住宅ローンの残債があっても家を売却できる?オーバーローンの状態でも売却できる方法をご紹介
更新日 2025-02-25

通常、住宅ローンの残債が残っている場合は家を売却することができません。
ただし、家の売却代金で住宅ローンを完済できる場合には、売却と同時に抵当権を抹消できるため、家を売却することも可能です。
本記事では、住宅ローンの残債が残る家の売却について、アンダーローンの場合とオーバーローンの場合の違いや、任意売却などオーバーローンでも売却できる方法をご紹介します。
住宅ローン残債があっても家の売却は可能
住宅ローンの残債がある場合でも、売却は可能です。
住宅ローンを組むと物件に対して抵当権を設定する必要があります。
抵当権とは、家を担保に、住宅ローンの返済が滞ってしまったときに、家を売却して優先的に弁済を受けることができる権利のことです。
抵当権が残ったまま家を売却することはできません。
しかし、家を売却した売却代金と、手持ちの資金などを合わせて、家の売却時に残債を完済できれば、住宅ローン残債があっても家を売却することは可能なのです。
また、残債が完済できない場合でも家を売却できる「任意売却」については記事後半でご紹介します。
残債がある家を売却する前に確認しておくこと
住宅ローンの残債がある家でも、売却は可能です。
しかし、家の売却時点で住宅ローンの残債を完済できなければなりません。
このため、残債がある家を売却する前には、以下のようなことを事前に確認しておくことが大切です。
- 住宅ローン残債の把握
- 自分の価値を確認
- 不動産会社に査定の依頼を行う
それぞれ見ていきましょう。
住宅ローン残債の把握
まずは正確な住宅ローン残債の額を把握しておきましょう。
金融機関の担当者に確認することで、住宅ローン残債の額を把握できます。
自宅の価値を確認
次に、売却する家の価値を確認します。
具体的には以下のような方法が挙げられるでしょう。
- 近隣の類似物件を参照する
- 固定資産税評価額から家の価値を算出する
まずは近隣の類似物件を調べてみるのがおすすめです。
大手不動産情報サイトで近隣のエリアにある物件を確認して、面積や築年数などが似た物件を調べることで、おおよその相場を確認できます。
なお、マンションはこの方法で家の価値を調べやすいですが、戸建ての場合は個別性が高く、少し難易度が高くなってしまう点に注意が必要です。
また、固定資産税評価額から家の価値を算出する方法もあります。
固定資産税評価額とは、主に固定資産税を算出するために3年に1回、自治体が家の価値を評価するものです。
固定資産税評価額は、3年に1回しか評価が行われないこともあり、期間中の価値の変動による納税者間の不公平をなくするために、時価の70%程度を目安に定めることとされています。
このため、固定資産税評価額を70%で割ることで、時価=取引額の目安を知ることができるのです。
例えば、固定資産税評価額が1,000万円の物件の場合、1,000万円÷70%=約1,428万円と計算できるのです。
なお、固定資産税評価額は、家の所有者に毎年送付される固定資産税の納付書で確認できます。
不動産会社に査定の依頼を行う
家の価値を知る方法として、不動産会社の査定を受けておくことも大切です。
不動産会社の査定ては、一般的に3ヶ月以内に売れるであろう価格を算出してもらうことが可能です。
実際に売却する際には、不動産会社の査定を受けることになりますが、早い段階で査定を受けておくことでその後の計画を立てやすくなるでしょう。
なお、不動産会社はプロとはいえ、査定額は不動産会社によって異なります。
また、売却希望者が複数の不動産会社に査定を依頼することを見越して、最終的に自社で媒介契約を結んでもらえるように、相場よりやや高値の査定額を提示することがあります。
このため、事前に自分である程度査定額の相場を調べたり、複数の不動産会社に査定を依頼して比較したりすることが大切です。
アンダーローンの場合の売却方法

家の価値が住宅ローンの残債より高い状態のことをアンダーローンと呼びます。
アンダーローンであれば、家の売却代金で住宅ローンを完済できるため、住宅ローンの残債があっても特に問題なく売却を進めることが可能です。
ただし、家の売却には仲介手数料や登記費用などさまざまな費用がかかるため、それらの費用も含めて資金計画を立てなければなりません。
また、値下げや値引きにより査定額より大きく下がった価格での契約となることもあるため、注意が必要です。
オーバーローンでも売却する方法
家の価値が住宅ローンの残債よりも低い状態のことをオーバーローンと呼びます。
オーバーローンの場合、家の売却代金で住宅ローンを完済できないため、そのままでは家を売却できません。
ここでは、オーバーローンでも家を売却する方法として、以下の3つをご紹介します。
- 自己資金を用意できるなら売却代金と合わせて住宅ローンを一括返済
- 住み替えローンの検討
- 任意売却
それぞれ見ていきましょう。
自己資金を用意できるなら売却代金と合わせて住宅ローンを一括返済
オーバーローンの状態であっても、差額分を自己資金で用意できるのであれば、住宅ローンを完済して家を売却可能です。
例えば、住宅ローンの残債が2,500万円で、家を売却して用意できる資金が2,000万円の場合、差額の500万円を自己資金で用意できれば、家を売却できます。
住み替えローンの検討
オーバーローンの場合で、差額分を自己資金で用意できない場合には住み替えローンの利用を検討するのも一つの方法です。
住み替えローンとは、家を売却して新しく別の家を購入する際に、足りない資金を新居のローンに組み込むことができるローンのことです。
住み替えローンは、住み替えする家の担保価値より大きいお金を借入することになるため、通常の住宅ローンと比べて審査が厳しく、また金利も高めで設定されることが多い点に注意が必要です。
任意売却
オーバーローンの状態で家を売却できない理由は、抵当権のある家を売却できないからです。
任意売却は、債権者(金融機関)と交渉して、住宅ローンの残債を残したままでも家を売却できるようにする方法です。
収入の変化などを理由に、住宅ローンの返済が厳しくなったといったケースでも、オーバーローンの状態では家を売却できません。
返済が滞ってしまうと最終的に競売となってしまいます。
一方、早い段階で任意売却できれば、家の売却代金で住宅ローンの残債を大きく減らすことができ、競売や自己破産を逃れやすくなります。
実際に任意売却の手続きを進めた後も、ローン滞納から1年程度経つと競売が始まってしまい、任意売却できなくなります。
住宅ローンの返済が厳しくなってきたと感じた方は、早い段階で任意売却の専門業者に相談しましょう。
住宅ローン残債があって売却できない場合は早めに相談しよう
住宅ローン残債があってもアンダーローンの状態であれば問題なく売却できますが、オーバーローンの状態だと自己資金を用意できたり、住み替えローンを利用できるだけの収入があったりする必要があります。
一方、自己資金の用意が難しく、住み替えローンの審査に通るのが難しいといった方でも、債権者(金融機関)と交渉して任意売却することは可能です。
住宅ローンの残債があり、オーバーローン状態で売却できずに困っているという方は、任意売却を視野に入れて、まずは相談してみてはいかがでしょうか。
ご相談は全国から無料で受付中!