競売にかけられた家を買い戻す方法とは?現実的な回避策を解説!
更新日 2025-07-02
「競売にかけられた家をどうにかできないだろうか」
「なんとか家を買い戻すことはできないか」
住宅ローンの支払いが困難になり、競売開始通知が届くと、上記のように考える方は少なくありません。
しかし、競売にかけられた家を買い戻すことは現実的に困難です。競売手続きには法的な制約があるうえ、住宅ローンの返済ができない状況での資金準備は難しいでしょう。
ただし、競売を回避できれば、家を維持できる方法が存在します。
本記事では、競売における買い戻しの現実や、競売の回避方法を紹介します。また、実際に取るべき対策を詳しく解説するので、大切な住まいを守るため参考にしてみてください。
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競売にかけられた家の買い戻しは困難
結論から述べると、競売にかけられた家の買い戻しは現実的に困難です。
競売では、民事執行法第68条により債務者本人の入札が禁止されています。住宅ローンの長期滞納者が、返済せずに買い戻しする行為は適切ではないと判断されるためです。
また、本人に代わって親族や第三者へ落札を依頼したり、落札者と交渉して買い戻したりする方法も現実的ではありません。
入札者が多い可能性もあり、親族や第三者による落札は確実とはいえないためです。また、親族や第三者が資金に余裕がなければ、多額の資金調達が必要となり負担をかけてしまうでしょう。
さらに落札者と交渉できた場合も、住宅ローンの延滞によりブラックリストへ登録されているため、新たな資金確保は難しい状況です。
このように、競売後の買い戻しは法的・経済的な面から見て非現実的な選択肢と言わざるを得ません。
競売開始通知が届くとどうなる?
競売開始通知は、債務者に対して競売手続きが法的に開始したことを知らせる重要な書類です。競売開始通知が届いた後は、以下の手続きで進行します。
- 債務者へ競売手続きの法的開始を通知
- 現況調査の実施(1〜2ヶ月)
- 調査結果を含んだ現況調査報告書が裁判所に提出される
- 裁判所が売却基準価格を決定して詳細な日程を公告
- BIT不動産競売物件情報サイトや裁判所の掲示板で情報公開
- 入札開始
- 落札者が決定
- 裁判所から落札者へ売却許可決定
- 売却代金納付
- 明渡し
現況調査では自宅の価値を調査され、写真も撮影されます。このため競売情報が公開されると、自宅の住所や写真が不特定多数の人に知られ、プライバシー侵害のリスクが生じかねません。
また、売却代金が納付されると落札者へ所有権が移転するため、明渡しの段階に入ります。退去しない場合は不法占拠状態となり、強制執行になりかねないため注意しましょう。
競売手続きについて基本から知りたい人は、こちらの記事も読んでみてください。
関連記事:住宅ローンを払えないと競売に?滞納からの流れや回避策を徹底解説
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競売を回避し住宅ローンを減らす4つの方法
自宅が競売にかけられる前にできる対策は、競売を回避するために住宅ローンを減らすことです。ここでは、対策として有効な4つの選択肢を紹介します。
1.任意売却
「任意売却」とは、住宅ローンなどの返済が困難になった際に、担保を解除して不動産を売却する方法です。住宅ローンの残債が残っているため、家を担保にしている債権者すべての合意を得る必要があります。
競売と比較して、任意売却は「市場価格に近い価格」で売却できる点が最大のメリットです。競売では売却価格は市場価格の6〜7割程度ですが、任意売却なら8〜9割程度での売却が期待できます。
また、通常の不動産売買が可能であるため、所有者の経済事情が周囲に知られません。プライバシーを保護した売却手続きが進められます。
任意売却後の残った住宅ローン債務については金融機関と「無理のない範囲での分割返済」を交渉できやすいでしょう。
任意売却についての概要や競売との違いを知りたい人は、以下の記事を確認してみてください。
関連記事
任意売却と競売の違いとは?メリット・デメリットと注意点を徹底解説
親族間売買
親族間売買は、親族に物件を買い取ってもらう方法です。買い取ってもらった後、元の所有者が家賃を支払うか、無償で住み続けます。
家を残すことができるため、精神的な負担を軽減できます。しかし、売買価格が著しく低いと「みなし贈与」と判断され、贈与税がかかる可能性があるため、適正な価格設定と税務上の配慮が欠かせません。
なお親族へ入札を依頼する時同様に、親族へ金銭的負担がかかるため、親族の家計状況を考慮する必要があります。
親族間売買のメリットやデメリットは以下の記事も参考にしてみてください。
関連記事:任意売却は親子でもできる?親族間売買のメリット、デメリットも解説
リースバック
リースバックは、不動産会社や投資家に自宅を売却し、売却後に賃貸として住み続ける方法です。住宅ローンが完済になりますが、毎月の家賃支払いが発生します。
