

収入が回復するまでの間に返済負担を軽減し、期間経過後の返済が正常化できる見通しが必要になります。このため、将来的な返済能力の回復見込みや実現可能性のある返済計画を提示することが重要です。


任意売却手続きにより競売より高く売却する

任意売却は、住宅ローンの支払いができなくなった際に、債権者の合意のもとで不動産を売却する方法です。競売とは異なって買主との交渉が可能であり、市場価格の8~9割程度で売却できる可能性があるため、競売より高値で売却できます。


また、売却後の残債についても債権者と返済条件の交渉が可能で、現実的な返済計画を作成できるでしょう。ただし、任意売却を成功させるには、競売の開札日前日までの手続き完了が重要です。


専門的な知識が必要であり、任意売却の実績が豊富な不動産会社や専門家への相談が欠かせません。早期の相談により、より多くの選択肢を確保できるでしょう。


任意売却については以下の記事を参考にしてみてください。


関連記事:任意売却とは?メリット・デメリットや競売との違いをわかりやすく解説!


債務整理により住宅ローン返済を優先する手続きを行う

債務整理には主に個人再生と自己破産の2つの選択肢があります。


手続き 債務の扱い 自宅の扱い
自己破産 全ての債務を免除 処分される
個人再生 住宅ローン以外の債務を大幅に減額 所有権を維持できる
(住宅資金特別条項利用時)

個人再生は「住宅を残したい場合」、自己破産は「すべての債務をリセットしたい場合」の選択肢となります。どちらも専門的な法的知識が必要なため、借金問題に詳しい司法書士や弁護士への相談が欠かせません。


住宅ローン返済中の個人再生については、以下の記事を読んでみてください。


関連記事:住宅ローン返済中でもできる!個人再生で自宅を守る方法を徹底解説


競売に関してよくある質問

競売について調べている方から寄せられる代表的な質問をまとめました。


競売にかけられる理由とは何ですか?

自宅が競売にかけられる主な理由は、一般的に住宅ローンの返済が滞っているためです。住宅ローン滞納から半年近くが経過し、銀行より期限の利益喪失が通知されると、競売手続きを意識するようにしましょう。


競売をかけられたらどうなりますか?

強制的な法的売却手続きになり、所有者の意思が考慮されません。売却価格も低くなり、残債が多くなる可能性が高くなります。また、情報が公開されるため、プライバシーの侵害が生じかねません。


落札後は速やかな退去を求められ、最悪のケースでは強制退去になる可能性があります。


競売開始決定通知が届いてもまだ間に合いますか?

任意売却なら開札日前日まで間に合います。また、個人再生であれば、競売中止命令を出してもらうことで一時停止が可能です。ただし、どちらも迅速な対応が必要なため、競売開始決定通知が届いたらすぐに専門家に相談しましょう。


まとめ:住宅ローン滞納により競売手続きとなる前に早めのご相談を

住宅ローンの滞納から競売までの期間は長く、それぞれの段階で適切に対策すると、競売を回避できる可能性があります。


具体的な方法として3つ紹介しました。


返済条件変更
任意売却
債務整理


いずれも銀行または専門家への早期相談が重要です。時間が経過するほど取れる手段が限られるため、住宅ローンの返済に不安を感じたら、まずは相談から始めましょう。


一般社団法人全国任意売却協会では、住宅ローン滞納でお困りの方に無料相談を行っています。競売を回避する最善の解決方法をご提案しますので、お気軽にご相談ください。


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