競売と公売の違いとは?メリット・デメリットや回避する方法を解説
更新日 2025-09-16


「競売と公売は似た言葉だが、住宅ローンを滞納した場合には「競売」、税金を滞納した場合には「公売」が行われる。」
いずれも滞納金を回収するための手続きであり、自宅を売却して資金を充当することになります。
ただし、売却後も残債が残る場合があるため注意が必要です。
一方で、任意売却といった方法を利用すれば、競売や公売を避けられる可能性もあります。
本記事では、競売と公売の違いやメリット・デメリット、回避方法などについて解説します。
競売と公売の基本的な違い
競売と公売は名前が似ていますが、それぞれ内容が異なります。その違いを正しく理解しておくことが大切です。
ここでは、競売と公売の仕組みや特徴、違いについて見ていきましょう。
競売とは
競売とは、住宅ローンの返済が滞り、契約者が支払いを続けられない場合に、金融機関が裁判所に申し立て、不動産を強制的に売却して資金を回収する手続きのことです。
売却によって得られた資金は債務のローンの返済に充当されます。
また、裁判所を通じて進められるため、契約者の意思にかかわらず手続きが進行します。
競売は、担保不動産競売と強制競売の2種類あります。
公売とは
公売とは、税金を滞納した際に国や自治体が不動産を差し押さえ、売却して資金を回収する手続きのことです。
売却によって得られた資金は、滞納している税金の支払いに充てられます。
公売も競売と同様に入札方式で行われ、最も高い価格を提示した人が落札者となります。
競売と公売の違い
競売 | 公売 | |
---|---|---|
債権者 | ・銀行 ・保証会社 ・不動産会社 ・個人 |
・税務署 ・国税局 ・自治体 |
根拠となる法律 | 民事執行法 | 国税徴収法 地方税法 |
目的 | 滞納した債権(住宅ローン)の回収 | 滞納した税金の回収 |
競売は、住宅ローンを融資した銀行や不動産会社などが債権者となり、裁判所の手続きによって進められます。
一方、公売は税金滞納が原因で実施され、債権者は国や地方自治体などの行政機関となり、裁判所を介さずに手続きが行われる点が異なります。
また、競売は民事執行法にもとづいて行われ、公売は国税(所得税など)の場合は国税徴収法、地方税(固定資産税など)の場合は地方税法が根拠となります。
競売は住宅ローンなどの債権回収を目的として実施され、対象となるのは主に不動産です。
公売は滞納した税金や社会保険料を回収するために行われ、不動産に加えて車や宝石など幅広い資産も対象となるといった違いがあります。
参照:民事執行法 | e-Gov 法令検索
国税徴収法 | e-Gov 法令検索
地方税法 | e-Gov 法令検索
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競売のメリット・デメリット
競売のメリットとデメリットを買い手と売り手の両方の立場から把握しておくことで、理解がより深まり、自分に合った方法かどうか判断しやすくなります。
それぞれのメリットとデメリットは、次のとおりです。
買い手(購入者)の視点
買い手にとっての競売物件の大きなメリットは、市場価格より2〜3割ほど安く購入できる可能性があることです。
また、築浅で状態の良い物件に出会えるケースもあります。
一方で、デメリットとしては、事前に内覧ができないことや契約不適合責任(瑕疵担保責任)が適用されない点が挙げられます。
さらに、落札後も居住者が退去せず、引き渡しに時間や手間がかかるリスクもあるため注意が必要です。
売り手(元の所有者)の視点
売り手にとってのメリットは、競売によって住宅ローン残債の一部を返済できることです。
しかしその一方で、市場価格より安く売却されることが多く、売却代金を返済に充てても残債が残る可能性がある点がデメリットとなります。
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公売のメリット・デメリット
公売についても、買い手と売り手の立場によって捉え方が異なるため、それぞれのメリット・デメリットを理解しておくことが大切です。
公売のメリット・デメリットは、次のとおりです。
買い手(購入者)の視点
公売のメリットは、市場相場より3〜4割ほど安く購入できる可能性があることです。
さらに、市場に出回らない物件を手に入れられるケースもあります。
一方、デメリットとしては、事前に内覧ができないことや契約不適合責任(瑕疵担保責任)が適用されないことが挙げられます。
