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マンションの任意売却とは?メリット・デメリットや競売との違いを徹底解説

更新日 2025-10-10

瀧 基洋

記事監修者

瀧 基洋

バブル崩壊を経験し、住宅販売・仲介・開発に従事。
事業破綻による住宅ローン問題を機に任意売却に注力し、返済相談を支援。

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目次

「住宅ローンの支払いが厳しく、このままではマンションを失ってしまうかもしれない…」

住宅ローンの未払いや返済の重圧に直面するマンション所有者は少なくありません。

そんな絶望的な状況でも、競売(けいばい)という最悪の事態を回避し、生活を再建するための解決策が残されています。それがマンションの「任意売却(にんいばいきゃく)」です。

本記事は、ローン返済に苦しみ、「代位弁済通知」を受け取り、競売の恐怖に怯えるマンション所有者の方に向け、任意売却の基本、競売との違い、そして経済的・精神的負担を最小限に抑える具体的なメリット・デメリットを徹底解説します。

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マンションの任意売却の基本知識

住宅ローンの返済が難しくなったとき、自宅を売却することで問題を解決しようとするのは自然な流れです。しかし、通常の売却と任意売却では、根本的な仕組みが異なります。任意売却は、金融機関との特殊な合意に基づく手続きであり、その定義と成立条件を正確に理解しておくことが成功の第一歩となります。

任意売却の仕組みと抵当権抹消の関係

あなたが住宅ローンを組む際、購入したマンションには必ず金融機関によって「抵当権(ていとうけん)」が設定されています。この抵当権は、「もしあなたがローンを払えなくなったら、金融機関はこの物件を競売にかけて、その代金をローンの返済に充てますよ」という権利を法的に保証するものです。

通常の不動産売買では、買主から受け取った代金でローンを完済し、完済と同時に抵当権を抹消(解除)して初めて、物件を新しい買主に引き渡すことができます。しかし、住宅ローン残債が物件の市場価格を上回るオーバーローンの状態では、売却代金をもってしてもローンを完済できません。このままでは抵当権が抹消できないため、通常の売却は不可能なのです。

そこで登場するのが任意売却です。任意売却は、ローンが完済できない状況でも、債権者である金融機関などの同意を得て、例外的に抵当権を抹消してもらい、物件を市場で売却する仕組みです。金融機関も競売に比べて高い価格で売却できるメリットがあるため、この例外的な売却に同意するわけです。売却代金はローンの返済に充てられ、残った債務(残債務)は改めて交渉して分割で返済していくことになります。

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任意売却が成立するための主な条件

任意売却を希望すれば誰でもできるわけではありません。この特殊な手続きを成立させるには、以下の主要な条件を満たし、債権者からの許可を得る必要があります。

  • 住宅ローンなどの滞納が続いていること:任意売却の対象となるのは、通常、ローン返済を3〜6ヶ月程度滞納し、既に「期限の利益の喪失」や「代位弁済通知」が確定した状態の物件です。これは、債権者が抵当権を実行(競売手続き)に移る前の段階を指します。
  • 債権者(金融機関・保証会社など)の同意があること:最も重要な条件です。売却価格や売却に際して捻出する費用の配分(引越し費用など)について、すべての債権者が合意しなければ任意売却は成立しません。特に抵当権者が複数いる場合は、すべての同意が必要です。
  • 競売の開札期日前であること:時間的な制約が非常に厳しく、裁判所の「開札期日の前日」までに売買契約を締結し、債権者の最終的な同意を得て決済を完了させる必要があります。この期限を過ぎると、任意売却の道は閉ざされます。

これらの条件からわかるように、任意売却は債権者との交渉が全てであり、個人の力だけで成立させるのは極めて困難です。

任意売却が難しいケース・注意点

任意売却は強力な解決策ですが、万能ではありません。以下のような状況では、成立が難しくなる、あるいは競売に至るリスクが高まるため、注意が必要です。

  • 競売の期限が差し迫っているケース:既に開札期日が間近に迫っている場合、債権者との交渉や買主探しに十分な時間がなく、売却活動が間に合わずに競売に移行する可能性が高まります。タイムリミットを常に意識する必要があります。
  • 連帯保証人や連帯債務者の同意が得られないケース:残債務の返済義務が連帯保証人や連帯債務者にも及ぶため、彼らの確実な同意が必須となります。同意が得られない場合は、手続きを進めることができません。
  • 複数の債権者間の合意形成が困難なケース:複数の金融機関やノンバンクが抵当権を設定している場合、それぞれが回収したい金額や条件が異なり、利害の対立から合意に至らないケースがあります。
  • 売却価格が極端に低いケース:市場価格と比較してあまりにも低い価格でしか売れない場合、債権者が回収できる金額が少なくなり、「競売にかけても変わらない」と判断し、任意売却に同意しない可能性があります。

