住宅ローンがあるけど家を手放したい。抵当権を抹消する4つの方法を解説!
更新日 2025-07-05
毎月の住宅ローン返済が重くのしかかり、「このまま家を持ち続けるのは無理かもしれない」と感じていませんか?
教育費や生活費の負担も増え、貯金を切り崩す日々に限界が近づくなか、「家を手放す」という選択肢を真剣に考え始めるのは決して間違いではありません。
本記事では、住宅ローンが残っていても家を手放す方法や手続き、家族への影響を抑える選択肢まで、あなたが“後悔しない判断”をするための情報を解説します。
住宅ローン危険度診断
住宅ローンが残っている家でも手放すことはできる?
住宅ローンが残っていても、家を売ることは可能です。ただし、売却には「抵当権の抹消」が必要です。
抵当権とは、金融機関が住宅ローンの担保として設定する権利のことを指します。返済ができなくなった場合、金融機関は家を差し押さえて競売にかけることができます。
抵当権が残っていると、買主に所有権を移すことができません。そのため、売却前に抵当権を抹消する必要があります。
抵当権を抹消するには、住宅ローンを完済しなければなりません。売却代金でローンを返済するか、不足分を自己資金で補う必要があります。
売却できるかどうかは、売却価格とローン残高の関係によって決まります。
- 売却価格がローン残高以上の場合は、通常通り売却できる
- 売却価格がローン残高を下回る場合は、金融機関の同意を得て任意売却を行う必要あり
抵当権が残っている状態では登記もできないため、売却を成立させるには、事前の準備と手続きが重要です。
住宅ローンのある家を手放したい場合の方法ー抵当権を抹消するための方法ー
上述の通り、住宅ローンが残っている家を売却するには、抵当権を抹消しなければなりません。抵当権がある状態では買主に所有権を移すことができず、売買が成立しません。
ここでは、抵当権を抹消するための主な4つの方法を探っていきましょう。
1.家の売却代金で住宅ローンを一括返済
売却価格がローン残債を上回る場合、売却代金を使ってローンを完済することで抵当権を抹消できます。
手続きが比較的スムーズで、買主への所有権移転も問題なく行えます。売却前に残債や諸費用を確認し、不動産会社の査定額と照らし合わせることが重要です。
購入から年数が経ち、ローンが減っている人や頭金を多く支払った人は、この方法が現実的です。譲渡所得が発生した場合には、確定申告が必要になることもあるでしょう。
2.自己資金を使って一括返済
売却価格がローン残債に届かない場合、不足分を自己資金で補えば、抵当権を抹消して売却することができます。
自己資金には預貯金のほか、親族からの援助や退職金の一部なども含まれます。教育費や生活費を圧迫しない範囲での負担が前提です。
ローン残債が数百万円程度で、ある程度の資産や支援がある人に向いているでしょう。もし自己資金で足りない場合は、住み替えローンや任意売却といった代替手段も検討が必要です。
3.住み替えローンを利用する
住み替えローンとは、現在の家を売却してもローンが残る場合に、残債と新しい住宅の購入費用をまとめて借り入れる制度です。
現在の住宅の抵当権は新居に移され、今の家を売却できるようになります。審査は通常のローンよりも厳しく、勤続年数や収入、信用力などが問われるでしょう。
借入額が増える分、将来の返済負担が大きくなる点には注意が必要です。転勤や家族構成の変化などで住み替えが避けられない中堅層に多く利用されています。
4.任意売却
任意売却とは、ローン滞納中や売却代金でローンを完済できない場合に、金融機関の同意を得て不動産を売却する方法です。
競売を避けるための救済措置で、抵当権も債権者の了承を得て抹消されます。市場価格に近い価格で売れる可能性があり、プライバシーも守られやすい点が特徴です。
ただし、信用情報に傷がつき、連帯保証人の同意や時間的制約などの注意点もあります。早期の専門家相談が成功のカギです。
任意売却について詳細を知りたい方は、こちらをご覧ください。
参考記事:任意売却とは?メリット・デメリットや競売との違いをわかりやすく解説!住宅ローンが残っている家を手放す時のポイント
住宅ローンが残っている家でも、適切な手続きと条件を満たせば売却することは可能です。
ただし、ローン完済や抵当権の抹消、諸費用の準備など、押さえておくべき重要なポイントがいくつかあります。売却をスムーズに進めるためには、事前の情報収集と計画的な準備が欠かせません。
ここでは、家を手放す際に知っておくべき基本的なポイントを見ていきましょう。
1.複数の不動産会社に査定を依頼する
家の査定価格は、不動産会社によって大きく異なることがあります。
そのため、1社だけに依頼するのではなく、複数の会社に査定を依頼するのが基本です。複数の査定結果を比較することで、売却予定の不動産が市場でどの程度の価格で売れるかを把握しやすくなるでしょう。
売却価格がローン残債を上回るかどうかの判断材料にもなります。査定額だけでなく、担当者の対応や販売方針、広告戦略なども比較することで、より有利な条件で売却を進めることができます。
不動産一括査定サイトの活用も効率的です。
2.家を手放す際に必要な諸費用を把握しておく
住宅を売却する際には、売却価格からさまざまな費用が差し引かれます。費用を見落とすと、「思ったより手元にお金が残らない」という事態になりかねません。
事前に必要な費用を把握し、資金計画に組み込んでおきましょう。
主な費用は以下の通りです。
費用項目 | 内容・計算方法 | 目安・具体例 |
---|---|---|
不動産仲介手数料 | 売却価格の3%+6万円+消費税 | 上限額 |
抵当権抹消登記費用 | 登録免許税+司法書士報酬 | 登録免許税:1物件につき1,000円 司法書士報酬:数千~数万円程度 |
