任意売却にかかる費用とは?手数料や税金を徹底解説!
更新日 2025-05-01
任意売却を検討する中で「実際どんな費用がかかるの?」「どれくらい必要なの?」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
任意売却では、仲介手数料や住宅ローンの一括返済手数料など、さまざまな費用が発生します。事前に把握しておくことで、無理のない資金計画を立てやすくなるのがポイントです。
そこで本記事では、任意売却にかかる具体的な費用や税金、競売との費用負担の違いについて解説します。
任意売却とは
住宅ローンの返済が困難になった場合に、金融機関(債権者)の同意を得た上で自宅を売却して、売却代金をローン返済に充てる手続きが任意売却です。
裁判所主導で自宅が強制的に売却される、競売を回避するための手段でもあります。
任意売却は、一般的な不動産売却と流れはほぼ同じです。
また、競売に比べて高値で売却できる可能性があり、住宅ローンの滞納を周囲に知られにくい上に、プライバシーが保たれやすい点も特徴です。
任意売却のメリット
任意売却には、次のようなメリットがあります。
- 経済的な事情を周囲に知られることなく売却できる
- 市場価格に近い金額での売却が期待できる
- 引き渡しの時期を柔軟に調整しやすい
- 売却にかかる費用の自己負担を軽減できる
任意売却は、競売のように官報や不動産競売物件情報サイト(BIT)に物件情報が掲載されないため、住宅ローンの滞納が周囲に知られるリスクを抑えることができます。
通常の不動産売却と同じ方法で進められるため、市場相場に近い価格で売却できるのも特徴です。
また、競売のように強制的に退去させられることはなく、引き渡し日についてもある程度相談が可能です。
さらに、売却にかかる諸費用は売却代金の中から精算されるため、自己資金からの持ち出しがない点も大きなメリットといえます。
任意売却にかかる費用
任意売却では、仲介手数料や住宅ローンの一括返済手数料、印紙税など、さまざまな費用や税金が発生します。
事前にどのような費用や税金がかかるのかを知っておくことで、無理のない資金計画を立てやすくなります。
ここでは、任意売却にかかる費用について見ていきましょう。
仲介手数料
仲介手数料は、自宅の売却が成立した際に、不動産会社へ支払う報酬です。手数料には上限があり、宅地建物取引業法によって基準が定められています。
売買価格 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下の部分 | 売買価格の5%以内+消費税 |
200万円超400万円以下の部分 | 売買価格の4%以内+消費税 |
400万円超の部分 | 売買価格の3%以内+消費税 |
例えば、売買価格が4,000万円の場合は、「200万円×5%」「200万円×4%」「3,600万円×3%」の合計に消費税を加えた金額で、仲介手数料は「126万円+消費税」となります。
また、速算式(売買価格×3%+6万円+消費税)での計算も可能です。
一般的に仲介手数料は、契約時と引き渡し時の2回に分けて支払います。
参照:宅地建物取引業法 | e-Gov 法令検索
ローンの一括返済手数料
住宅ローンが残っている状態で自宅を売却する場合、売却と同時にローンを一括で返済する必要があります。
ローンを完済しなければ抵当権を抹消できず、買主へ物件を引き渡せないためです。
一括返済にかかる手数料は金融機関によって異なり、無料のところもあれば、1万〜3万円程度かかる場合もあります。
抵当権抹消登録費用
抵当権を抹消する際には「登録免許税」と「司法書士報酬」が必要です。
登録免許税は、不動産1件あたり1,000円が課税されます。
司法書士報酬は依頼する事務所によって異なりますが、日本司法書士会連合会の調査によると、平均は1万7,470円となっています。
参照:登録免許税の税額表|国税庁
報酬に関するアンケート|日本司法書士会連合会
印紙税
印紙税は、売買契約書などの課税文書に対してかかる税金で、税額は契約書に記載された金額によって異なります。
契約金額 | 本則税率 | 軽減税率 ※ |
---|---|---|
10万円超50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
1億円超5億円以下 | 10万円 | 6万円 |
5億円超10億円以下 | 20万円 | 16万円 |
10億円超50億円以下 | 40万円 | 32万円 |
50億円超 | 60万円 | 48万円 |
※軽減税率の適用期間は平成26年4月1日〜令和9年3月31日まで
印紙税は、契約書に収入印紙を貼り、消印することで納付します。