また、残置物の処分や滞納金に関するトラブルが発生するリスクもあるため注意が必要です。
売り手(元の所有者)の視点
売り手にとってのメリットは、滞納していた税金や社会保険料を整理できることです。
ただし、市場価格より安く売却されることが多く、売却後も生活の立て直しが簡単ではない点はデメリットとなります。
競売・公売を避けるための方法
競売や公売を避ける方法には、滞納金の一括返済や債務整理、任意売却などがあります。
これらを事前に把握し、状況に合った方法を選ぶことで、競売や公売の手続きに進むのを防ぐことが可能です。
ここでは、それぞれの方法について確認していきましょう。
滞納金を一括返済する
競売や公売は滞納が原因で実施されるため、例えば親族から資金を借りて住宅ローンや税金の滞納分を一括で返済すれば、手続きを回避することが可能です。
ただし、滞納額が大きい場合は資金を借りること自体が難しいケースも少なくありません。
また、滞納分を返済するために消費者金融などから借り入れるのは、負担を増やすだけで本末転倒となるため避けるべきです。
債務整理で借金問題に対応する
債務整理には、「任意整理」「個人再生」「自己破産」の3種類があります。
- 任意整理:金融機関と交渉し、利息のカットや分割返済によって毎月の返済負担を軽減する方法
- 個人再生:裁判所に申立てし、借金を減額して分割返済(3〜5年)する方法
- 自己破産:裁判所に申立てし、借金を全額免除してもらう方法
これらの手続きにより、競売・公売を避けられる可能性があります。
しかし、信用情報に記録されることや裁判所を通すために時間や費用がかかるなど、生活への影響は小さくありません。
また、状況に合わせて最適な方法を選ぶことが大切なため、弁護士や司法書士といった専門家に相談しながら進めることが大事です。
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任意売却を利用して家を売却する
任意売却とは、住宅ローンを滞納した場合に、金融機関の許可を得て自宅を売却し、ローン返済に充てる手続きのことです。
市場価格に近い金額で売却でき、残債の返済方法も交渉可能です。
自己資金の持ち出しが必要なく、引き渡し日の調整もできます。
また、競売のように経済事情が公にならないため、プライバシーも守られやすいです。
ただし、任意売却には専門的な知識や交渉スキルが必要なため、住宅ローン問題に詳しい専門業者へ相談し、サポートを受けながら進めることが重要です。
競売・公売の売却代金の充当順位
競売・公売を行ったときの売却代金の充当順位(配当順位)は、以下のとおりです。
- 競売手続きにかかる費用に関する債権
- 公租公課(税金)
- 抵当権などで担保されている債権
- 優先権のない一般の債権
最優先となるのは手続きにかかる費用で、その次が税金、さらに抵当権などの担保債権が続きます。
売却代金がどの債権に充てられるかを踏まえた上で、売却後にどれくらい残債が返済できるか、手元に資金が残るかをシミュレーションしておくことが重要です。
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競売・公売で残債が残った場合の対処法
競売や公売によって残債が発生した場合は、金融機関などと話し合い、無理のない計画を立てて返済することが基本的な対応となります。
しかし、返済がどうしても難しい場合には、債務整理を活用して借金を減額し分割返済する方法や、自己破産によって全額免除を受ける方法も選択肢となります。
今後の生活を見据えて、最適な選択をすることが大切です。
そのため、専門業者や弁護士などの専門家に相談し、アドバイスを受けながら進めることをおすすめします。
競売と公売の違いを理解して適切に対応することが重要
競売と公売は、実施機関や目的に違いはあるものの、どちらも滞納が原因で行われる手続きです。
これらを回避するための方法として、任意売却や債務整理があります。
競売や公売、任意売却、債務整理の特徴を理解し、自身の状況を踏まえて適切な選択をすることが重要です。
専門家のアドバイスを受けながら進めると、より安心して手続きを進められます。
当サイトを運営する一般社団法人 全国任意売却協会では、状況に合わせた的確なアドバイスとサポートを提供しています。お気軽にご相談ください。
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