離婚時に任意売却を選択するべきなのか?メリット・デメリットを解説!
更新日 2025-06-26
住宅ローン危険度診断
・離婚時に任意売却を選択すべきなのか?
・任意売却をした方が良いケースとは?
・離婚時に任意売却を選択したときのデメリットは?
最近離婚をされた方、もしくは離婚を検討されている方の中で、このようなお悩みをお持ちの方は多くいらっしゃると思います。
離婚時には、住宅に関するさまざまなトラブルが起こるものです。
離婚で財産分与を行うときに、任意売却によって不動産を売却することは1つの選択肢といえるでしょう。
そこで、本記事では、離婚時に任意売却した方が良いケースや、離婚時に任意売却を選択するメリット・デメリットについて分かりやすく解説します。
任意売却とはオーバーローン時の売却方法
そもそも任意売却とは、住宅ローンの残債が自宅の売却価格を上回るオーバーローンという状態で、不動産を売却する方法です。
- オーバーローン:住宅ローンの残債が自宅の売却価格を上回る状態のこと
- アンダーローン:住宅ローンの残債が自宅の売却価格を下回る状態のこと
下の図は、オーバーローンとアンダーローンのイメージ図となります。
任意売却を選択するかどうかの判断は、家の売却額がオーバーローンになるか、アンダーローンになるかがポイントになります。
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離婚時に任意売却を選択した方が良いケース
では、任意売却を離婚時に選択した方が良いケースはどのような場合なのでしょうか?
離婚時に任意売却を選択した方が良いケースとしては、自宅がオーバーローンの状態である場合が挙げられます。
通常、住宅を売却するには、売却金額が住宅ローンの残高を超えていないと抵当権が抹消できません。そのため、家の売却査定額が住宅ローン残債よりも低い場合や、貯金や親族などの支援があっても住宅ローンを一括返済できない場合には、離婚時に任意売却を選択する方が良いと考えられるでしょう。
また、連帯債務やペアローン、連帯保証人等を立証して自宅を購入しているケースも任意売却を選択することをおすすめします。 連帯債務やペアローン、連帯保証人等は、離婚をしても解消される訳ではありません。あくまでも住宅ローンを完済することが必要です。 こうしたケースでも、任意売却を選択し、金融機関から合意が得られれば、連帯債務や連帯保証を外せるため、任意売却を選択した方が良いといえます。 一方で、任意売却を選択しない方が良いケースとして、アンダーローンであるケースが挙げられます。 売却金額が住宅ローンの残債以上になれば、仲介による不動産売却(通常売却)により住宅ローンを完済することが可能です。したがって、わざわざ任意売却を選択する必要がありません。 また、オーバーローンの場合でも、離婚後も継続して返済を行い、アンダーローンになるまで売却を待つケースも任意売却をしなくても問題ないでしょう。 このように、離婚時に任意売却をするかしないかは、オーバーローンであるかどうかがポイントになるのです。 住宅ローン危険度診断 次に、離婚時に任意売却をする4つのメリットを紹介します。 離婚時に任意売却を選択するメリットとしては、以下の4つが挙げられます。 任意売却のメリットとして、相場に近い価格で売却しやすく、競売よりも高値で売却できる可能性がある点が挙げられます。 競売の場合、相場の6割~7割程度の金額で売却となるケースも多く、高額での売却はなかなか見込めません。 当然ながら、ローンの返済に充当できる金額も少なくなるため、任意売却するよりも多くの債務が残る可能性が高いです。 任意売却の方が、少しでも相場に近い価格で売りやすいという点はメリットといえるでしょう。 プライバシーを守りつつ、売却できる点は、任意売却のメリットとして挙げられます。 任意売却では、通常の住宅売却と同様に、不動産業者が間に入って売却を進めていくため、周囲に知られずに売却でき、プライバシーを守りやすいです。 一方、競売となると、物件に関する情報が競売情報として公開されるため、周囲の人に知られてしまい、個人のプライバシーが守られにくいといえます。 