任意売却が連帯保証人に与える影響とは?進め方や注意点を解説
更新日 2025-04-01
住宅ローンの返済が難しくなり、任意売却を検討する中で「連帯保証人にはどんな影響があるの?」「負担を軽減する方法は?」といった疑問を抱える方は多いです。
結論からいうと、主債務者が売却後に自己破産をした場合でも、連帯保証人には支払い義務が残るため、注意が必要です。
連帯保証人がいる場合、任意売却を進めることでさまざまな影響を与えることになるため、事前にしっかり説明して、慎重に進めることが大切です。
そこで本記事では、任意売却が連帯保証人に与える影響や進め方、注意点について解説します。
任意売却とは
任意売却とは、住宅ローンの返済が難しい場合に、債権者(金融機関など)の承認を得て自宅を売却し、売却代金で債務を返済する手続きのことです。
任意売却により、自宅が競売にかけられるのを回避することができます。
競売との主な違いは、通常どおりの売却手続きで進められ、市場相場に近い価格で売却ができる点です。
また、任意売却では競売サイトや官報に物件情報が掲載されないため、プライバシーが守られ、売却にかかる費用も売却代金から支払うことができます。
任意売却が連帯保証人に及ぼす影響
任意売却は、競売を回避でき、自己破産のリスクを抑え、連帯保証人への負担を軽減する方法にもなります。
連帯保証人が負う義務や責任、任意売却が与える影響については以下のとおりです。
連帯保証人の義務と責任
連帯保証人は、主債務者が返済できない場合に、その債務を全額返済する義務を負います。
主債務者と同等の責任を持ち、返済を求められて応じられない場合は資産が差し押さえられる可能性があり、裁判所の強制執行に対して異議を唱えることもできません。
連帯保証人は催告の抗弁権、検索の抗弁権、分別の利益を持たないため、通常の「保証人」よりも責任が重くなります。
- 催告の抗弁権:債権者から債務履行を求められた際、まず主債務者に請求するよう求める権利
- 検索の抗弁権:主債務者に支払い能力があり、さらに執行が容易な場合、債権者はまず主債務者の財産から取り立てるべきだと主張できる権利
- 分別の利益:複数の保証人がいる場合、債務を均等に分担し、それぞれが負担分のみ責任を負う権利
住宅ローン滞納時点で連帯保証人に生じる影響
主債務者が住宅ローンを滞納すると、債権者は連帯保証人にも督促状を送付して、支払いを請求します。
そのため、事前に主債務者から連絡や相談がない場合、連帯保証人は突然の請求に驚くことになります。
また、督促は電話や郵送で行われるため、家族に内緒で連帯保証人になっている場合、督促をきっかけに発覚する可能性があるため注意が必要です。
主債務者が滞納を続けると信用情報機関に記録されます(いわゆるブラックリスト)が、連帯保証人も支払いをしなければ同様にブラックリスト入りしてしまいます。
自己破産になった場合の負担
主債務者が自己破産すると、免責が認められ、支払い義務がなくなります。
しかし、この免責が適用されるのは主債務者のみであり、連帯保証人には支払い義務が残ります。
そのため、連帯保証人が返済できない場合、自己破産に追い込まれる可能性があるので注意が必要です。
一方、主債務者が事前に任意売却を行えば、売却代金で債務を圧縮できるため、自己破産後の連帯保証人の負担を軽減できます。
主債務者が自己破産のリスクを抱えている場合は、連帯保証人の負担も考慮して、任意売却などの選択を検討することが重要です。
任意売却には連帯保証人の協力が不可欠
任意売却を進めるには連帯保証人の同意が必要であり、同意がなければ手続きが難しくなります。
競売を回避して任意売却を成立させるためにも、連帯保証人の協力は欠かせません。
連帯保証人の同意がないと任意売却はできない理由
任意売却を進めるには、連帯保証人の同意が必要となります。
連帯保証人は、主債務者のローン契約に深く関わっており、返済が困難なときには代わりに支払う義務を負います。
特に主債務者が自己破産する場合は、事前に連帯保証人と相談しておくことが大切です。
ケースによっては同意が不要な場合もありますが、連帯保証人に迷惑をかけるため、事前に伝えるべきでしょう。
また、債権者は主債務者が返済できない場合、任意売却よりも連帯保証人から直接資金を回収するほうがスムーズであるため連帯保証人が支払えるかどうかを確認します。
