月15万円の住宅ローン返済がきつい!苦しくなる原因と対処法
更新日 2025-10-25
「毎月15万円の住宅ローン返済がきつい」
「子どもの教育費や物価高で、以前より生活が苦しい」
住宅ローンを月15万円返済している方々の中には、このように感じている方は少なくありません。
住宅ローン返済の一般的な目安は、年間返済額が年収の25%以内(=返済負担率25%)が理想とされています。つまり、月々15万円、年間180万円を支払うには、年収720万円(180万÷25%)が必要です。
住宅ローンで失敗しないためには、借りられる額ではなく返せる額を基準に、将来のライフステージを見据えた計画の検討が必要です。
この記事では、毎月15万円の返済が家計に与える影響や返済が苦しくなる原因、タイミングを解説します。また、住宅ローン返済が厳しくなったときの効果的な対処法を紹介するので、参考にしてみてください。
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住宅ローンを月15万円払うのはきつい?実情を解説
住宅ローンは手取り収入の20%〜25%程度が理想とされています。月15万円の返済が家計に無理がないのか、シミュレーションと年収目安から具体的に確認していきましょう。
月15万円の住宅ローン返済で暮らす家計簿シミュレーション
住宅金融支援機構のフラット35では、年収400万円以上の場合、年収に占めるローン返済総額の割合である返済負担率を35%以下としています。
仮に月15万円(年間180万円)を上返済負担率35%の上限で組んだ場合、返済後に残る生活費は約19万円です。
- 必要年収:180万円÷25%=約514万円
- 月収:514万円÷12=約43万円
- 手取り月収:税負担を20%とすると43万円×80%=約34万円
- ローン返済後に残る生活費:34万円-15万円=約19万円
ここから食費や光熱費、教育費などをまかなう必要があり、貯蓄や急な出費への対応は難しくなります。
さらに、変動金利型では金利上昇により返済額が増加し、家計が一層圧迫されるリスクがあります。
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住宅ローンを月15万円無理なく払える年収の目安
無理なく返済できる理想的な目安は、返済負担率25%以内です。税引き前の額面年収で計算すると、月15万円の返済であれば、額面年収720万円(15万円×12 ÷ 25%)が一つの目安になります。
額面年収720万円の場合、ローン返済後の生活費は約33万円です。
- 月収:720万円÷12=約60万円
- 手取り月収:税負担を20%とすると60万円×80%=約48万円
- ローン返済後に残る生活費:48万円-15万円=約33万円
この生水準であれば、教育費や貯蓄にも資金を回しやすく、生活に余裕が生まれるでしょう。住宅ローンの契約後も安定した生活を送るには、手取り収入の25%以内を意識した返済計画が欠かせません。
月15万円の住宅ローン返済がきつくて払えないとどうなる?
住宅ローン返済が滞納してしまうと、競売により自宅を失いかねません。債権者は住宅ローンの残高を回収するため、自宅を競売にかけて強制的に売却させます。
競売に至るまでの大まかな流れは以下の通りです。
- 督促の電話や督促状が届く
- 催告書が届く
- 期限の利益喪失通知書が届き、一括返済を求められる
- 保証会社による代位弁済が実施される
- 競売開始決定通知が届く
- 競売が実施される
- 強制退去させられる
分割返済できる権利である期限の利益を失うと、残高が一括請求されます。延滞が続くと年利14%前後の遅延損害金が発生し、負担がさらに重くなりかねません。
一括請求に応じるのは現実的に難しく、そのまま競売へ進むケースが多いのが実情です。自宅を失わないためには、返済がきつくなり始めた段階で、銀行へ相談しましょう。
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月15万円返済の住宅ローンが抱える3つのリスク
住宅ローンを毎月15万円払い続けるには、注意すべき3つのリスクが潜んでいます。
- ランニングコストを含めてない計画では負担が大きい
- 共働き家庭でも月15万円の住宅ローン返済は厳しい
- 収入減少を見込んだ計画でないと返済負担が大きい
想定外の支出や収入の変化によって、家計が破綻するリスクは存在します。それぞれの具体的な内容を見ていきましょう。