これらの難しいケースに直面した場合、悪質な業者に騙されないことも重要です。「すぐに高値で買い取る」「全てお任せでOK」といった甘い言葉には注意し、必ず任意売却の実績と専門知識を持った信頼できる不動産会社を見つけることが、失敗を防ぐ最良の対処法となります。

次に、あなたが避けるべき「競売」と、より有利な「任意売却」との決定的な違いについて詳しく解説していきます。

競売と任意売却の決定的な違いを比較

住宅ローンの返済が滞り、債権者が抵当権を実行する段階に入ると、「競売」と「任意売却」という二つの選択肢が残されます。あなたが経済的・精神的な再建を目指すなら、競売を避け、任意売却を選ぶことが不可欠です。なぜ競売を避けるべきなのか、その決定的な違いを明確に理解しましょう。

「競売回避」が任意売却を選ぶ最大の理由

任意売却を選ぶ最大の理由は、競売を回避することに尽きます。競売とは、裁判所が強制的にあなたの不動産を差し押さえ、入札によって売却する手続きです。これは債権者が確実に債権を回収するための最終手段ですが、売主であるあなたにとっては、資産価値の著しい毀損と精神的負担の増大という二重のペナルティを課すことになります。

競売が開始されると、裁判所の情報公開によって物件情報が広く公表され、近隣や職場に知られるリスクが高まります。さらに、裁判所執行官による現況調査や写真撮影が行われるなど、プライバシーが侵害されます。これらは、生活再建に向けたモチベーションを大きく削ぐ要因となります。

任意売却は、競売の手続きが開始される前に、あなたの意思と、専門家のサポートによって、より有利な条件で物件を手放すための戦略的撤退です。「競売にかけられる前に、自らの手で売る」という選択をすることが、その後の人生を大きく左右するのです。

売却価格、プライバシー、残債処理における優位性

任意売却が競売に対して持つ優位性は、以下の3点に集約されます。これらの違いが、あなたの再建計画の難易度を大きく変えます。

比較項目 任意売却 競売 優位性のポイント
売却価格 市場価格に近い水準 市場価格の5割〜7割程度 売却価格が高いため、残債務を最小限に抑えられる。
プライバシー 通常の不動産取引として進行 裁判所の公告や現況調査で情報公開 近隣や周囲に知られるリスクを最小限にできる。
残債務処理 債権者と分割返済の交渉が可能 残債の一括請求が原則 再建後の無理のない返済計画を立てやすい。

競売では、売却価格が低くなるため、結果として残債務が大きく膨らみ、その後の返済計画が非常に苦しくなります。さらに、強制的な手続きであるため、残債務は原則として一括で請求されます。

一方、任意売却では、高い価格での売却を目指すため、経済的な損失を抑えられます。さらに、売却後の残債務についても、専門家があなたの家計状況を説明し、月々無理のない金額での分割返済を交渉する余地が生まれます。

この経済的な優位性と精神的な負担の軽減こそが、競売ではなく任意売却を選ぶべき決定的な理由です。

マンションを任意売却する5つのメリット

競売回避以外にも、任意売却にはあなたの経済的・精神的な再建を強力に後押しする、具体的なメリットがあります。これらは、通常の売却ができないオーバーローン状態だからこそ、債権者との交渉によって実現可能となる、非常に重要な利点です。

利点1:残債の負担を大きく軽減できる可能性が高い

前述したように、任意売却最大の経済的な利点は、市場価格に近い水準でマンションを売却できることです。

例えば、ローン残債が3,000万円のマンションがあったと仮定します。

  • 競売の場合:市場価格3,000万円の5割(1,500万円)で売却 → 残債1,500万円
  • 任意売却の場合:市場価格3,000万円の9割(2,700万円)で売却 → 残債300万円

このように、任意売却を選ぶだけで、残債務の負担を数百万円単位で圧縮できる可能性が生まれます。残債務が圧縮できれば、その後の返済計画はより現実的になり、あなたが早期に経済的に立ち直るための大きな助けとなります。競売のように、多額の残債がのしかかる心配を軽減できるのは、最大の経済的メリットと言えるでしょう。

利点2:売却後に同じ家に住み続けられる(リースバック)可能性がある

「家を失うのは仕方ないが、子どもたちの転校だけは避けたい」「慣れ親しんだ家に住み続けたい」という強い希望をお持ちの場合、リースバックという方法が選択肢となります。

