住宅ローン滞納で家が差し押さえ?その前にできる選択肢と相談先を解説
更新日 2025-05-01

「住宅ローンの返済が苦しく、気がつけば3ヶ月の滞納…。ついに届いた“差押え”の文字に、頭が真っ白になった。」
これは他人事ではなく、今まさにあなたが直面している現実かもしれません。
「家はどうなるの?」「家族に知られたらどうしよう…」という不安と焦りの中で、できることはまだあります。
この記事では、差押えに至るまでの流れや、家を守るためにできる選択肢について見ていきましょう。
「住宅ローンを滞納=すぐに差押え」ではない
住宅ローンの返済が滞ると、「すぐに差押えられてしまうのでは」「家を失うのでは」と不安に襲われる方も多いかもしれません。
しかし実際には、住宅ローンを1~2ヶ月滞納しただけで、すぐに差押えや競売に至ることはありません。
通常は、金融機関からの電話や書面による督促、催告書などの警告を経たうえで、それでも対応がない場合に初めて差押えの手続きに移行します。差押えはあくまで「最終手段」であり、金融機関や保証会社もできる限り話し合いや返済条件の見直しによる解決を優先します。
実際の流れとしては、滞納開始からまず督促状、催告書、期限の利益喪失通知と進み、その後代位弁済、差押え、競売へと続きます。ここまでには半年〜1年以上かかることも多く、滞納が3ヶ月程度であれば、まだ選択肢は十分に残されています。
放置せず、早い段階で専門家に相談すれば、住宅を守る道も見えてくるはずです。
住宅ローンを滞納後、届く通知書
住宅ローンを滞納すると、債権者(主に金融機関)や保証会社から、状況に応じたさまざまな通知書が届くようになります。ここでは、それぞれの通知が何を意味し、どのようなタイミングで届くのかを時系列に沿って見ていきましょう。。
督促状
最初に届くのが「督促状」です。
滞納が2ヶ月ほど続いた段階で届くことが多く、主に以下のような内容が記載されています。
- 支払いが確認されていない旨
- 滞納期間と滞納金額
- 支払い期日
- 「期限の利益」を喪失する可能性があること
- 滞納が続いた場合の競売や一括請求の可能性
督促状は、あくまでも初期段階の注意喚起であり、この時点で対応をすれば状況が悪化するのを防ぐことができます。
催告書
督促状に対応しなかった場合、次に届くのが「催告書」です。
金融機関からの“最終通告”とも言えるもので、内容はさらに強い口調で書かれています。
- 督促状の再確認と、速やかな支払いの要求
- 指定期日までに支払いがなければ法的措置を取る旨
- 支払われない場合、債務者は「分割払いの権利(期限の利益)」を失うことになる
催告書が届いた段階で支払いや相談が行われない場合、本格的に法的な手続きに移行するリスクが高まります。
期限の利益喪失通知書
滞納が3〜6ヶ月に達すると、金融機関から「期限の利益喪失通知書」が届きます。
- これまでのローン契約により認められていた分割払いの権利を喪失
- 残債を一括で支払うよう求められる
- この通知を境に、債務回収の権限が保証会社へと移行していく
ここから先は、金融機関ではなく、保証会社が中心となって債務回収に動くフェーズへと入ります。
代位弁済通知書
「代位弁済通知書」は、保証会社が債務者に代わって住宅ローンの残債を金融機関に一括で支払ったことを示す通知です。
今後の返済義務は保証会社に対して生じることになります。
- 保証会社が金融機関に対して残債を支払い済み
- 今後は保証会社が債権者となり、遅延損害金を含めた全額返済を求めてくる
- 以降の連絡や督促は保証会社から届くようになる
この時点で、住宅の差押えや競売のリスクが現実的に迫ってきます。
競売開始決定通知書
保証会社からの支払い請求にも応じなかった場合、保証会社は裁判所に「競売の申し立て」を行います。
認められると、裁判所から「競売開始決定通知書」が送付されてきます。
- 住宅が正式に差し押さえられたことを通知
- 債務者の自由での売却は不可能に
- 競売という強制的な売却手続きがスタートする段階
ここから先は、住宅の所有権を自らの意思で守ることが極めて難しくなります。
現況調査通知
「競売開始決定通知書」の数週間後に届くのが「現況調査通知」です。
裁判所が競売を実施するにあたり、住宅の状況を調査するための事前通知です。
- 調査の目的、日時、執行官や評価人の訪問予定が記載されている
- 建物の写真撮影、周辺環境の確認、近隣への聞き取りなどが実施される
- この調査は法的に義務づけられており、拒否することはできない
現況調査をもとに、住宅の競売基準価格が決定されていきます。
期間入札開始決定通知書
最終的に届くのが「期間入札開始決定通知書」です。
住宅が競売にかけられる正式なスケジュールを知らせる通知となります。
- 入札の開始日と終了日
- 入札の開札日(=落札者が決まる日)
- 以降、落札者による買い取りと所有権の移転が進められる
この通知が届いた時点で、自宅は「競売物件」として公的に扱われ、情報も一般に公開されます。
住宅ローン滞納後、給与はいつ差押えられる?
