住宅ローンが残ったままでもリースバックは利用可能?条件や注意点を解説!
更新日 2025-06-26
収入の減少によって住宅ローンの返済が難しくなり「この家を売却するしかないのか」と悩んでいませんか。
そんなときに検討したいのが、自宅を売却したあともそのまま賃貸として住み続けられる「リースバック」という方法です。
リースバックであれば、引っ越しや転校の心配がなく、まとまった資金も確保できます。
ただし、住宅ローンの残債がある場合は利用が難しいときもあるため、条件や注意点を事前に確認しておくことが大切です。
本記事では、住宅ローンが残っている状態でリースバックを利用するための条件や注意点を解説します。
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リースバックは住宅ローン残債があってもできるのか?
結論からいうと、住宅ローンが残っている場合でも、リースバックは利用できます。
ただし、住宅ローンの残債が自宅の売却価格を下回る「アンダーローン」か、売却価格を上回る「オーバーローン」かによって、リースバックが可能かどうかや手続きの流れが異なります。
なぜなら、自宅を売却する際は、ローンをすべて返済して金融機関が設定している抵当権を抹消する必要があるためです。
以下では、それぞれの状況と確認方法について、詳しく解説していきます。
オーバーローンとは?
オーバーローンとは、住宅ローン残債残高が自宅の売却価格を上回る状態のことです。
例えば、自宅の売却価格が2,000万円でローン残高が3,000万円ある場合は、オーバーローンに該当します。
オーバーローンの状況では、売却代金だけではローンを完済できないため、リースバックを利用することは難しいです。
しかし「任意売却」という方法を利用することで、リースバックを利用できる可能性があります。
アンダーローンとは?
アンダーローンとは、住宅ローン残債残高が自宅の売却価格を下回る状態のことです。
例えば、売却価格が2,000万円でローン残債 残高が1,500万円の場合は、アンダーローンとなります。
アンダーローンの状況では、場合は、自宅の売却代金だけで残りの住宅ローンを完済できるため、リースバックは問題なく利用できます。
下の図は、オーバーローンとアンダーローンのイメージ図となります。
自分の状況がオーバーローンかアンダーローンか調べるには?
オーバーローンかアンダーローンかを確認するには、以下の2点を把握する必要があります。
確認事項 | 確認方法 |
---|---|
①住宅ローン残債 | 金融機関から発行される残高証明書や返済予定表で確認可能。手元にない場合は、直接金融機関に問い合わせれば教えてもらえる。 |
②自宅の売却価格(査定価格) | 不動産会社に査定を依頼することで、おおよその売却価格(査定価格)を把握できる。 |
そして、自宅の査定価格から住宅ローン残債を差し引き、差額がプラスであれば「アンダーローン」となり、リースバックを問題なく利用できる可能性があります。
逆にマイナスの場合は「オーバーローン」となり、任意売却などの検討が必要です。
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オーバーローンでもリースバックをするには?
先述のとおり、自宅の売却価格よりも住宅ローンの残債が多い「オーバーローン」の場合、そのままではリースバックを利用することは難しいです。
ただし、オーバーローンの場合でもリースバックを行う方法はあります。
具体的には、以下の2つの方法があげられます。
- 1.不足分を自己資金で補い、住宅ローンを完済する
- 2.任意売却と組み合わせて行う
ここでは、それぞれの方法について紹介します。
1.不足分を自己資金で補い、住宅ローンを完済する
オーバーローンの状況でも、不足分を自己資金で補い住宅ローンを完済できれば、リースバックは利用可能です。
例えば、売却価格が2,000万円でローン残債が3,000万円の場合は、不足する1,000万円を自己資金で用意すれば、ローンを完済して抵当権を抹消できます。
ただし、不足額が大きい場合は、必要な資金をすぐに準備することは難しい可能性があります。
また、すでに住宅ローンを滞納しているような状況では、自己資金を準備する余裕がないことがほとんどです。
2.任意売却と組み合わせて行う
任意売却とは、住宅ローンの返済が難しくなった場合に、金融機関(債権者)の同意を得た上で売却する方法のことです。
金融機関に抵当権を解除してもらい、通常の不動産売買と同じように売却手続きを進めます。
任意売却の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
関連記事:任意売却とは?
リースバックは、任意売却と組み合わせて行うことが可能です。
そして、リースバックと任意売却を組み合わせて行う場合の流れは次のとおりで、任意売却で一度自宅を売却した後、そのまま賃貸契約をするという流れです。
- 1.任意売却で自宅を売る
- 2.自宅の賃貸契約をするう
結果としては、そのまま住み続けることができます。
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住宅ローン残債がある状態でリースバックするメリットとは?