リースバック(セール・アンド・リースバック)とは、あなたのマンションを第三者(買主)に売却した後、買主と賃貸借契約を結び、家賃を支払う形でそのまま住み続ける方法です。

任意売却においても、このリースバックを条件に買主を探すことが可能です。特に、親族間での売買(親族に買主になってもらい、賃貸借契約を結ぶ)は、手続きがスムーズに進みやすいケースがあります。リースバックを実現させるためには、売却後も家賃を支払い続ける安定した収入の見込みと、専門家による適切な交渉が必要です。この方法が成立すれば、生活環境を大きく変えることなく、経済的な立て直しに専念できます。

利点3:引っ越し費用などの諸費用を手元に残せる

経済的に困窮している状況下で、売却後の新しい生活を始めるための引越し費用や、当面の生活費を捻出するのは大きな課題です。

競売では、これらの費用は一切考慮されません。しかし、任意売却では、専門家が債権者に対し、売却代金の中から**「任意売却経費」**として、以下の費用を捻出できるよう交渉します。

  • 不動産会社の仲介手数料
  • 抵当権抹消などの登記費用
  • 滞納している固定資産税(一部)
  • 売主の引越し費用や当面の生活費(相場は30万円~50万円程度)

この引越し費用は、債権者から見ると、円滑な物件の引き渡しに対する協力金という側面があります。この資金を確保できるか否かは、売却後の生活再建のスピードに直結する、非常に実用的なメリットです。

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利点4:一般の売却と同様に進められ、秘密が守られやすい

競売は、裁判所の手続きであり、物件の情報が**「競売物件情報」**として一般公開されてしまいます。この情報には、物件の住所や執行官による写真などが含まれ、近隣住民や知人が容易にアクセスできる状態になります。

これに対し、任意売却は、一般の不動産会社を通じて通常の市場ルートで買主を探すため、売却の理由やあなたの個人的な事情が公になることはありません。販売活動も、通常の売却と同様に、看板やインターネット広告で行われますが、「任意売却物件」であることは伏せて進められるのが一般的です。

この機密性の確保は、精神的な負担を大きく軽減し、あなたが後ろめたさを感じることなく、新しい生活に向けて前を向くために非常に重要なメリットです。

利点5:売主の希望や意向を反映しやすい

競売は、手続きも売却条件もすべて裁判所のルールで決まります。売主の意向が反映される余地は一切ありません。

一方、任意売却は、買主との交渉の余地が残されています。例えば、以下のような売主の希望を反映させることが可能です。

  • 引渡し時期の調整:新居への引越しや子どもの転校のタイミングに合わせて、物件の引渡し時期を柔軟に交渉できる。
  • 内覧対応の柔軟性:売主の都合に合わせて内覧の日程を調整できる。
  • 付帯設備の引き渡し条件:残していくもの、持っていくものについて買主と合意を形成できる。

もちろん、債権者や買主の同意が前提ですが、あなたの生活再建に向けた希望や意向を反映させやすいという点は、精神的な安心感につながる大きな利点です。

任意売却で知っておくべきデメリットと注意点

任意売却は競売回避のための最良の選択ですが、デメリットやリスクがないわけではありません。後悔しないために、以下の注意点を必ず理解した上で、手続きを進める必要があります。

注意点1:必ず個人信用情報に事故情報(ブラックリスト)が残る

任意売却を行う前提として、住宅ローンの返済を長期間滞納していることが条件となります。このローン滞納(3ヶ月以上)を行った時点で、あなたの個人信用情報には必ず「事故情報」(いわゆるブラックリスト)が登録されます。

  • 影響の範囲:任意売却後の数年間(一般的には5年~7年程度)、新たな借り入れ(住宅ローン、自動車ローン、教育ローン)や、クレジットカードの新規作成・更新、携帯電話端末の分割購入などが原則として難しくなります。
  • 注意点:任意売却を選んでも、競売に進んでも、ローンを滞納した事実は消えません。この事故情報は避けられないリスクであり、任意売却はあくまでその後の残債務と生活再建を有利に進めるための手段であると認識しておく必要があります。

