住宅ローンが払えないとどうなる?対処法とやってはいけないことを解説
更新日 2025-11-24
「今月の住宅ローンの引き落としができないかもしれない…」
「督促状が届いてしまい、この先どうなるのか不安で眠れない」
住宅ローンの返済に行き詰まると、家を失う恐怖や将来への不安で頭がいっぱいになってしまうものです。しかし、住宅ローンが払えないからといって、すぐに家を追い出されるわけではありません。
大切なのは、現在の「滞納状況(フェーズ)」を正しく把握し、その段階に合った適切な対処法を選ぶことです。
本記事では、住宅ローンが払えなくなった場合に待ち受ける「タイムリミット(競売までの流れ)」と、状況を打破するための「具体的な解決策」を網羅的に解説します。
ほっとなびでは、各ケース(離婚、病気、老後など)についての詳細記事も多数用意しています。ご自身の状況に近いリンク先もあわせて参考にしてください。
1. 住宅ローンが払えない人は意外と多い?
「ローンが払えないなんて、自分はダメな人間だ」と自分を責める必要はありません。実は、住宅ローンの返済に苦しんでいる人は決して少なくないのです。
住宅金融支援機構のデータによると、令和5年度におけるリスク管理債権(返済が滞っている債権)の割合は3.04%でした。
これは、単純計算で「住宅ローンを組んでいる100人のうち、約3人が返済トラブルを抱えている」ということを意味します。長い返済期間の中で、予期せぬ事態が起こるのは誰にでもあり得ることなのです。
2. 【原因別】なぜ払えなくなる?ケース別の対処法
住宅ローンが払えなくなる原因は人それぞれです。よくある原因と、それぞれのケースで注意すべきポイントを解説します。
原因①:収入減(転職・残業カット・ボーナス減)
景気の悪化や会社の業績不振により、給料やボーナスがカットされ、当初の返済計画が破綻するケースです。特に「ボーナス払い」を併用している場合、夏冬の支払いが致命傷になりかねません。
原因②:病気・ケガ(団信は使える?)
病気やケガで働けなくなり、収入が途絶えるケースです。「団体信用生命保険(団信)」に加入していればローンがゼロになる可能性がありますが、適用条件は厳しく(死亡・高度障害など)、単なる病欠では適用されないことが多い点に注意が必要です。
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原因③:離婚(ペアローン・連帯保証人)
離婚に伴い、ペアローンの解消や財産分与で揉めるケースです。「夫が出て行き、妻と子供が住み続けるが、夫がローンを滞納した」といったトラブルが後を絶ちません。連帯保証人になっている場合は特に注意が必要です。
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原因④:定年退職・老後破産
「退職金で完済する予定だったが、退職金が減ってローンが残った」「年金生活に入り、現役時代のローン額が払えなくなった」という老後破産のケースです。リバースモーゲージやリースバックなどの検討が必要です。
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3. ローン以外も危険!見落としがちな滞納リスク
銀行への返済だけでなく、以下の支払いが滞っても家を失うリスクがあります。
固定資産税・住民税の滞納
税金を滞納すると、銀行のローンよりも優先して役所による「差押え」が行われます。最悪の場合、公売(こうばい)にかけられて家を失います。
マンション管理費・修繕積立金の滞納
マンションの場合、管理費等の滞納が続くと、管理組合から競売を申し立てられることがあります(59条競売)。少額だからと甘く見てはいけません。
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4. 【タイムリミット】滞納するとどうなる?競売までの流れ
住宅ローンを滞納してから、最終的に家を失う(競売)までは、以下のようなスケジュールで進行します。
重要なのは、「時間が経てば経つほど、選べる解決策が減っていく」ということです。
1. 滞納初期(1〜3ヶ月):督促状が届く
銀行から電話やハガキで「入金のお願い」が届きます。この段階であれば、銀行に相談して返済計画を見直してもらうなどの対処が可能です。
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2. 滞納中期(3〜6ヶ月):期限の利益喪失・ブラックリスト
「期限の利益喪失」という通知が届き、ローンの分割払いができなくなります。残額を一括で支払うよう求められ、個人信用情報機関に事故情報(ブラックリスト)が登録されます。
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3. 滞納末期(6〜10ヶ月):代位弁済・競売開始
保証会社が銀行へ借金を肩代わり(代位弁済)し、債権者が保証会社に移ります。その後、裁判所から「競売開始決定通知」が届き、自宅が差し押さえられます。