住宅ローンが残っている状態でリースバックを利用するメリットは以下のようなものがあります。
- 1.まとまった現金を調達することが可能
- 2.今の家に住み続けられる
- 3.将来、家を買い戻せる可能性が残る
1.まとまった現金を調達することが可能
リースバックは、自宅を売却したあとに賃貸として住み続ける仕組みです。
売却によってまとまった現金が手に入るため、生活費や医療費、老後資金など、必要な支出に充てることができます。
2.今の家に住み続けられる
リースバックを利用すれば、売却後も元自宅に住み続けられるため、引っ越しの必要がなく住み慣れた環境で安心して暮らせます。
新たな住居を探す手間や引っ越し・入退去にかかる費用もかからず、家を売却したことが周囲に知られる心配もありません。
また、子どもの転校なども回避できます。
3.将来、家を買い戻せる可能性が残る
リースバックは、元は「セール&リースバック」と呼ばれており、「バック」には買い戻しの意味があります。
売却先の業者や契約内容(買い戻し特約など)によっては、一定期間賃貸として住んだあとに自宅を買い戻すことも可能です。
ただし、家賃の滞納がある場合は信用情報の問題で、住宅ローンの審査に通りづらくなる可能性があります。
住宅ローンが残ったままリースバックを使う際の注意点
住宅ローンを完済していないままリースバックを利用する場合は、二重返済の負担や買戻し時の価格に注意が必要です。
下記のような注意点を理解しておくことで、リースバックのリスクがわかり対策を取りやすくなります。
- 1.売却価格と残債のバランスが悪いと二重返済の可能性がある
- 2.家賃が相場より高めに設定されることがある
- 3.買い戻し価格が売却時よりも割高になる可能性がある
それぞれの注意点について紹介します。
1.売却価格と残債のバランスが悪いと二重返済の可能性がある
住宅ローンが残ったままリースバックを利用する場合、家賃と住宅ローンの両方を支払う必要があります。
住宅ローンは、金融機関と交渉して無理のない返済計画を立てることも可能ですが、家賃との二重負担によって家計が圧迫される恐れがあります。
リースバックを利用する前に返済シミュレーションを行い、家計への影響を確認しておくことが大事です。
2.家賃が相場より高めに設定されることがある
リースバックの家賃は、一般的な相場より高くなる傾向にあります。
買主が買取価格に対して、一定の利回りを確保できるように家賃を設定するためです。
そのため、買取価格が高ければ高いほど、家賃も高くなる傾向があります。
3.買い戻し価格が売却時よりも割高になる可能性がある
リースバック後に自宅を買い戻す場合、売却時の価格よりも1〜3割ほど高くなるのが一般的です。
買取業者が利益を上乗せして再販売価格を設定するためです。
そのため、買い戻しを検討している場合は、事前に余裕を持った資金計画を立てておく必要があります。
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そもそもリースバックができない物件とは?
すべての物件がリースバックに対応しているわけではありません。
条件によっては、リースバックを利用できない場合もありますので、利用が難しい物件の特徴を確認しておきましょう。
物件に重大な瑕疵や修繕リスクがある
物件に重大な瑕疵や修繕リスクがある場合は、リースバックを利用できないことがあるため注意が必要です。
瑕疵とは欠陥のことで、次のような状態が該当します。
- シロアリ被害
- 雨漏り
- 建物の傾き
- 事件・事故物件 など
このような物件は、買主からすると賃貸や再販売が難しくなるため、リースバックの対象外となる傾向があります。
土地が市街化調整区域、借地権、再建築不可などの場合
物件が市街化調整区域にある場合や借地権付き、再建築不可といった場合には、リースバックの利用が難しくなる可能性があります。
- 市街化調整区域:建物に関する制限が厳しい
- 借地権付き物件:権利関係が複雑
- 再建築不可の物件:将来的な建て替えが困難
このような物件は、買取後にリスクやデメリットがあることから、買取業者に敬遠されることが多いです。
共有持分に関する同意が全員から得られない場合
自宅が共有名義(共有持分)の場合、共有者全員の同意がないとリースバックは利用できません。
たとえ共有者が自宅に住んでいなくても、承諾は必ず必要です。
一人でも同意を得られなければ、リースバックの手続きは進められなくなるため、慎重に対応することが大切です。
個人の信用状況が悪く、審査に通らないケース
信用情報に問題がある場合は、リースバックの審査に通らない可能性があります。
審査で重要視されるのは、家賃の支払い能力です。
過去に滞納や自己破産などの履歴がある場合は、支払い能力がないと判断されて審査に落ちる可能性が高まります。
また、今は問題がなくても、将来的に信用情報に影響が出ないように日頃から支払いや返済をきちんと管理することが大切です。
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リースバックで後悔しないために確認しておくべきポイント
将来後悔しないためにも、リースバックの契約内容や買い戻しの条件を確認しておくことが大切です。
確認を怠ると、不利な条件で契約したり、後に思わぬトラブルに巻き込まれる可能性があります。
ここでは、リースバックで後悔しないために確認しておくべきポイントを紹介します。
リースバック契約の内容と家賃の設定基準
契約内容と家賃の設定基準を確認しておくことが大切です。
例えば「普通借家か定期借家か」「事前に約束した内容が契約書に反映されているか」などを確認しておくと、トラブル防止につながります。
家賃がどのように設定されているか根拠を確認しておくと、不当に高い金額を提示されるリスクを避けやすくなります。
将来の買い戻し条件は明確か?
将来的な買い戻しの条件が明確に定められているかを確認しておくことも大切です。
買い戻しが可能な場合は、特約やオプションとして契約に盛り込まれ、期間・価格・手続き方法などが取り決められていることが一般的です。
条件があいまいなままだと、後々トラブルに発展する可能性があるため、契約前に確認して不明点があれば業者に聞いておきましょう。
契約期間・更新条件・退去時期の取り決め
賃貸契約の期間や更新条件、退去時期などを確認しておきましょう。
契約内容を把握していないと、突然退去を求められるなどして後に困る可能性があります。
少しでもわからない点があれば担当者に確認して、すべて納得した上で契約手続きを進めることが大事です。
リースバックは専門家に相談しましょう。
リースバックは、住宅ローン残高や自己資金、ライフプランなどによって進め方や条件が変わります。
任意売却は手続きが複雑で専門的な知識が必要になるため、早めに専門家に相談してアドバイスを受けながら進めることをおすすめします。
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