自己破産する前に自宅を売るべき?任意売却のベストなタイミングとは
更新日 2025-04-02
住宅ローンの返済が厳しくなり、「自己破産しかないのでは」と悩んでいませんか?
実は、「任意売却」という制度を利用すれば、状況によっては自己破産をせずに問題を解決できる可能性があります。競売よりも有利な条件で自宅を売却でき、残った借金についても分割返済など柔軟な対応が可能です。
本記事では、任意売却と自己破産の関係性や、任意売却だけで解決できるケース、行うべきタイミングなどを解説します。
任意売却とは
任意売却とは、住宅ローンの返済が困難になった際に、債権者(金融機関など)の同意を得て、不動産を売却する制度です。
ローンの残債があっても市場価格に近い金額で自宅などの不動産を売却(処分)できるため、競売より有利な条件で進められるケースが多くなります。売却後に残る債務は、分割払いや債権者との交渉で柔軟な対応が可能です。
また、周囲に知られにくく、プライバシーを守れる点も特徴です。
また、任意売却では、状況によっては債権者や買主との交渉により、引っ越し費用を売却代金の一部から工面してもらえる可能性があります。
さらに、リースバックという仕組みを利用すれば、売却後もその物件に賃貸として居住を継続することが可能な場合もあるでしょう。
手続きは専門家と連携して進めることが重要です。
任意売却はこちらの記事で詳しく解説しています。
関連記事:任意売却とは?競売や通常売却との違い、特徴を徹底解説
任意売却で自己破産を免れるケースとは?
任意売却を行っても住宅ローンの残債が残ることはありますが、状況によってはその後の返済を無理なく続けることが可能な場合があり、自己破産を避けられるケースも少なくありません。
以下に代表的な例をまとめました。
- 任意売却後の残債が少額で、無理なく分割返済が可能な場合
- 債権者(銀行など)が柔軟な対応をしてくれる場合
- 収入が安定しており、少額の残債を返済できる場合
- 家族や親族からの援助が受けられる場合
- リースバックを活用し、生活環境を維持できる場合
- 競売を避けることで、金銭的・精神的負担が軽減される場合
- 債務整理を併用することで、返済負担を軽減できる場合
任意売却は、自己破産を回避するための有効な選択肢です。
参考:一般社団法人 全国任意売却協会
任意売却後に自己破産が起きる場合
任意売却は競売よりも有利な選択肢ですが、売却後に残債が多く残ったり、返済計画がうまくいかない場合には、最終的に自己破産を選択せざるを得ないケースもあります。
以下に、代表的なパターンをまとめました。
- 任意売却後の残債が多く、返済が困難な場合
- 収入が不安定または減少し、返済が継続できない場合
- 他の借金が多く、支払いが厳しい場合
- 生活再建が難しく、新たな支出が増えた場合
- 債権者との交渉がうまくいかず、返済条件が厳しくなる場合
- 法的措置が進行し、差し押さえなどが実施された場合
- 残債が保証会社に移行し、取り立てが厳しくなった場合
- ギャンブルや浪費などが原因で返済が滞った場合
このように、任意売却後でも状況によっては自己破産に至ることがあります。
任意売却後に自己破産をすると、どうなる?
任意売却後も住宅ローンなどの借金が多く返済が難しい場合、自己破産を選ぶことができます。
裁判所に認められれば、税金など一部を除き多くの借金が免除され、取り立ても停止されます。ただし、一定の資産があると「管財事件」となり、破産管財人により処分されるでしょう。
また、約5~7年間はクレジットカードやローンが利用できなくなります。
自己破産は生活を立て直すための最終手段であり、専門家に相談しながら慎重に判断することが重要です。
自己破産のメリット
自己破産は多くの債務を法的に免除し、生活再建のチャンスを与える制度です。以下のようなメリットがあります。
- 住宅ローンやクレジットカードの借金など、税金を除くすべての負債が免除される
- 債権者(銀行や消費者金融)からの督促や取り立てが完全に停止する
- 精神的な負担が軽減され、生活再建のスタートを切ることができる
- 給与の差し押さえが止まり、手元に生活費を残せる
- 法テラスを利用すれば、弁護士費用を分割払いできるため、経済的な負担を抑えられる
- 官報(政府の公告)には掲載されるが、一般の人が見ることはほぼないため、周囲に知られるリスクは低い
- ブラックリスト(信用情報の記録)は5〜7年で消えるため、その後はクレジットカードやローンが利用できるようになる
自己破産は重い決断ではありますが、上記のように生活を立て直すための大きなメリットがある制度です。
自己破産のデメリット
自己破産は多くの借金を免除できる一方で、いくつかのデメリットや制限が伴います。以下の点に注意が必要です。
- 官報に名前が掲載される
- 約5〜7年間、クレジットカード・住宅ローン・車のローンが組めなくなる(ブラックリスト入り)
- 税金(固定資産税・住民税・国民健康保険料など)は免責されない
- 20万円以上の資産(現金・預貯金・高額品など)は処分される可能性がある
- 職業制限がある
- 住宅を所有していた場合、基本的に手放さなければならない
- 銀行口座が一時的に凍結されることがある
- 借金の理由がギャンブルや浪費だった場合、免責が認められないことがある
デメリットを理解した上で、自己破産を選ぶかどうかを判断することが重要です。
任意売却の行うベストなタイミング(自己破産前?自己破産後?)
