病気で住宅ローンが支払えないときの確認ポイントや対処法について解説
更新日 2025-04-02
・病気やケガで収入が減り、住宅ローンの支払いが難しくなった
・このままでは家を手放すしかないのか
・滞納が続くのは避けたい
こうした悩みを抱える方は少なくありません。
家族に迷惑をかけたくないと、対策を探している方も多いでしょう。
実際、団信や医療保険、公的制度が利用できるケースもあります。
本記事では、病気やケガで住宅ローンが払えない場合の対処法について解説します。
住宅ローンの支払いにお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
病気よって住宅ローンが払えなくなってしまったら確認すべきこと
病気やケガで収入が減り、住宅ローンの支払いが困難になったとしても、すぐに家を手放す必要があるとは限りません。
まずは、加入中の保険や公的制度が使えるか確認しましょう。
ここでは、状況に応じた主な対処法を紹介します。
高度障害に該当しているのか
高度障害とは、病気やケガにより身体機能が大きく損なわれ、日常生活が困難になる状態です。
以下に、具体例を示します。
- 両目の視力を完全に失った
- 言葉を話す能力や咀嚼機能を完全に失った
- 重度の脳障害や内臓疾患により継続的な介護が必要
- 両腕・両足をそれぞれ手首・足首より上で失うか、完全に機能を失った状態
- 片腕を手首より上、片足を足首より上で失うか、両方の機能を失った状態
上記に該当し、団体信用生命保険(団信)に加入していれば、住宅ローンの残債が補償されます。
団信は、住宅ローン契約時に病気や死亡に備えて金融機関が加入を義務付ける保険です。
返済不能リスクを軽減するために設けられています。
債務返済支援保険に加入しているのか
債務返済支援保険とは、病気やケガによる収入減に備える保険です。
以下のような場合に保険金が支払われ、住宅ローン返済をサポートしてくれます。
- 30日以上の長期療養を余儀なくされた場合
- 1回の入院で最大25ヵ月、返済金相当額を補償
ただし、補償内容は保険会社によって異なります。
加入している医療保険の内容
医療保険に付帯して「就業不能保険」に加入しているケースがあります。
これは、病気やケガで長期間働けなくなった際に給付金を受けられる保険です。
一時金や年金、月払のいずれかで支給されるのが一般的です。
例:就業不能状態が60日以上継続した場合
- 1年5ヵ月まで:短期就業不能給付金として毎月一定額が支給される
- 1年6ヵ月以降:長期就業不能給付金として異なる金額が毎月支給される
なお、住宅ローン返済を直接補償する保険ではないため、加入の有無を確認後、その内容を把握しておきましょう。
※補償内容は契約によって異なる
参照:就業不能保障保険
傷病手当金が活用できるか
健康保険に加入する会社員や公務員は、病気やケガで働けなくなった場合、最長1年6ヵ月「傷病手当金」を受給できます(※国民健康保険は対象外)。
支給額は給与の約2/3で、家計を見直せば住宅ローン返済継続も可能です。
申請先
- 健康保険組合
- 協会けんぽ(全国健康保険協会)
支給例
月給30万円の場合(直近12ヵ月分の平均月収)
1日約6667円(30万円÷30日×2/3)
※ただし、労災保険と重複不可の場合もあるため要確認
参照:全国健康保険協会
労災保険が活用できるか
業務中や通勤中にケガを負った場合、労働保険が適用されます。
以下の労働者が対象です。
- 業種・規模に関係なく、1人でも雇用している事業所
- アルバイトやパートも対象(雇用形態は問わない)
「休業補償給付」で平均賃金の60%、さらに「休業特別支給金」で20%が支給され、合計で約8割の補償が受けられます。
各種保険・公的制度による保障を利用できない際の対処法
保険や公的制度の適用が難しい場合でも、住宅ローンの返済を続けるための手段はあります。
ここでは、保険や制度が使えない場合に検討できる3つの方法を紹介します。
金融機関にリスケジュールの交渉を行う
「リスケジュール(リスケ)」とは、ローンの返済計画を見直し、月々の負担を軽減する方法です。
例えば、以下のような対応が考えられます。
- 返済期間を35年から40年に延長
- 一定期間は利息のみを支払い、元本の返済を据え置く
ただし審査があり、将来の収入回復が見込まれる人向けの対処法です。
また、返済期間は延びるが、支払総額は増えるため、無理のない範囲で検討しましょう。
親族間の借り入れやその他の金融支援を打診する
家族や親族に一時的な支援をお願いできる場合、無利息または低利で借りられることがあります。
ただし、次の点に注意が必要です。
- 金利や返済計画を明確にしないと、贈与とみなされ課税されるリスクがある
- 年間110万円以上受け取った場合は贈与税の対象となる
