旦那・夫が逮捕され、住宅ローンが払えない場合の対処法を徹底解説!
更新日 2025-11-23
突然、夫が逮捕されたという知らせを受けると、「住宅ローンはどうなるのか」「家は失われてしまうのか」と強い不安に襲われます。
結論から申し上げると、逮捕されても住宅ローンの返済義務は消えません。しかし、適切な対処を早期に行えば、家を守れる可能性は十分にあります。
本記事では、夫が逮捕された際の住宅ローン問題について、初動対応から具体的な解決策まで、実践的なステップを解説します。
逮捕されても住宅ローンの返済義務はなくならない
まず最も重要なことをお伝えします。たとえ逮捕・勾留・服役となっても、住宅ローンの返済義務が免除されることは一切ありません。
刑事事件と個人の民事契約(住宅ローン契約)は法的に別問題として扱われます。刑務所に収監されている間も、毎月の返済日は変わらずやってきます。
金融機関は逮捕をすぐには把握しない
逮捕の事実がすぐに金融機関に伝わることはありません。金融機関が問題として認識するのは、返済が滞った時点からです。返済さえ続いていれば、逮捕の事実を知られることはほぼありません。そのため、パニックにならず冷静に対応することが最優先です。
団体信用生命保険は適用されない
「団信があるから大丈夫では?」と考える方もいますが、逮捕や服役は団信の支払い事由である「死亡・高度障害」には該当しません。団信でローンが完済されることはありません。
1.夫が逮捕された直後に取るべき初動対応
(1)住宅ローンの口座残高を即座に確認
最優先すべきは「滞納・延滞を起こさない」ことです。どの口座から引き落とされているか確認し、残高が不足していればすぐに入金してください。返済実績を維持すれば信用情報への傷を最小限に抑えられ、今後の交渉を有利に進められます。
(2)家計状況を把握し返済継続の可否を判断
以下の項目を整理し、今後の返済が継続可能かシミュレーションしましょう。
- 住宅ローン残高と毎月の返済額
- 妻や家族の収入
- 預貯金の残高
- 毎月の生活費
(3)勾留期間と今後の見通しを確認
弁護士に相談し、釈放の可能性や実刑の見通しを把握しましょう。当番弁護士制度(無料で一度呼べる)を活用できます。勾留が長引けば会社への連絡も必要になるため、早期に対応方針を決めることが重要です。
2.住宅ローン返済を継続する方法
(1)金融機関にリスケジュールを相談
返済が難しそうな場合、滞納前に必ず借入先の金融機関へ連絡し、返済条件の見直しを打診しましょう。
リスケジュールで可能な対応例:
- 返済期間の延長(月々の返済額を減らす)
- 元金据え置き(一定期間、利息のみの支払い)
- 返済猶予(ボーナス払いの一時停止など)
契約者本人(夫)の委任状が求められる場合もあるため、刑事施設との面会・書類やり取りの段取りを早めに決めておきましょう。
(2)家族の収入や預貯金で返済を継続
配偶者や親族が協力して一時的に返済を肩代わりする方法です。ただし、長期間の肩代わりは家族関係や家計に大きな負担をかけるため、夫の釈放・復職の見通しが立っている場合に限定すべきです。
3.返済継続が困難な場合は任意売却を検討
任意売却とは?