ランニングコストを含めてない計画では負担が大きい
持ち家を維持するにはランニングコストがかかります。毎年課税される固定資産税や都市計画税は、所有している限り払い続けなければなりません。
物件ごとには、次の費用が発生します。
- マンション:管理費や修繕積立金が毎月発生
- 一戸建て:将来の屋根や外壁の大規模メンテナンス費用
維持費を見込まないと、ローン返済と合わせた総支出が想定を超え、家計を圧迫します。高額な費用が見込まれる場合には、自分たちでの計画的な積み立てが必要です。
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共働き家庭でも月15万円の住宅ローン返済は厳しい
夫婦合算の世帯年収が700万円~800万円以上あれば、返済負担率25%以内に収まり、月15万円の返済も可能に見えます。しかし、共働きを前提としたローン設計には注意が必要です。
例えば、出産や育児によって妻の収入が一時的に減少する可能性があります。ペアローンや共同債務者で借入額を増やしている場合は、返済計画が崩れやすいでしょう。
夫婦どちらかの収入が減っても返済が続けられるかを、事前にシミュレーションしておくことが大切です。
収入減少を見込んだ計画でないと返済負担が大きい
住宅ローンは35年など長期返済になるため、将来の収入減少を考慮する必要があります。 転職やリストラ、病気やケガによる休職など、収入が減る可能性は誰にでもあります。
さらに、完済が定年後にずれ込むと、年金生活での返済は大きな負担です。老後破綻を防ぐためにも、現役時代の収入が続くことを前提にした計画は避けましょう。
月15万円の住宅ローンがきついと感じる3つのタイミング
住宅ローンは長期にわたるため、ライフステージの変化によって家計の状況は大きく変わります。毎月15万円という返済額は、契約当初は余裕があっても、出産・進学・タイミングなどのライフイベントが機に大きな返済負担となるケースが少なくありません。
ここでは、住宅ローンの支払いが「きつい」と感じやすい代表的な3つのタイミングを解説します。
出産・子育てにより働き方が変化するとき
出産や子育ては、共働きを前提に返済計画を立てた家庭にとって大きなライフイベントです。妻が産休・育休・時短勤務などで収入が一時的に減少すると、世帯収入は大幅に減少します。
夫婦合算の収入で住宅ローンを審査通過している場合、妻の収入も見込んだうえでの月額返済であるため、家計に占める返済負担が大きくなるでしょう。
児童手当や住宅ローン控除で戻った税金などは、生活費に充てず貯蓄・運用へ回すことで将来の備えになります。
子どもが進学するとき
子どもの教育費の中でも、大学進学は家計の大きな支出となるタイミングです。日本政策金融公庫の調査(令和3年度)によると、大学入学から卒業までにかかる費用は国公立大学で一人あたり平均743万円、私立文系では951.6万円です。
教育費の支出がピークを迎える時期に毎月15万円の住宅ローン返済が続いていると、家計は厳しくなります。教育資金の準備が不足していると、家計が赤字化しやすく、資金繰りも厳しくなります。
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定年退職するとき
35年などの長期で住宅ローンを組んだ場合、定年退職後も返済が残るケースは珍しくありません。現役時代は毎月15万円を支払えても、主な収入が年金だけでの返済は、現実的に困難です。
老後の生活を守るためには、年金生活へ入る前にローンを完済するか、繰上返済を活用して残債を大幅に減らしておくことが理想です。
ただし、退職金で一括返済を検討する際には注意しましょう。一括返済した結果、資金不足で老後破綻しないように先行きを考えた判断が重要になります。
住宅ローンの支払いがきついときの主な対処法4選
月15万円の住宅ローン返済が「きつい」と感じたとき、放置してはいけません。家計が破綻する前に行いたい4つの対処法を紹介します。
それぞれの内容を具体的に見ていきましょう。
支出を見直して家計改善に取り組む
金銭感覚の違いによるトラブルを防ぐためにも、夫婦で現状の家計を把握しましょう。具体的な方法は以下のとおりです。
- 家計簿アプリなどで見える化し、食費や通信費、光熱費など無駄な支出がないかを洗い出し
- 保障内容の見直しで保険料の削減
- 住宅ローン加入時に「団信(団体信用生命保険)」へ加入している場合、既存の生命保険と保障内容が重複している可能性あり
家計を把握したら、定期的に見直す場を持ち、家計改善へ継続的に取り組みます。