また、信用金庫や信用組合の融資を受けることも有効な選択肢で、以下のような特徴があります。
- 一般の銀行よりも審査に通りやすい
- 年収基準が緩い場合がある
※融資まで時間がかかることがあるので要注意
家の売却を検討する
返済の目処が立たない場合、家の売却によってローンの負担を軽減する選択肢もあります。
ここでは、売却のメリット・デメリット、そしてオーバーローン時の対処法について解説します。
家を売却するメリットとデメリット
売却には以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
- 売却価格がローン残債を上回れば、完済後に資金が手元に残る
- 新居購入や引っ越し費用に充てられる
デメリット
- 売却価格がローン残債を下回る場合、売却後もローンが残る
- 売却には費用や時間がかかる(仲介手数料、買主が見つかるまでの期間など)
- 引っ越し費用が不足し、生活に支障が出る可能性がある
このような点を踏まえ、自身の状況を整理したうえで慎重に判断しましょう。
オーバーローンの場合は任意売却という手段がある
オーバーローンとは、物件の売却価格がローン残債を下回っている状態を指します。
この場合、通常の売却が難しいため、「任意売却」という方法を検討します。
任意売却とは、金融機関の同意を得て、市場価格に近い金額で家を売却する手続きです。
ローンが残っていても売却が可能になるため、競売を回避しやすくなります。
住宅ローンの滞納を放置するといずれは競売に
住宅ローンの滞納が続くと、最終的には競売に発展するリスクがあります。
競売は以下のような流れで手続きが進んでいきます。
- ローンの分割払いができなくなる(期限の利益喪失)
- 保証会社が代わりに返済する(代位弁済)
- 債権者が保証会社に移り、一括返済を請求される
- 応じられない場合、競売が申し立てられる
競売になると、市場価格よりも安く家を手放すことになり、引っ越しの猶予も限られます。
この事態を避けるためにも、早めに任意売却などの手段を検討し、専門家へ相談することが重要です。
病気によって住宅ローンが払えなくってしまった場合でも家に住み続ける方法
病気やケガで収入が減っても、自宅を手放さずに住み続ける方法があります。
ここでは、主な3つの方法を紹介します。
個人再生
個人再生とは、裁判所を通じて借金を減額し、3~5年かけて返済していく制度です。
また、「住宅資金特別条項(住宅ローン特則)」を申し立てると、住宅ローンを手続きの対象外にでき、持ち家を残せます。
以下は、個人再生の主な特徴です。
- 債務を最大8割カットできる
- 自宅を残しながら経済的な再建を目指せる
- 住宅ローン以外の借入がある場合にのみ利用可能
このように、生活再建を目指す方にとって、有効な選択肢です。
リースバック
リースバックとは、自宅を不動産会社や投資家に売却し、その買主と賃貸契約を結ぶことで引き続き住み続ける方法です。
住宅ローン滞納時の競売回避として有効な手段となります。
リースバックの特徴や注意点を見てみましょう。
- 売却価格に応じて家賃が決まる(高く売ると家賃も高くなる)
- オーバーローンでも、金融機関の承諾が得られれば、任意売却と合わせて活用可能
- 任意売却とリースバックを成功させるには、債権者との交渉が不可欠
こうした点を踏まえて、実績のある専門の不動産会社に相談することが重要です。
ただし、なかには悪質な会社もあるため、依頼先は慎重に選びましょう。
関連記事:任意売却後にリースバックできる?それぞれの特徴や違いと組み合わせるメリット・デメリット親族間売買
親族間売買とは、親族に自宅を買い取ってもらい、そのまま住み続ける方法です。
「他人に家を売りたくない」「今の家に住みづつけたい」といった希望がある方に適しています。
ただし、一般的な不動産取引とは異なり、以下の点に注意が必要です。
- 住宅ローン審査が厳しくなる傾向がある
- 安すぎる価格だと、贈与とみなされ課税される可能性がある
- 適正価格での売買が重要
親族間売買は手続きが複雑になりやすいため、実績のある不動産会社に相談し、適切なサポートを受けましょう。
関連記事:任意売却は親子でもできる?親族間売買のメリット、デメリットも解説まずは、お早めにご相談ください。
病気などで住宅ローンの返済が難しくなっても、放置すれば最終的に競売に至るリスクがああります。
そうなる前に、保険や制度、売却・再生といった取るべき手段を早めに検討しましょう。
まずは、団信や就業不能保険、労災などが使えないかを確認しましょう。
もし難しい場合でも、任意売却やリースバック、親族間売買といった対処法があります。
主な相談先は、金融機関や弁護士、住宅ローン専門相談窓口、任意売却の専門業者などです。
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