連帯保証人をやめることは可能なのか
連帯保証人をやめることもできますが、方法は限られています。
例えば、別のローンに借り換えを行い現在のローンを完済する方法、繰り上げ返済を行い完済する方法、債権者の同意を得て別の人に変更する方法があります。
ただし、どの方法も審査や資金が必要となるため、実現のハードルは高めです。
そのため、連帯保証人の変更は検討できるものの、実際に変更できるとは限らないことを理解しておく必要があります。
連帯保証人がいる場合の任意売却の進め方
連帯保証人がいる場合でも、基本的な流れは通常の任意売却と同じです。
ただし「連帯保証人の同意が必要」で「連帯保証人に影響が及ぶ可能性がある」ことを考慮した上で、慎重に進める必要があります。
まずは連帯保証人に相談する
任意売却を進めるには連帯保証人の同意が必要なため、できるだけ早く相談することが大切です。
まず、住宅ローンの返済が厳しいことや、競売を避けるために任意売却を検討していることを伝えましょう。
連帯保証人が任意売却の仕組みを理解していない可能性もあるため「なぜ競売ではなく任意売却なのか」を明確に説明することが重要です。
例えば、任意売却には次のようなポイントがあります。
- 競売より高値で売却できる可能性がある
- 費用の持ち出しが不要
- プライバシーが守られる
- 裁判所主導ではなく自分で手続きを進められる
このようなメリットを伝えることで連帯保証人の理解と同意を得やすくなります。
特に、競売より高く売れる可能性があることは、連帯保証人にとっても大きなメリットです。
基本的に任意売却の手続きは変わらない
連帯保証人の有無に関わらず、任意売却の進め方自体は変わりません。
連帯保証人がいる場合、同意は必要ですが、売却活動は主債務者が単独で進められます。
ただし、共有名義の場合はそれぞれに持分があるため、主債務者単独で手続きを進めることはできないため注意が必要です。
そのため、連帯保証人が自宅の共有名義人かどうかを事前に確認することが重要です。
また、連帯保証人の同意を得た上で金融機関に相談して、任意売却の承諾を得る必要があります。
任意売却後も連帯保証人に返済義務は残る
連帯保証人や債権者の同意を得て任意売却を行ったとしても、売却代金でローンを完済できなければ残債が残ります。
この残債は主債務者だけでなく連帯保証人にも返済義務があり、借入元本や利息に加えて遅延損害金も上乗せされます。
残債に関して債権者は主債務者と連帯保証人のどちらにも請求可能です。
そして、主債務者が支払えない場合は自己破産に至ることがあり、連帯保証人も返済が難しい場合は同様に自己破産を選ばざるを得ないケースがあります。
連帯保証人への影響を最小限に抑えるために任意売却を行う際の注意点
任意売却による連帯保証人への影響を最小限に抑えるため、以下の点に注意しましょう。
- できるだけ早く連帯保証人に相談する
- 任意売却の専門家に相談する
まず、連帯保証人の同意がなければ、基本的に任意売却は進められないため、早めの相談が大切です。
また、任意売却には債権者の同意が必要で、売却までの期限もあるため、ノウハウを持っている専門家のサポートを受けることで成功率を高められます。
専門家からは、進め方に関するアドバイスや連帯保証人の同意を得る際のサポートを受けられるので安心です。
当サイトを運営する全国任意売却協会にご相談ください。
任意売却は競売を回避し、連帯保証人への負担を軽減できる手続きです。
また、競売よりも高値で売却でき、プライバシーが守られ、費用負担も少ないといった特徴があります。
そのため、競売にかけられる前に任意売却を検討することは、主債務者と連帯保証人のどちらにとってもメリットがあります。
ただし、任意売却を進めるには連帯保証人と債権者の承諾が必要になるため、実績のある専門家に相談して進めるべきです。
連帯保証人や債権者の同意を得られない場合は、任意売却を進めることが難しくなります。
また、任意売却には期限があるため、早めの準備が大切です。
住宅ローンの返済が難しく任意売却を検討している場合は、当サイトを運営する全国任意売却協会にご相談ください。
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