任意売却の価格はどのくらい?競売との違いや相場より安くなってしまう理由
更新日 2025-02-26

競売になってしまう前に任意売却することで、競売より高値での売却を目指すことが可能です。
本記事では、任意売却と競売との違いや、それぞれどの程度の価格での売却を目指せるのか、また通常の相場と比べて安くなってしまう理由などをご紹介します。
住宅ローンをすでに滞納してしまっている方や、返済が厳しくなってしまったという方は、本記事の内容を参考になさってください。
任意売却と競売の違い
任意売却と競売の違いとしては以下のようなことが挙げられます。
任意売却 | 競売 | |
---|---|---|
売却価格 | 通常価格での売却を見込める8~9割程度 | 6~7割程度 |
残債の支払い | 分割支払いを交渉できる | 一括返済 |
情報公開 | なし | あり |
退去日 | 交渉できる | 強制退去 |
引っ越し費用 | 交渉できる | 出ない |
競売の場合、売却価格は相場の6割~7割程度での売却となることが多いのに対し、任意売却であれば通常相場の8割~9割程度の価格での売却を目指すことができます。
また、競売も任意売却も不動産を売却した後に残債を返済し続ける必要がありますが、競売は基本的に一括で完済する必要があるのに対し、任意売却は交渉次第で月1~3万円など分割返済にしてもらうことが可能です。
その他、競売は情報が公開されるのに対し任意売却は公開されない、競売は強制退去であるのに対して任意売却は交渉できる、競売は引っ越し費用が出ないのに対して任意売却は交渉次第で売却代金から捻出できるといった違いがあります。
任意売却の価格はいくら?
ここでは、改めて任意売却の価格について見ていきましょう。
任意売却は通常売却での売却を見込める8割〜9割
任意売却は通常価格での売却を見込むことができます。通常売却の8割~9割となることが多いです。
任意売却は通常の売却とほとんど同様の方法で売却を進めることになるため、相場程度での売却を目指すことが可能です。
ただし、売却価格を決める際には債権者(金融機関)の同意が必要といった点や、売却に期限がある点には注意しなければなりません。
競売は通常売却の6割〜7割
競売は通常売却の6割~7割となることが多いです。
任意売却や通常売却のように不動産会社が広告を出して問い合わせのあった方を案内し、売買契約する形ではなく、購入希望者による入札形式で新しい所有者が決まります。
競売が任意売却よりも安くなる理由
競売は通常売却の6割~7割と相場よりも安くなってしまいます。通常売却はもちろん、任意売却と比べても安くなってしまいます。
場合によっては、相場の半額以下になってしまうこともあります。
このように、競売が任意売却よりもさらに売却価格が安くなってしまう理由として以下のようなことが挙げられるでしょう。
- 内覧できない
- 自分で立ち退き交渉する必要がある
- 建物に不具合があっても保証がない
- 住宅ローンを組めないケースがある
上記のように、買主側にとって不利な条件となることが多く、その分、相場より安い価格での売却となってしまうのです。
任意売却の価格はどう決まる?
ここでは、任意売却の価格がどのように決まるのか見ていきましょう。
任意売却の価格は自由に決めることは出来ない
任意売却は通常売却とほとんど同じ方法で売却を進めていくことができますが、売却価格を自由に決めることができません。
任意売却は債権者(金融機関)と交渉しながら売却を進めていく必要があり、売却価格も債権者(金融機関)の合意を得る必要があるのです。
任意売却で価格が安くなってしまうことがある理由を行う際に、価格が安くなる理由
任意売却は通常価格での売却を見込めますが、以下のような理由から、通常売却より価格が安くなってしまうケースがあります。が通常売却と比べて価格が安くなる理由には以下のようなものがあります。
- 任意売却には期限があるため
- 現状のまま売却する必要があるため
- 瑕疵担保責任が免責となるため
それぞれ見ていきましょう。
任意売却には期限があるため
任意売却は競売が開始するまでに売却を完了する必要があります。
このため、期間内に買主を見つける必要があり、相場より安い価格で売り出したり、値引き交渉に応じたりしなければならないことが多いです。
現状のまま売却する必要があるため
通常売却であれば、売却前に、必要に応じてハウスクリーニングやリフォームを実施してから売却することが多いです。
一方、任意売却はそうした費用を捻出することが難しいため、現況有姿で売却することが多くなっています。
瑕疵担保責任が免責となるため
任意売却は原則、瑕疵担保責任を免責としたうえで売買契約を締結します。
瑕疵担保責任とは、売却する不動産に何らかの瑕疵(欠陥)があった場合に、売主が買主に対して責任を負う必要があるもので、通常の売却では瑕疵担保責任を負う期間を設定します。
任意売却では、この責任を免責とする分、買主としては物件の購入にリスクがあるため、売却価格が安くなってしまうのです。
なお、瑕疵担保責任は法改正により契約不適合責任となっています。
契約不適合責任では、契約書の内容と実際の物件に不適合がある場合、売主から買主に対して責任を負う必要がありますが、任意売却では売買契約書に契約不適合責任免責の条件をつけます。
任意売却後、住宅ローンはどうなる?