任意売却は、自分で購入者を決めることができるため、リースバックを利用して住み続けることも可能です。 リースバックとは 不動産を売却した後も、毎月家賃を支払うことでそのまま家に住み続ける方法であり、引っ越しせずにそのまま住み続けられるため、費用負担が抑えられます。 また、任意売却後も残った住宅ローンを返済する必要はあるものの、残債については返済条件も緩和できるため、自分の状況に合わせた返済が可能です。 リースバックについては、下記の記事でくわしく解説しています。 任意売却後にリースバックできる?それぞれの特徴や違いと組み合わせるメリット・デメリット 任意売却のメリットとして、返済計画が立てやすい点が挙げられます。 任意売却後も住宅ローン自体は残っているため、引き続き返済が必要です。 しかし、収入状況などを考慮したうえで無理のない返済プランで対応してくれるケースが考えられるでしょう。 ローンの残債自体がなくなる訳ではないため、引き続き返済が必要となるものの、従前の住宅ローン返済額よりも毎月の返済額を抑えられるため、毎月の出費を抑えられる点はメリットといえます。 住宅ローン危険度診断 続いて、任意売却のデメリットについてご紹介します。任意売却のデメリットとしては、以下の3つが挙げられます。 任意売却を行う場合、「住宅ローンの返済が遅れており返済ができない」といった状況にならないと話を進めることができません。 そのため、個人信用情報機関のブラックリストに登録されてしまいます。 信用情報機関に延滞情報が登録されるため、任意売却により延滞が解消され、その後の返済が約定どおりに履行されたとしても5年間は延滞情報が残ります。 任意売却には期限が設けられるため、期間内に必ずしも売却できるとは限りません。 任意売却で売りに出したとしても、買い手がつかず、結果的に競売による売却となるケースも想定されます。 相場よりも高い金額で売りに出したり、不動産業者の選定を誤ったりすると結果的に残債が圧縮できず、時間だけがかかってしまう可能性も考えられるでしょう。 任意売却をする場合、必ずしも売却できるとは限らない点は理解したうえで、任意売却を検討するようにしましょう。 債務者本人だけでなく、連帯債務者や保証人の信用情報にも影響がでる可能性がある点は任意売却のデメリットといえるでしょう。 任意売却では、連帯債務者や連帯保証人を設定している場合、連帯債務者や連帯保証人にも請求が行われるケースが考えられます。 連帯債務者や連帯保証人のローン契約やクレジットカードの審査に通りにくくなる可能性も高いです。 離婚時に任意売却する際には、どのようなトラブルが考えられるでしょうか? 任意売却を検討するのであれば、二人で話し合い、なるべく早い段階で準備を進めておくのが重要です。 離婚すると、必然的に連絡を取る機会が減少してしまいます。 住宅を売却しようと思ってもお互いの連絡がつかないために、手続きが思うように進捗しないケースも十分想定されます。 スムーズに離婚を進めるためにも、離婚協議とあわせて住宅の任意売却についても話を行うなど、離婚する前に手続きを進めておくのがおすすめです。 住宅ローンに関するトラブルとしては、以下のようなケースが考えられます。 トラブルが発生すると解決するのに手間と労力が必要になってしまいます。 住宅ローン危険度診断 最後に、当協会のご相談者様の中で離婚時・離婚後に任意売却を選択され、再出発に成功された方の事例をいくつかご紹介いたします。 H様は平成17年、専業主婦の奥様と小学生2人・幼稚園児1人の5人家族で一戸建てを購入されました。 しかし、勤務先の業績悪化で残業代が激減し、離婚後もお一人で住宅ローンを返済されていましたが、収入減でローンと固定資産税を滞納し、ついに差し押さえを受けました。 「どうしていいかわからない」と当協会へご相談くださり、ヒアリングの結果、一括返済は難しいと判断して任意売却をご提案いたしました。 販売開始直後、近隣の賃貸入居者様が購入を希望されたため、役所に同行して税金差し押さえ解除を交渉し、承諾を得て無事に売買契約を成立させました。 売却代金で残債を大幅に圧縮し、転居資金も確保。