任意売却で引っ越し代を負担してもらうには?ポイントを徹底解説
更新日 2025-10-29
任意売却(にんいばいきゃく)では、引っ越し代を負担してもらえるケースもありますが、必ずしも該当するわけではありません。一体どのような場合に引っ越し代を負担してもらえるのか、気になる方もいるでしょう。
本記事では、任意売却と引っ越し代の関係について、わかりやすく解説します。任意売却を検討している方は、ぜひ最後まで読み参考にしてください。
任意売却では引っ越し代金を出してもらえる?
任意売却では、以下のような場合に限り引っ越し代金をもらえる可能性があります。
- 善意をもって交渉が行われる場合
- 物件が高値で売却できる見込みがある場合
一方で、競売(けいばい)の場合は、裁判所から退去命令が出るため、立ち退き料(引っ越し代)を出してもらう事はできません。
任意売却は、状況や交渉次第で引っ越し代を出してもらえますが、必ずしも該当するわけではない点も理解しておきましょう。
引っ越し代金の相場
任意売却で出してもらえる引っ越し代の相場は、10~30万円程度です。
実際の引っ越し代は時期や家族構成、移動距離によって大きく異なります。とくに、引っ越し繁忙期といわれる2~4月は費用が高くなり、閑散期では比較的安くなる傾向があります。
| 家族構成 | 繁忙期費用相場 | 閑散期費用相場 |
|---|---|---|
| 荷物の少ない単身者 | 57,029円 | 46,391円 |
| 荷物の多い単身者 | 81,263円 | 60,146円 |
| 2人家族 | 104,893円 | 78,700円 |
| 3人家族 | 130,699円 | 97,337円 |
| 4人家族 | 165,898円 | 120,645円 |
| 5人家族以上 | 217,041円 | 169,042円 |
家族の人数が多く、移動する荷物が多いほど引っ越し費用は高額になる傾向にあります。荷物を減らしたり繁忙期を避けたりする工夫をすれば、費用を抑えることも可能です。
必要となる書類
引っ越し代を受け取る際は、債権者(さいけんしゃ)ごとに異なる条件や書類の提出が求められるケースもあります。一般的には引っ越し代にかかった費用を証明するために、以下のような書類が必要です。
- 引っ越し会社の見積もり
- 建て替えの領収書
詳細な条件は債権者や状況によって異なるため、事前の確認が重要です。
なぜ任意売却では引っ越し費用を出してもらえるのか?
任意売却では、引っ越し費用を債権者が負担する方法と、買主に負担してもらう2つの方法があります。
引っ越し代を出してもらえる主な理由は以下のとおりです。
- 任意売却の促進による回収額を最大化するため(債権者)
- 競売回避によるコストを削減するため(買主)
債権者と売主にとってメリットがある場合、引っ越し費用を負担してもらえる可能性が高まります。以下で具体的なメリットについて、詳しく解説します。
債権者が払うメリット
引っ越し代を出す、債権者側のメリットは、任意売却を行うことで市場価格に近い金額で物件を売却できる点です。
任意売却では、競売と比べて債権の回収額は3割程度増える可能性があります。
しかし、債務者(任意売却する本人)が引っ越し費用を用意できないと退去が進まず、最終的に競売に移行するリスクが高まります。
そのため、債権者となる金融機関が引っ越し費用を負担することで、退去手続きをスムーズに進ませる事ができます。競売に移行せず回収額を最大化できる点が、債権者にとっての大きなメリットとなります。
買主が払うメリット
買主にとってのメリットは、任意売却によって安価で良質な物件を購入できる点です。任意売却では居住者が退去しなければ売却が完了しないため、退去の促進を目的として引っ越し代を負担してくれるケースもあります。
ただし、以下のような理由からも、買主が引っ越し代を負担するケースは非常に稀です。
- 債権者に負担してもらったほうが好ましい。
- 住宅ローンに引っ越し代金を組み込めない。
買主が引っ越し代を負担してくれるケースは、例外的だと覚えておくとよいでしょう。
引っ越し代金を出してもらいやすくするためにできること
引っ越し代金を負担してもらうには、債権者との交渉が重要です。
以下3つのポイントを押さえておくと、費用を出してもらいやすくなる可能性があります。
| ポイント | 解説 |
|---|---|
| 1.引っ越し代を捻出できないことを誠心誠意伝える | 自身の経済状況を正直に伝え、引っ越し費用の用意が難しい旨を説明する。 |
| 2.債権者との信頼関係を築く | 良好な関係が築かれていると、債権者にとって有利な条件を受け入れてもらいやすくなる。 |
| 3.できる限り高い金額で不動産を売却する | 物件を可能な限り高く売却することで、債権者が引っ越し費用を負担する余地が生まれる。 |
このような工夫をすれば、引っ越し代金を負担してもらえる可能性が高まります。ただし、必ず負担してもらえるわけではない点を念頭においておきましょう。
引っ越し代金を出してもらえないケース
任意売却の引っ越し代は、あくまで債権者(金融機関)が売却を円滑に進めるために、売却代金から配分を「認めてくれる」費用です。債務者の権利として保証されているものではありません。
そのため、「引っ越し代を支払わなくても売主は退去できる」と債権者が判断した場合、交渉が難航したり、拒否されたりする可能性が高まります。
- 貯蓄に余裕があると判断された場合
債権者は、売主の経済状況を(申告に基づき)確認します。もし手元に十分な預貯金があると判断されれば、「ご自身の資金で引っ越しできる」とみなされ、費用を認めてもらうのは困難です。 - 車や貴金属など、換金可能な資産を所有している場合
預貯金と同様に、売却して引っ越し代に充てられる資産があると判断された場合、債権者から見れば「引っ越し代を負担する必要がない」ため、優先的にそちらを使うよう求められます。 - 金銭的に支援してくれる親族がいる場合
交渉の過程で、親族(親や兄弟など)からの援助が見込めることが判明した場合、そちらを優先するよう促されることがあります。 - 債権者が費用負担を認めない方針をもっている場合
金融機関や保証会社によっては、「引っ越し代は一切認めない」という厳格な内部ルールを設けている場合があります。この場合、どれだけ交渉しても承認を得るのは非常に困難です。 - 依頼した不動産会社の交渉力不足
これが最も注意すべき点です。任意売却の経験が浅い業者だと、債権者との交渉ノウハウがありません。「どうすれば認めてもらえるか」を知らないため、債権者の言いなりになり、あっさり断られてしまうケースも多いのです。
ご自身の資産状況や債権者の方針は変えられませんが、「どの不動産会社に依頼するか」は売主様が唯一コントロールできる重要なポイントです。
引っ越し代の確保を含め、任意売却を有利に進めるためには、債権者との交渉実績が豊富な任意売却の専門家に依頼することが不可欠です。
任意売却で引っ越し費用を確保するために知っておくべきことは?