任意売却後、住宅ローンはどうなるのでしょうか?
残債は引き続き支払いが必要
任意売却後、残債は引き続き支払う必要があります。
とはいえ、そもそも住宅ローンの返済が厳しいことから任意売却を選択することになるものです。
このため、金融機関との交渉次第で月1~3万円程度での分割返済にしてもらうことも可能です。
住宅ローンが払えない場合
金融機関と交渉して分割返済にしても残債を支払えない場合、もしくは金融機関に分割返済を認めてもらうことができず、支払いが厳しい場合、以下のような手続きを検討する必要があるでしょう。
- 個人再生
- 自己破産
個人再生は裁判所に申し立てて一定期間返済したのちに、借金を免除してもらう方法です。
また、自己破産は裁判所に申し立てて、返済等せずに借金を免除してもらう方法です。
個人再生の場合、一定の条件を満たせば車や家を引き続き所有できるのに対し、自己破産では必要最低限の財産以外は差し押さえとなります。
任意売却を成功させるためには
任意売却を成功させるには、以下のような点を押さえておきましょう。
早くに相談することが必要
任意売却は競売までの間で売却を完了させる必要があるため、早めに相談することが大切です。
住宅ローンを滞納してから、1年から1年半ほどで競売の手続きが開始しますが、任意売却は、競売が開始するまでの間に引き渡しまで完了する必要があります。
任意売却は売却開始からどの程度の時間をかければ売却できるかが分かりません。
期限が近い状態で売却を進めると、購入希望者からの値下げ交渉で、よくない条件で売却せざるを得ない状況になってしまうこともあるでしょう。
上記のような状態をできるだけ避けるためにも、任意売却はできるだけ早い段階で相談しましょう。
成功事例が豊富な業者に相談することが重要
任意売却は金融機関との交渉や購入希望者への説明など通常の売却と比べて専門性が求められます。
例えば、売却価格を決定するにも債権者(金融機関)の承諾を得る必要がありますし、購入希望者に対しても、契約不適合責任がつかないなど法的な違いを説明しなければなりません。
このため、過去に任意売却の実績が豊富で、かつ成功事例の多い業者に相談することが重要です。
普通の不動産では取り扱う機会が少なく、慣れていないため、専門で行っている業者に相談するようにしましょう。
まずはご相談ください
競売の場合、相場と比べて6~7割程度での売却となることが多いのに対し、任意売却であれば通常価格の8~9割での売却を目指すことができます。
また、売却後に分割返済を交渉できたり、売却代金から引っ越し資金を捻出してもらえるよう交渉したりといったことも可能です。
住宅ローンの返済を滞納してしまった場合、最終的に競売になってしまうより前に、任意売却での売却を目指すことをおすすめします。
任意売却は競売が開始するまでに引き渡しまで完了する必要があるため、早めに売却を始めることが大切です。
また、任意売却は通常の売却と同じ方法で売却するとはいえ、債権者との交渉など特殊な手続きを含みます。
このため、任意売却の実績豊富な不動産会社に依頼することが大切です。
任意売却について分からないことを相談したいという方は、まずは全国任意売却協会までご相談ください。
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