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4. 最終段階(10ヶ月〜):競売・強制退去
競売の入札が始まり、落札者が決まると強制的に退去させられます。売却価格は市場相場の6〜7割程度と安く、多額の借金が残ることになります。
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5. 住宅ローンが払えないときの5つの解決策
状況に合わせて、以下の5つの解決策から最適なものを選びましょう。
解決策①:金融機関への相談(リスケジュール)
【おすすめの段階:滞納前〜滞納2ヶ月】
まだ滞納していない、あるいは滞納して間もない場合は、借入先の銀行へ相談に行きましょう。「返済期間を延長して月々の額を減らす」「一定期間だけ利息のみの支払いにしてもらう」といった変更(リスケジュール)に応じてもらえる可能性があります。
解決策②:住宅ローンの借り換え
【おすすめの段階:滞納前】
現在よりも金利の低いローンに借り換えることで、総返済額を減らせる場合があります。ただし、借り換えには審査があるため、一度でも滞納してしまうと利用できない可能性が高いです。
解決策③:任意売却(借金を減らして売却)
【おすすめの段階:滞納3ヶ月〜競売入札前】
住宅ローンが残っている状態でも、債権者の合意を得て一般市場で売却する方法です。競売よりも高く売れるため借金を大幅に減らせるほか、引越し代の確保や引渡し時期の調整も可能です。競売を避けるための最も有効な手段です。
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解決策④:リースバック(売却後も住み続ける)
【おすすめの段階:滞納中〜競売入札前】
自宅を投資家や不動産会社に売却し、その後は賃貸として家賃を払って住み続ける方法です。子供の転校を避けたい、近所に知られたくないといった方に選ばれています。
解決策⑤:個人再生・自己破産(法的整理)
【おすすめの段階:多重債務がある場合】
弁護士に依頼して借金を整理する方法です。
- 個人再生:住宅ローン以外の借金を大幅に減額し、家を守る方法(住宅資金特別条項)。
- 自己破産:全ての借金をゼロにする代わり、家などの財産を手放す方法。
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6. 家を売った後のお金はどうなる?(残債・連帯保証人)
「売却してもローンが残ったらどうなるの?」「連帯保証人に迷惑はかかる?」といった不安についても解説します。
残ったローン(残債)の支払いについて
任意売却や競売で家を手放しても、返しきれなかったローンは残ります。しかし、任意売却であれば、債権者と交渉して「月々1万円ずつの分割払い」など、生活に支障のない範囲での返済が認められるケースが一般的です。
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連帯保証人への影響
主債務者が返済不能になると、連帯保証人に一括請求がいきます。任意売却を行うには連帯保証人の同意が必要不可欠です。迷惑を最小限に抑えるためにも、事前の相談と誠実な対応が求められます。
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7. 絶対にやってはいけない3つのNG行動
焦るあまり、以下のような行動をとると状況はさらに悪化します。絶対に避けてください。
NG1:金融機関からの連絡を無視する
電話や督促状を無視し続けると、銀行は「返済の意思なし」と判断し、手続きを急速に進めます。競売へのカウントダウンが早まるだけですので、必ず連絡を取りましょう。
NG2:カードローンや高金利の借金で返済する
「今月だけなんとかなれば…」と消費者金融などから借りて住宅ローンを払うのは、破綻への入り口です。多重債務に陥り、個人再生などの解決策すら選べなくなる可能性があります。
NG3:夜逃げ・放置
家を放置して逃げても、借金は消えません。遅延損害金で借金は膨れ上がり、連帯保証人へ請求がいきます。また、固定資産税の滞納で給与や預金が差し押さえられるリスクもあります。
まずは「全任協」へご相談ください

住宅ローンの返済が苦しい時、最も大切なのは「1日でも早く専門家に相談すること」です。
時間が経てば経つほど、借り換えも、リスケジュールも、任意売却もできなくなり、最後は「競売」しか道がなくなってしまいます。
一般社団法人全国任意売却協会では、住宅ローンにお困りの方のご相談を何度でも無料でお受けしています。あなたの状況に合わせて、「家を残す方法」や「借金を減らす方法」をご提案します。
一人で抱え込まず、まずは私たちにお話をお聞かせください。
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