専門家や金融機関に早めに相談する
住宅ローン返済が困難になりそうだと感じたら、延滞前に、借入先の金融機関へ相談しましょう。金融機関も競売よりは返済継続を望んでいます。
早めに相談できれば、返済条件を変更するリスケジュールに応じてもらえる可能性があります。一人で抱え込まず、FPなど専門家へ相談するのも有効です。
個別の家計状況に基づいた客観的なアドバイスを受けると、無理のない資金計画へ見直しできる可能性があるでしょう。
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借り換えや返済条件の変更を依頼する
他の金融機関での借り換えや、借入先の金融機関で返済条件を変更し、毎月の返済額を減らすことも重要です。
金利の低い住宅ローン商品に借り換えできれば、毎月の返済額を軽減できる可能性があります。 ただし、借り換えに必要な諸費用を考慮したメリットが必要であるため、事前のシミュレーションが重要です。
また、現在の金融機関に返済条件の変更を依頼する方法も有効です。住宅ローン控除の期間中であると、返済が進まず控除の恩恵が減少するケースもあるため、慎重に検討しましょう。
任意売却を検討する
返済継続が難しい場合、任意売却は有効な選択肢となります。任意売却とは、すべての債権者から合意を得て、オーバーローンの状態である不動産を市場で売却する方法です。
競売に比べて市場価格に近い金額で売却できる可能性が高く、売却後の残高についても分割返済を交渉できるメリットがあります。
任意売却は専門的な知識が必要になるため、専門業者や経験ある不動産会社に相談しましょう。
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月15万円の住宅ローン支払いがきついと感じるときによくある質問
月15万円の住宅ローン返済に関して寄せられる2つの質問について解説します。
月15万円の住宅ローンを35年間支払うのはきつい?
35年という長期返済では、転職や病気などのライフイベントで収入が変動する可能性があります。また、完済時に高齢になるケースも多く、老後資金を考慮していないと年金収入だけでは返済が難しくなるでしょう。
固定資産税や修繕積立金などの維持費を見落とすと、家計が圧迫されやすくなります。
借入時点で住宅ローンの返済額を月15万円から減らす方法は?
住宅ローン契約時に、月々の返済を抑える主な方法は次の3つです。
- 頭金を多く用意し、借入額自体を減らし、返済負担を抑える
- 金利の低い金融機関を選び、利息負担を減らす
- 返済期間を延ばして、1回あたりの負担を軽くする。
ただし、返済期間を延ばすと利息の総支払額は増え、完済時年齢も上がる点に注意が必要です。
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収入減少で返済が難しくなり、任意売却で引っ越し資金を確保し新生活へ移行した事例(当協会のご相談者様)
ここで、当協会にご相談いただいたA様の事例を紹介します。
A様はベテランのタクシードライバーであり、購入当初は収入が安定していました。しかし、タクシー業界の勤務規制の影響で収入が減り、毎月の返済が苦しくなりました。
返済の不安を抱えて当協会にご相談されたA様は、会社近くへの引っ越しも希望されていました。しかし、新生活を始めるための引っ越し費用を確保できていない状況でした。
そこで、売却代金の中から引っ越し費用を確保できる可能性がある任意売却をご提案しました。当初、A様は任意売却という手続きに不安を感じていらっしゃいましたが、仕組みを丁寧にご説明し、ご納得いただいたうえで売却活動を進めました。
物件の管理状態が良かったこともあり、早期に売却が成立。A様は無事に新生活を始められました。
この事例の詳細はこちら
まとめ:まずは早めにご相談を
毎月15万円の住宅ローン返済は、単独での返済能力や将来のライフイベントを見据えた計画を立てていないと返済が「きつい」状態になりかねません。
無理なく返済を続けるためには金融機関から借りられる上限額ではなく、手取り収入の20%~25%程度を目安に、住宅ローンを組みましょう。
返済が困難と感じた際には、延滞してしまう前に金融機関や専門家への相談が重要です。借り換えや条件変更も難しいと感じたら、競売という最悪の事態を避けるためにも任意売却という選択肢が有効です。
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