※参照:印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで|国税庁
譲渡所得税
譲渡所得税は、不動産を売却して利益が出た場合にかかる税金で、不動産の所有期間に応じて税率が異なります。
所有期間 | 税率 |
---|---|
5年以下(短期譲渡所得) | 39.63%(所得税30%、復興特別所得税0.63%、住民税9%) |
5年超(長期譲渡所得) | 20.315%(所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%) |
上記のように、所有期間が5年以下かそれを超えるかで税率が約2倍違うため、注意が必要です。
また「3,000万円の特別控除」などの控除も利用できます。
※参照:譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)|国税庁
マイホームを売ったときの特例|国税庁
引越し費用
引越し費用は、荷物の量や移動距離によって変動し、特に繁忙期には10万〜20万円を超えることもあります。
ただし、任意売却では、金融機関が引越し費用を負担してくれることもあります。
任意売却と競売の費用負担の違い
任意売却では、仲介手数料などの費用が発生しますが、競売では申立手数料や予納金といった費用がかかります。
特に予納金は、調査や手続きにかかる費用で、物件の価格によっては100万〜200万円かかることもあります。
また、任意売却は市場相場に近い金額で売却できる可能性がありますが、競売ではその5〜7割程度になることが一般的です。
どちらの場合も住宅ローンの完済が求められますが、より高く売却できる任意売却のほうが金銭的に有利といえるでしょう。
任意売却を成功するためのコツ
任意売却を成功させるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
例えば、一般的な不動産会社ではなく任意売却の実績が豊富な専門業者に依頼することで、的確なアドバイスや手厚いサポートで安心して進めることができます。
ここでは、任意売却を成功するためのコツについて見ていきましょう。
信頼できる実績豊富な業者を選ぶ
任意売却では金融機関との交渉が必要で、売却までの期間にも制限があります。
そのため、実績が豊富で信頼できる専門業者のサポートを受けることが大事です。
経験の浅い業者に依頼すると、交渉が難航したり、売却が間に合わず競売にかけられるリスクが高まります。
一方、実績が豊富な業者であれば、ノウハウを活かして適切に対応してくれるため、安心して任意売却を進めることができます。
早めに動いてスケジュールに余裕をもたせる
任意売却は、競売開札日の1〜2日前までにすべての手続きを完了させる必要があります。
通常の不動産売却よりもスケジュールが厳しいため、できるだけ早く売却活動を開始することが大切です。
売却活動には積極的に取り組む
少しでも良い条件で早期に売却を完了させるためには、売主自身が積極的に売却活動に協力することが大切です。
特に内覧対応は重要で、買主の印象を左右し、購入意欲に大きな影響を与えます。
不動産会社と相談しながら、物件の見せ方を工夫したり内覧前に丁寧に掃除をするなど、できる限り良い印象を与えるよう心掛けることが大事です。
任意売却の費用に関するよくある質問
任意売却の費用について、よくある質問や疑問を把握しておくことも大切です。
任意売却の費用に関するよくある質問は、以下のとおりです。
任意売却の相談にはどれくらいの費用がかかりますか?
相談先によって費用が異なります。
例えば、弁護士やファイナンシャルプランナーに相談する場合、初回相談は無料のところも多いですが、2回目以降は費用が発生することが一般的です。
一方で、任意売却の専門業者に相談する場合、何度相談しても無料で対応してくれることもあります。
任意売却に弁護士費用はかかりますか?
弁護士にサポートを依頼する場合、事務所で決められた費用が発生します。
そのため、相談する前に費用を確認しておいたほうがよいでしょう。
また、不動産を売却する際には、不動産会社に支払う仲介手数料などの費用もかかります。
まとめ
任意売却の際には、仲介手数料や印紙代、抵当権抹消登記費用などが発生します。
事前にどのような費用がかかるのかを把握しておくことで、売却後の資金計画を立てやすくなります。
また、任意売却を進めるには金融機関との交渉や期限があるため、実績が豊富な専門業者のサポートを受けることで安心して進めることができます。
現在、競売や任意売却の可能性がある方は、当サイトを運営する一般社団法人全国任意売却協会にぜひご相談ください。
状況に応じた的確なアドバイスやサポートを行います。
ご相談は全国から無料で受付中!