注意点2:金融機関や連帯保証人との事前交渉が必須となる

任意売却を成立させるためには、複数の関係者からの同意を取り付けなければなりません。この交渉プロセスが、時間と手間がかかる最大の要因となります。

  • 債権者との交渉:抵当権を持つすべての金融機関や保証会社と、売却価格、諸費用の配分、残債務の返済計画について一つひとつ合意形成をする必要があります。この交渉に手間取り、期限が過ぎてしまうと、任意売却は失敗します。
  • 連帯保証人・連帯債務者との調整:任意売却後も残債務の返済義務は、あなたと連帯保証人に残ります。そのため、手続き開始前に必ず彼らに状況を正直に伝え、売却のメリット(残債の最小化)と、その後の返済計画について確実な同意と理解を得る必要があります。この調整を怠ると、後々、深刻なトラブルに発展する可能性があります。

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注意点3:専門知識を持つ不動産会社を見つける必要がある

任意売却は、通常の不動産売却とは全く異なる特殊な交渉スキルと専門知識を必要とします。

  • リスク:任意売却の知識や実績が乏しい一般の不動産会社に依頼してしまうと、債権者との交渉がうまくいかず、結果として安価な価格でしか売却できなかったり、競売に移行してしまったりするリスクが高まります。また、残債務整理の知見がないため、売却後のフォローが不十分になる可能性もあります。
  • 専門家の選定:必ず、任意売却の豊富な実績があり、残債務整理や法務・税務に強い弁護士、司法書士、税理士との連携を持つ専門業者を選びましょう。悪質な業者の中には、相場より不当に安い価格で買い叩こうとするケースもあるため、複数の専門業者に相談し、実績と信頼性を確認することが重要です。

注意点4:期限を過ぎると問答無用で競売へと移行する

任意売却には、裁判所が定めた「開札期日の前日」という、絶対的なタイムリミットがあります。

この期限を1日でも過ぎてしまうと、その時点で進行中の売買交渉や契約がすべて無効となり、あなたのマンションは問答無用で競売へと移行します。この期限は、債権者や裁判所が待ってくれることはありません。

したがって、任意売却は「時間との戦い」であり、依頼する専門家や、売却活動においてスピード感を最も重視する必要があります。期限が迫っている場合は、迷わず即日相談することが、このリスクを回避する唯一の方法です。

マンションの任意売却する具体的な手続きの流れ

任意売却は、計画的かつ迅速に進める必要があります。ここでは、住宅ローンの滞納開始から、決済・引渡しに至るまでの具体的なロードマップを、ステップごとに解説します。

STEP1.住宅ローンの滞納と金融機関からの催促・通知

任意売却のプロセスは、住宅ローンの返済が困難になり、以下の通知が届くことから始まります。

  • 催促状の送付(滞納1〜2ヶ月):最初の滞納が発生すると、金融機関から電話やハガキで支払いを促す通知が届きます。この時点ではまだ間に合います。
  • 期限の利益の喪失(滞納3〜6ヶ月):この通知が届くと、あなたは住宅ローンを分割で返済する権利(期限の利益)を失い、残債を一括で返済するよう求められます。
  • 代位弁済通知:住宅ローンの保証会社が、あなたに代わって金融機関にローンの残債を一括で支払った(代位弁済した)ことを知らせる通知です。この通知が届いた時点が、競売開始への事実上の最終警告となります。

この「代位弁済通知」が届いた直後が、任意売却の専門家への相談を開始すべき緊急のタイミングです。

STEP2.専門家を選定し、現状の把握と金融機関との協議を開始

緊急のタイミングを逃さずに、任意売却専門の不動産会社を選定し、正式に仲介を依頼します。

  • 物件の査定と残債の確認:専門家が、あなたのマンションの市場価値を正確に査定し、住宅ローンの残債額、滞納額、そして管理費・修繕積立金の滞納額など、すべての債務状況を確認します。
  • 金融機関への連絡:専門家があなたの代理人となり、すぐに債権者である金融機関や保証会社に連絡を取り、「任意売却の意向」を伝えます。これにより、競売手続きの進行を一時的に停止または遅延させるよう、交渉を開始します。

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STEP3.債権者からの売却許可を得る

任意売却の成否を分ける最も重要な段階です。

  • 売却条件の提示:仲介業者が査定結果に基づき、「いくらで売却したいか」「売却代金をどのように各債権者に配分するか」「引越し費用などの諸費用をいくら捻出したいか」といった売却条件や配分案を、債権者に対して提案します。
  • 合意形成:債権者は提案内容を審査し、他の債権者と協議します。専門家は、債権者間の利害調整を行い、すべての抵当権者から「この条件での売却を許可する」という同意を勝ち取ります。この同意が得られて初めて、販売活動が開始できます。