住宅ローンを滞納しても、すぐに給与が差し押さえられることはありません。通常は以下のような流れを経て、最終段階で給与差押えが行われます。
【給与差押えまでの主な流れ】
- 滞納開始
- 督促状・催告書の送付
- 期限の利益喪失・代位弁済
- 差押え・競売の開始
- 競売でも回収できなかった場合、給与や預金が差押え対象に
差押え対象となる給与額は以下のとおりです:
手取り額 | 差押え可能な額 |
---|---|
44万円以下 | 手取りの4分の1 |
44万円超 | 手取り額 − 33万円 |
差押えは勤務先に通知が届くため、職場に知られる可能性も高く、信用面のリスクもあります。早めに専門家へ相談し、リスケジュールや任意売却などの対策を講じることが重要です。
住宅ローンを滞納後、競売を回避するための方法
住宅ローンを滞納し続けると、最終的には自宅が競売にかけられ、強制的に退去を求められる可能性があります。しかし、「競売にかけられる=すべてが終わり」ではありません。
ここでは、代表的な2つの回避策である「リスケジュール」と「任意売却」について見ていきましょう。。
リスケジュール
リスケジュールとは、現在の住宅ローンの返済条件を金融機関に相談し、変更を依頼することを指します。
たとえば、以下のような見直しが可能です。
- 毎月の返済額を減らす
- ボーナス返済の中止
- 返済期間の延長 など
家計の負担を軽減し、滞納状態からの立て直しを図ることができます。
どのような人に向いているか
- 一時的な収入減などで返済が厳しくなっている人
- 収入の見通しがある(副業、転職予定など)人
- 家を手放したくないと強く希望している人
手続きのポイント
- 金融機関に正直に収支状況を伝えることが重要
- 必要に応じて「返済計画書」などの書類を提出
- 金融機関の信頼を得るため、誠意ある姿勢が求められる
任意売却
任意売却とは、住宅ローンの残債がある状態でも、債権者(主に保証会社や金融機関)の同意を得て、自分の意思で住宅を売却する手続きです。
競売に比べて、以下のような点で有利です。
- 市場価格に近い価格で売却できる可能性が高い
- 自由なスケジュールで引越しや売却活動ができる
- 周囲に事情が知られにくい(競売と異なり公開されない)
どのような人に向いているか
- ローンの返済が今後も難しいと判断している人
- 少しでも有利な条件で住宅を手放したい人
- 家族や近隣への影響を最小限に抑えたい人
手続きの流れ
- 債権者からの「代位弁済通知書」が届いた後に、任意売却の交渉を開始
- 債権者の合意を得て不動産業者を通じて売却活動を行う
- 売却代金をもとに、ローン残債の一部を返済
一人で悩みを抱える前に、まずは現状を把握し、何ができるのかを一緒に考えてもらいましょう。
まとめ
住宅ローンを滞納すると、最終的には自宅が差し押さえられ、競売にかけられてしまう可能性があります。ですが、「滞納=即差し押さえ・即退去」というわけではありません。通知書が届くまでには段階があり、また競売に至る前にはまだ取れる選択肢も存在します。
「もう手遅れかもしれない」と諦める前に、まずは専門家に相談してみてください。
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