家賃が市場相場より高くなる傾向にあるため、長期的な費用負担を考慮して選択しましょう。なお契約内容次第では将来的に買い戻しできるケースもあるため、交渉の余地があります。
具体的なリースバックについては、以下の記事でも解説しているため、読んでみてください。
関連記事:
任意売却とリースバックの違いとは?仕組み・メリット・活用法を徹底解説個人再生
個人再生は裁判所を通した手続きになりますが、「住宅ローン特則」(住宅資金特別条項)の適用で自宅を残す方法です。
自宅を維持しながら住宅ローン以外の債務を大幅に圧縮できる可能性があるため、競売回避に有効な手段でしょう。ただし、住宅ローン自体が減額されるわけではなく、引き続き住宅ローンの返済は必要になります。
住宅ローン以外の債務を大幅に減らし、住宅ローンの支払いへ集中することが可能です。
個人再生の具体的な内容は以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:
住宅ローン返済中でもできる!個人再生で自宅を守る方法を徹底解説住宅ローン危険度診断
競売にかけられた家を買い戻す方法3選
現実的ではありませんが、競売にかけられた家を買い戻す理論的な方法を紹介します。
1.親族や知人に落札を依頼する
法的な制約により債務者本人は落札できないため、親族や知人に落札を依頼する方法が考えられます。
ただし、競売手続きは、不特定多数の人が参加するオークション形式です。親族や知人が確実に落札できる保証はないため、他の入札者が高額入札すると、落札は困難になります。
親族には落札代金の準備をしてもらう必要があり、親族の家計状況次第では金銭的負担を伴う依頼になりかねません。親族への負担も考慮すると現実的に難しい方法でしょう。
2.競売入札代行業者に依頼する
競売入札を代行する専門業者へ依頼する方法があります。入札に対するノウハウを持つ専門業者でありますが、専門業者であっても確実に落札できるとは限りません。
競売物件は市場価格より安くなりやすいため、多くの投資家が参加する競争の激化も珍しくありません。また、競売入札代行業者への依頼は高額な手数料が必要になり、競売に家をかけられる状況での支払いは難しいでしょう。
3.落札者に交渉して買い戻しする
競売の落札者からの買い戻しも考えられる手段です。実際、落札者から直接買い戻す行為は、法律上禁止されていません。
ただし、買い戻しに必要な資金は自己資金で工面できるほど安くはありません。住宅ローンを延滞して競売にかけられた事案は、ブラックリストにより共有されるため、資金調達できる可能性は少ない状況です。
また、競売参加者は主に投資目的の不動産業者や投資家であるため、また家に住みたいといった感情に訴えた交渉は難しいでしょう。
競売にかけられないようにする現実的な2つの対処方針
競売を回避するためには、自宅に住み続けるか自宅を売却するかどうかの判断が重要になります。ここでは、それぞれのケースについて見ていきましょう。
1.自宅に住み続けるケース
自宅に住み続けたまま問題を解決したい場合、「任意売却」または「個人再生」が主な選択肢になります。
任意売却を選択する場合は、競売の「開札期日」の前日までに手続きを完了させる必要があるため、スピード感が重要です。
任意売却後に住み続ける方法は3つあります。
- 交渉して返済計画を見直す方法
- 売却時にリースバック契約によい賃貸してもらう方法
- 親族間売買による購入を依頼して住み続ける方法
また、個人再生を選択する場合は、利用可能な条件の確認が必要です。具体的な要件は、以下のとおりです。
- 家を他の借り入れの担保にしていない
- 保証会社の代位弁済から6カ月以内に申し立てを行う
自宅に住み続けたい場合は、個人の状況や残り時間を考慮して最適な方法を選択しましょう。
2.自宅を売却するケース
自宅を売却する際には、競売を回避した任意売却がおすすめです。おすすめする最も大きな理由は売却価格の違いにあります。
任意売却 | 競売 | |
---|---|---|
売却価格(市場価格対比) | 8〜9割 | 6〜7割 |
任意売却で自宅を売却できると、住宅ローンの残債を大幅に減らすことが可能になるでしょう。
またプライバシー保護や引っ越し費用、退去日なども競売と比べ、債務者にとって有利な条件で手続きが可能です。
まとめ:家が競売にかけられる前に、まずは早めのご相談を
競売にかけられた家の買い戻しは、法的・経済的な制約により現実的ではありません。しかし、競売にかけられる前の対策が重要です。
この記事では、競売を回避するために有効な4つの方法を紹介しました。
- 任意売却
- 個人再生
- リースバック
- 親族間売買
ただし、これらの手続きには専門的な知識と経験が必要であり、交渉やタイミングも重要な要素になります。一人で悩まずに、できるだけ早い段階で専門家に相談しましょう。
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