STEP4.売却活動から売買契約の締結まで

債権者の同意を得られたら、通常の不動産売却と同じように販売活動を開始します。

  • 販売活動:一般の購入希望者を対象に、市場でマンションの買主を探します。競売ではないため、適正価格での売却が可能です。
  • 売買契約の締結:買主が見つかり次第、売買契約を締結します。この契約内容を再度債権者に報告し、最終的な売却金額や条件に問題がないか、最終確認を得ます。この段階で、競売の開札期日までの残り日数を考慮し、決済日を決定します。

STEP5.決済・物件の引渡しと残債務の返済計画策定

売却手続きの最終段階です。

  • 決済:決済日に、買主から売却代金が支払われます。この代金から、①仲介手数料などの諸費用、②引越し費用、③各債権者へのローンの返済が実行されます。
  • 抵当権の抹消と引渡し:ローンの返済が完了したことを確認し、金融機関が抵当権を抹消します。同時に、売主は買主にマンションの鍵を渡し、引渡しが完了します。
  • 残債務の返済計画策定:売却代金で完済できなかった残りのローン(残債務)について、事前に交渉した内容に基づき、債権者と無理のない分割返済の計画を最終的に取り決めます。この計画に基づき、あなたは新しい生活の中で残債を返済していくことになります。

マンションの任意売却に関するよくある疑問と対処法

任意売却を検討されている方が抱きがちな、具体的な疑問と、その対処法について解説します。これらの疑問を解消し、不安なく手続きを進めましょう。

Q1. 任意売却で買い手が見つからないのはなぜ?

任意売却は、競売の期限までに買主を見つけなければ失敗に終わります。買い手が見つからない主な原因と、その対策は以下の通りです。

原因 対処法
価格設定の誤り 市場価格とかけ離れた高い価格設定はNG。債権者の同意を得られる範囲内で、市場の需要に見合った適正価格に早期に見直す。
販売戦略の問題 任意売却の実績がない業者に依頼し、販売チャネルが狭い。任意売却専門の業者は、投資家ルートなど独自のネットワークを持っているため、依頼先を見直す。
マンション特有の滞納 管理費や修繕積立金の滞納額が大きいと、買主が警戒する。専門家を通じて、売却代金からの清算を前提として、買主に安心感を与える交渉を行う。

期限が迫るほど、価格を下げる交渉の必要性が高まります。専門家と連携し、価格と期限のバランスを取りながら戦略的に売却を進める必要があります。

Q2. 任意売却後の残債が払えなくなったらどうなる?

任意売却によって残債務は圧縮されますが、経済状況が想定以上に悪化し、その後の分割返済も困難になる可能性があります。

  • 再交渉の必要性:返済が難しくなった場合は、すぐに専門家(弁護士や司法書士)を通じて債権者と再交渉を行う必要があります。状況を正直に伝え、返済額の一時的な減額や猶予を求めて交渉します。
  • 最終手段:再交渉でも返済が不可能な場合、最終的には自己破産などの債務整理手続きを選択することになります。自己破産をすれば残債務の返済義務はなくなりますが、生活への影響も大きいため、専門家と十分に協議した上で判断すべきです。任意売却は、この自己破産という最終手段を避けるための最良の選択肢であることを忘れないでください。

Q3. 投資用マンションの場合、任意売却後の入居者対応は?

住宅ローンで購入した自宅ではなく、賃貸中の投資用マンションを任意売却する場合、賃借人(入居者)の権利を無視することはできません。

  • オーナーチェンジが基本:賃借人には強い居住権があるため、売却後の買主は、原則として賃借人の権利を引き継ぎ、新しいオーナー(オーナーチェンジ)となります。買主は、引き続き賃貸物件として運用することを目的とする投資家となるのが一般的です。
  • 売却活動の注意点:賃借人に不安を与えないよう、売却活動や内覧は秘密裏に、かつ賃借人の生活に配慮して行う必要があります。専門家は、賃借人に対してオーナーチェンジに関する説明を丁寧に行い、円満な引渡しが行えるよう調整します。

まずは早めにご相談を

ここまで、マンションの任意売却について、その基本、メリット・デメリット、そして具体的な手続きの流れを解説してきました。オーバーローン状態にある場合には、任意売却は有効な選択肢の1つですが、メリット・デメリットもしっかりと理解したうえで検討するのがポイントになります。

任意売却の成否は、「時間の早さ」と「信頼できる専門家」の選定にかかっています。「代位弁済通知」を受け取ってから、競売の開札期日までは、あっという間に時間が過ぎていきます。

一人で進めるのではなく、任意売却に強い相談員に早めに相談し、スムーズな売却を目指していきましょう。ご相談は全国から無料です。

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