任意売却と自己破産は、住宅ローン返済が困難になった際の代表的な選択肢です。
一般的には、自己破産を申し立てる前に任意売却を済ませておくのが望ましいタイミングとされています。そうすることで「同時廃止」という簡易な手続きが選ばれやすくなり、破産管財人の選任や予納金(20〜40万円)の負担を避けられる可能性が高まるでしょう
逆に、資産を保有したまま自己破産すると「管財事件」となり、任意売却が認められず競売になることもあり、金銭的・精神的負担が大きくなります。
ただし、任意売却後の資金の使い方によっては「偏頗弁済」とみなされるリスクもあるため、必ず専門家に相談のうえで進めることが重要です。 また、裁判所の運用は地域ごとに異なるため、早めの相談が失敗を防ぐカギになります。 自己破産を検討している場合、自宅を事前に任意売却しておくことで、破産手続きがスムーズに進むだけでなく、費用や精神的負担の軽減につながる多くのメリットがあります。 以下にその具体的な利点を整理しました。 このように、自己破産の前に任意売却を済ませておくことで、法的な手続きや生活面において多くのメリットがあります。 任意売却を検討する際に気になるのが「偏頗弁済(へんぱべんさい)」です。偏頗弁済は、自己破産の前に一部の債権者だけに優先的に返済する行為を指し、債権者間の公平性を欠くため、破産手続き上で問題になることがあります。 ただし、住宅ローンは抵当権付きの債務であり、担保を持つ債権者(銀行など)に優先的に返済する任意売却は、通常偏頗弁済には該当しません。法律上も正当な処理とされ、裁判所や破産管財人に認められるケースがほとんどです。 注意すべきは、売却代金を親族や一部の債権者にだけ返済したり、浪費・ギャンブルなどに使ってしまうケースです。偏頗弁済とみなされる可能性があり、自己破産手続きに悪影響を及ぼすでしょう。 「自己破産をすれば、借金はすべてチャラになる」と思っている方も多いかもしれません。 しかし実際は、自己破産してもすべての借金がなくなるわけではありません。 自己破産によってなくなる借金(=免責される借金)と、どんな場合でも支払わなければならない借金(=免責されない借金)があります。 税金や養育費など、一部の支払いは続けなければならないことを理解したうえで、手続きを進めることが大切です。 任意売却と自己破産は、住宅ローンの返済が難しくなったときに検討すべき代表的な手段です。 任意売却を上手に活用すれば、自己破産を避けられるケースも多く、経済的・精神的な負担を軽減しながら生活の再建を目指すことができます。 「任意売却だけで済むのか?」「自己破産は避けられるのか?」といったお悩みは、一人で抱え込まず、早めに専門家へ相談することが大切です。 一般社団法人 全国任意売却協会では、住宅ローンの返済にお困りの方、任意売却や自己破産を検討中の方に向けて、無料相談を受け付けています。 少しでも不安を感じている方は、お気軽にご相談ください。専門のスタッフが、あなたにとって最適な解決策をご提案いたします。 ご相談は全国から無料で受付中!自己破産前に自宅を任意売却しておくことのメリット
任意売却は偏頗弁済になるのか?
自己破産ですべての借金は免債されるのか?
自己破産で免責される借金(支払わなくてよくなるもの)
自己破産しても免責されない借金(引き続き支払う必要があるもの)
まとめ