今回の取引により、経済的・精神的負担が軽減され、お子様の将来への不安も和らぎました。 下記にて、上記事例の詳細をご紹介しております。 ➤離婚後、一人で住宅ローン支払い、任意売却で競売回避し再出発したケース F夫妻は結婚を機に新築タワーマンションを購入されましたが、わずか4カ月で性格の不一致から離婚をご決断されました。 共働きを前提に組んだ住宅ローンのため、離婚後はどちらも単独返済が難しく、売却をご検討。 しかし購入から半年未満で残債約500万円が残る見込みとなり、「この状態で売れるのか」と不安を抱えご相談くださいました。 私共は金融機関へ任意売却を申請し、住宅ローン詐欺の懸念を払拭する資料を整えて丁寧に説明。 承認取得まで約2カ月を要しましたが、築浅・好立地という強みで買主はすぐに見つかり、スムーズに売買契約が成立しました。 結果として残債は分割返済に抑えられ、競売を回避して双方が新生活をスタートできました。 下記にて、上記事例の詳細をご紹介しております。 ➤新築マンション購入後4ヶ月で離婚、分割返済を選択した売却ケース 任意売却を進めるには、通常の不動産売買とは異なり、専門的な知識が必要になります。そのため、通常の不動産業者ではなく、任意売却に関するノウハウや専門知識を有し、金融機関との交渉能力にも長けた任意売却専門業者に依頼するのがおすすめです。 任意売却専門業者には、一般社団法人全国任意売却協会の認定する「任意売却取扱主任者」や、一般社団法人全国任意売却支援協会の認定「任意売却士」など、任意売却に強い相談員がおり、任意売却手続きのサポートが受けられます。 任意売却を検討する場合、一人で進めるのは難しい点も多いため、相談員を活用して進めるようにしましょう。 本記事では、離婚時に自宅を任意売却した方が良いケースやしない方が良いケース、任意売却のメリット・デメリットについて解説してきました。 ご相談は全国から無料で受付中!離婚時に任意売却を選択しない方が良いケース
離婚時に任意売却をする4つのメリット
メリット➀ 相場に近い価格で売却しやすい
メリット➁ 周囲に知られることなく売却できる
このように、周囲に知られず、プライバシーを守りつつ売却できる点は任意売却のメリットといえるのです。メリット➂ リースバックを利用できる
このように、リースバックを利用できる点は任意売却のメリットといえます。メリット➃ 返済計画が立てやすい
離婚時に任意売却をする3つのデメリット
デメリット➀ ブラックリストに登録される
新たな借入れや、クレジットカードなどが作成できなくなる可能性が高い点は注意が必要です。デメリット➁ 売却に期限があり必ずしも売れるとは限らない
その間、住宅ローンの返済自体も行われていないため、信用情報へのダメージも大きくなってしまいます。デメリット➂ 連帯債務者や保証人にも影響がある
したがって、任意売却を検討する際には、こうした点にも十分に留意しておきましょう。離婚時に任意売却する際のよくあるトラブル
ここからは、離婚時に任意売却する際の注意点についてご紹介しますので、それぞれ見ていきましょう。元パートナーとの折り合いがつかなくなってしまう
住宅ローン関連のトラブルで揉めてしまう
トラブルを避けるためにも、離婚協議でしっかりと話し合いを行い、オーバーローンの場合は任意売却を検討しておくのが良いといえるでしょう。
離婚時に任意売却を選択し再出発に成功された事例(当協会のご相談者様)
1.離婚後、一人で住宅ローンを支えるも、収入減と税金滞納で支払い困難に(H様)
2.新築マンション購入後4ヶ月で離婚、分割返済を選択した売却ケース(F夫妻)
当協会の「任意売却×離婚」相談では、相談員が間に入ります
まずは早めにご相談を
離婚時に自宅を売却する際には、ご自身の状況に合わせた売却方法を検討するのが大切です。 オーバーローン状態にある場合には、任意売却は有効な選択肢の1つですが、メリット・デメリットもしっかりと理解したうえで検討するのがポイントになります。
離婚時には、住宅ローンに関連したさまざまなトラブルが発生するケースも多いです。 一人で進めるのではなく、任意売却に強い相談員に早めに相談し、スムーズな売却を目指していきましょう。