住宅ローンが残っていても、債権者(金融機関)の同意を得て自宅を売却する方法です。通常の不動産売買と同じように売却活動を行うため、競売よりも高い価格で売却できる可能性が高まります。
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任意売却の4つのメリット
① 市場価格に近い金額で売却できる
競売では市場価格の5~7割程度でしか売れませんが、任意売却なら市場価格に近い金額(8~9割程度)での売却が期待できます。
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② 引越し費用を確保できる可能性
債権者との交渉次第で、売却代金から引越し費用(10~30万円程度)を捻出できるケースがあります。
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③ プライバシーが守られる
競売になると物件情報が公開されますが、任意売却は通常の売却と同じため、近隣に事情を知られる心配がありません。
④ 残債の分割返済も交渉可能
売却後に残った債務は、生活状況に応じて月々5,000円~20,000円程度の無理のない範囲での分割返済に応じてもらえるケースが多くあります。
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夫が服役中でも任意売却は可能
可能です。ただし、所有者である夫本人の同意が必須となります。面会または書簡で売却の意思確認を取り、媒介契約書や売買契約書を刑務所へ差し入れ、署名・押印後に返送してもらう流れです。
印鑑登録証明書が取得できない場合は、拇印+刑務所長の証明で代用可能です。時間と手間がかかるため、任意売却を多数扱う専門業者と連携してスケジュールを組むことをおすすめします。
夫の逮捕・服役で住宅ローン返済困難、任意売却で生活再建したケース(Oさん)
Oさんはご主人と共働きで生活されていましたが、ご主人が恐喝容疑で逮捕・実刑判決を受け刑務所へ収監されることに。
購入された高層マンションの住宅ローンの約7割をご主人の収入に頼っていたため、世帯収入が激減し奥様お一人では返済の継続が困難となりました。
「このままでは競売になってしまう」という強い不安を抱える中、私共にご相談くださいました。
ご主人が刑務所に長期不在という特殊事情から、住宅ローンの条件変更では解決が難しいと判断し、Oさんの生活を安定させるため任意売却による早期解決をご提案いたしました。
幸い債権者が任意売却に前向きな姿勢だったこともあり交渉はスムーズに進行し、販売開始から約3か月半で3,330万円での売却が成立しました。
残債務については毎月5,000円ずつの分割払いで合意。Oさんは川越駅近くの賃貸住宅に転居され、仕事を続けながら安定した生活を送られています。
将来的にはご主人の出所・就職状況に応じて返済額を増やす予定で、お二人での再出発に向けて前向きに歩み始めておられます。
下記にて、上記事例の詳細をご紹介しております。
➤夫の逮捕により住宅ローン返済困難に、任意売却で前向きな生活再建へ
4.住宅ローン滞納を放置すると競売に
滞納期間別に起こること
滞納1~2か月:督促状が届く
遅延損害金(年14.6%程度)を支払うことで解決できます。最も対応しやすいタイミングです。
滞納3~6か月:期限の利益の喪失
「分割で返済する権利を失ったため、残りのローンを全て一括で支払ってください」という通知が届きます。例えば2,000万円のローン残高があれば、2,000万円を一括返済しなければなりません。
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滞納6か月以降:代位弁済と競売
保証会社があなたに代わって金融機関にローン残額を支払い(代位弁済)、最終的には家が強制的に「競売」にかけられます。
競売のデメリット
- 市場価格の5~7割でしか売れず大幅な損失
- 物件情報が公開されプライバシーが守られない
- 引越し費用が確保できない
- 強制退去させられる
- 残債が高額になる
住宅ローンに保証人や連帯債務者がいる場合、滞納すれば彼らにも請求が及びます。家族や親族に迷惑をかけないためにも、早期の対応が不可欠です。
5.売却後に残る債務の返済・整理方法
(1)毎月の分割返済
任意売却後に残る残債は、金融機関と協議のうえ、月々5,000円~20,000円程度の分割払いで返済し続けるのが一般的です。夫が出所して就職できたら、返済額を上げる約束をするケースもあります。
(2)債務整理を利用する
残債が高額で分割返済が難しい場合は、法的な債務整理を検討します。
① 任意整理:将来利息をカットし返済期間を延長。元本は減らない。
② 個人再生:裁判所を通じて借金総額を大幅(おおむね5分の1)に圧縮し、3~5年で完済する計画を立てます。
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③ 自己破産:裁判所の免責決定により借金をゼロにできます。ただし保有資産は処分対象となり、一定期間の職業制限や信用制限があります。
6.よくある質問(Q&A)
Q1. 家族に返済義務はありますか?
A. 基本的にありません。返済義務を負うのは契約名義人である夫だけです。ただし、妻が連帯保証人や連帯債務者になっている場合は注意が必要です。
Q2. 会社に逮捕の事実を知られますか?
A. 勤務時間中や会社内で犯罪を犯した場合を除き、警察から会社に連絡がいくことは基本的にありません。ただし、勾留が長引けば無断欠勤となり、会社に説明が必要になります。
Q3. どこに相談すれば良いですか?
A. 状況によって相談先が異なります。
- 返済条件の見直し:金融機関
- 刑事弁護:弁護士(当番弁護士制度の活用可能)
- 任意売却:任意売却専門の不動産会社
- 債務整理:弁護士・司法書士
まとめ:早期相談で家を守れる可能性は十分にある
夫の逮捕は家族にとって大きな衝撃ですが、住宅ローン問題は早期に手を打つことで解決の選択肢が広がります。
何よりも大切なのは、一人で抱え込まず、専門家に相談することです。状況が悪化する前に行動することで、家を守り、家族の生活を立て直せる可能性は十分にあります。
任意売却協会では、住宅ローンや任意売却に関する無料相談を承っています。ぜひお気軽にご相談ください。
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