任意売却で引っ越し費用を確保できるかどうかは、債権者(金融機関)との交渉次第です。債権者には引っ越し代を支払う義務はなく、「費用を捻出できない」という状況を誠意をもって伝え、理解を得る必要があります。
交渉を有利に進め、引っ越し費用を確保しやすくするために、以下のポイントを知っておきましょう。
交渉を有利に進める3つのポイント
引っ越し代金を負担してもらうには、債権者との交渉が重要です。
以下3つのポイントを押さえておくと、費用を出してもらいやすくなる可能性があります。
| ポイント | 解説 |
|---|---|
| 1.引っ越し代を捻出できないことを誠心誠意伝える | 自身の経済状況を正直に伝え、引っ越し費用の用意が難しい旨を説明する。 |
| 2.債権者との信頼関係を築く | 良好な関係が築かれていると、債権者にとって有利な条件を受け入れてもらいやすくなる。 |
| 3.できる限り高い金額で不動産を売却する | 物件を可能な限り高く売却することで、債権者が引っ越し費用を負担する余地が生まれる。 |
このような工夫をすれば、引っ越し代金を負担してもらえる可能性が高まります。ただし、必ず負担してもらえるわけではない点を念頭においておきましょう。
引っ越し代金を保証している業者は注意が必要
本来、引っ越し費用は債権者との交渉によって決まるため、事前に特定の金額を保証することは難しいといえます。それにもかかわらず、高額な引っ越し代金を確約する業者には注意が必要です。
とくに、以下のような業者には注意してください。
- 過大な広告で集客している可能性
- 不当な費用を請求される可能性
- 任意売却の専門知識が欠如している可能性
このような業者と関わると、かえって不利益を被るリスクがあります。任意売却の相談先は、上記点に注意して選ぶようにしましょう。
今の家に住み続ける方法も
任意売却では、現在の住まいに住み続けられる以下2つの方法があります。
| 方法 | 特徴 |
|---|---|
| リースバック | 所有する不動産を第三者に売却後、同じ物件を賃貸契約により借りて住み続ける方法 |
| 親族間売買 | 所有する不動産を親族に売却し、その後も住み続ける方法 |
以下でそれぞれの内容を詳しく解説します。
リースバック
リースバックは所有する不動産を第三者に売却し、同じ物件を賃貸契約によって借りることで住み続けられる方法です。この仕組みには以下のメリットとデメリットがあります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 生活環境を維持できる 経済的負担を軽減できる 将来的に再購入できる可能性がある | 所有権が失われる 家賃の支払い義務がある 再購入は保証されない |
リースバックは、生活を続けながら経済的負担を軽減できる有効な手段ですがリスクもつきものです。リスクや条件を十分に理解するためにも、必ず専門家に相談しましょう。
親族間売買
親族間売買は、不動産を親族に売却し、その後も同じ家に住み続けられる方法です。この方法には以下のメリット・デメリットがあります。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 生活環境を維持できる 所有権を家族内で保持できる | 金融機関が融資を行わない可能性が高い 適正でないと贈与とみなされるリスクがある 子どもの将来に影響を与える可能性がある |
親族間売買は、親の債務を子どもが肩代わりするとみなされ、金融機関に断られるケースが多い傾向にあります。贈与とみなされて贈与税が発生したり、子どもが将来新たなローンを組めなくなったりするなど、リスクの多い方法です。
実行に移す際は、慎重な判断のもと専門家へ相談しましょう。
あわせて読みたい
まずはお早めに相談ください
本記事では、任意売却で引っ越し代金は負担してもらえるのかについて詳しく解説しました。
引っ越し代金の負担は、交渉次第の結果であり、債務者の義務ではありません。そのため、状況を正直に説明し、債権者に理解してもらう必要があります。
早めに相談すれば選択肢が増え、適切な解決策を見つけられる可能性が高まります。少しでも不安がある場合は、専門家への相談を優先してください。