印紙税(売買契約書) | 売却価格に応じて課税 | 例:1,000万円超~5,000万円以下 = 1万円 |
司法書士報酬 | 登記手続きにかかる費用(依頼内容や地域により異なる) | 1~5万円程度 |
基本的に売却代金から差し引いて精算されることが多いですが、場合によっては自己資金からの支出が必要になることもあります。
売却の判断をする前に、こうしたコストを差し引いた実質的な手取り額を計算しておくことが大切です。
3.売却時に利益が出た場合は税金が発生することを把握しておく
住宅の売却によって利益(譲渡所得)が出た場合、税金が発生する可能性があります。以下の点を押さえておきましょう。
項目 | 内容 |
---|---|
課税対象 | 売却益(譲渡所得)に対して、所得税と住民税がかかります。 |
保有期間による区分 | 短期譲渡所得(保有5年以下):税率が高い 長期譲渡所得(保有5年超):税率が低い |
主な税制優遇措置 | マイホームの売却には「3,000万円の特別控除」が適用されるケースがあります。 ※適用には要件があるため、事前の確認が必要です。 |
確定申告 | 税金が発生する可能性がある場合は、売却した翌年の確定申告が必須です。 |
注意点 | 後で追徴課税されないよう、事前に税理士や不動産会社に相談しておくと安心です。 |
税制は複雑なため、「売って終わり」ではなく、税務面の確認まで含めて計画を立てることが大切です。
住宅ローンが残っている家を手放す際の手順
住宅ローンが残っている家を手放す際には、感情的な判断ではなく、冷静に状況を整理して進めることが重要です。特にローンの残債と売却価格とのバランスは、次に取るべき行動を大きく左右します。
ここでは、手放すためにまず取り組むべき基本的なステップを順を追って探っていきましょう。
1.住宅ローン残債を把握する
最初に確認すべきなのは、自分がいまどれだけ住宅ローンを残しているかです。
わからないままでは、売却の可否や手段の選択ができません。
残債の確認方法
- 毎月送られてくる返済明細書や、住宅ローン返済予定表を見る
- より正確な情報を得るために、金融機関に直接問い合わせる
この時点で、ローンの残高だけでなく、抵当権の抹消に必要な金額(完済額)も把握しておきましょう。情報が、売却後にどのような結果が待っているかを判断する基礎になります。
2.不動産会社に査定を依頼する
次に、現在の自宅が市場でどの程度の価格で売れるかを知る必要があります。
そのためには、不動産会社に査定を依頼しましょう。
残債の確認方法
- 1社だけではなく、複数の会社に査定を依頼することが重要
- 会社によって査定価格が異なるため、相場感をつかむのに役立つ
- 査定は多くの場合無料で、インターネットの一括査定サービスを使えば複数社に簡単に依頼できる
査定額が残債を上回っていれば通常売却が可能ですが、下回っている場合は他の選択肢(自己資金、住み替えローン、任意売却など)を検討する必要があります。
3.自宅の売却代金で住宅ローンを完済できるかを確認する
不動産査定額と住宅ローン残債を照らし合わせ、売却代金で完済が可能かどうかを確認します。
判断の目安
- 完済できる場合:抵当権を抹消し、スムーズに売却できる「通常売却」が選べる
- 完済できない場合:不足分を自己資金で補う、住み替えローンを利用する、任意売却を検討するなど、別の選択肢を選ぶ必要あり
また、単に査定額だけでなく、仲介手数料、登記関連の費用、契約書の印紙代など、売却に伴う諸費用を差し引いた「実質手取り額」を基準に判断することが大切です。
このステップでは、「どの方法が自分にとって現実的か」を見極める重要な局面となります。
慎重に数字を整理し、家計への負担や将来設計まで見据えて判断しましょう。
売り先行型がおすすめ
住宅ローンが残っている家を手放す場合、「売却してから住み替える」売り先行型がおすすめです。
売り先先行型では、まず今の家を売却し、その売却代金が確定してから新居(購入または賃貸)を探すため、資金計画が立てやすく、ローン残債の整理もスムーズに行えます。
一方、買い先行型では、売却がうまく進まないとローンが二重になる可能性があり、資金面や精神面で大きな負担を抱えるリスクがあります。特に残債がある場合は避けるのが無難でしょう。
住み替えのタイミングによっては仮住まいが必要になることもありますが、「リースバック」を活用すれば、売却後も同じ家に住み続けられるケースもあります。
売却額や時期の見極め、引越しとのスケジューリング、次の住まいの方針決めなどを不動産会社と連携しながら進めることが、売り先行を成功させるポイントです。
特に、「残債をきちんと処理したい」「今の家を売れるか不安」という方にとっては、最もリスクの少ない選択肢といえるでしょう。
ひとりで悩まずにお早めにご相談ください!
住宅ローンが残っている家でも、手放す方法は決してひとつではありません。
売却代金での一括返済、自己資金の補填、住み替えローン、任意売却など、あなたの状況に応じた選択肢があります。重要なのは、ひとりで悩まず、早めに情報を集め、的確な判断をすることです。
家を手放すことは、決して「失敗」でも「終わり」でもありません。
むしろ、新しい生活の再スタートとして前向きに捉えることができる選択です。
「何から始めればいいか分からない」「誰に相談すればいいか不安」という方は、
住宅ローン返済に悩む方を専門にサポートしている中立的な団体である
一般社団法人全国任意売却協会に相談してみることをおすすめします。
専門家による無料相談を通じて、あなたとご家族にとって“最も負担の少ない選択”を一緒に見つけてくれるはずです。
ご相談は全国から無料で受付中!