マンション管理費滞納で競売になる?管理組合からの対応と回避法を解説
更新日 2025-11-17
「住宅ローンだけでなく、管理費の滞納でも競売になるのか?」
「管理費を少し滞納しているだけなのに、裁判所から通知が届いた」
マンション管理組合からの督促や裁判所からの通知を受けると、上記のような不安を抱えている方も多いでしょう。
マンション管理費の滞納だけでも競売にかけられる可能性があります。ひとつでも滞納して良い費用はありません。
この記事では、管理費の滞納が競売につながる仕組みや実際の流れ、競売を回避するために有効な任意売却について解説します。この記事を読むと、管理費滞納のリスクを理解し、管理組合への早めの相談を検討しやすくなるでしょう。
マンション管理費の滞納は競売につながる
マンション管理費の滞納だけでも競売につながる可能性があります。「管理費ぐらい」という軽い認識は非常に危険です。
管理費や修繕積立金は、マンション全体の維持管理などを支える不可欠な費用だからです。具体的には、次のような費用が含まれます。
- 日々の清掃
- エレベーターなどの点検
- 将来の大規模修繕
支払いが滞ると、マンションの住環境が悪化したり、修繕が計画通りに進まなくなったりと、他の住人全員に深刻な影響が及びかねません。
管理組合には「区分所有法」という法律に基づき、管理費を強制的に回収する法的権利をもちます。督促に応じない場合、住戸を差し押さえて競売になり大切な住まいを失うリスクがあります。
マンション管理費滞納から競売までの流れ
管理費の滞納があっても、すぐ競売にかけられるわけではありません。マンション管理組合は法的な手順を踏み、段階的に手続きを進めていきます。
ここでは、滞納開始から競売に至るまでの一般的な流れを、5つのステップに分けて具体的に見ていきましょう。
ステップ1:管理組合から督促
管理費の滞納が発生すると、まず管理組合から電話や督促状による支払いの催促が行われます。
初期段階では、法的な強制力はなく話し合いによる解決の余地が残されています。経済的な事情で支払いが難しい場合は、正直に管理組合へ相談すると、分割払いなど支払いの調整に応じてもらえる可能性があるでしょう。
ステップ2:内容証明郵便での最終催告
督促を無視し続けると、管理組合や弁護士から以下の内容が明記された内容証明郵便が届きます。
- 滞納額
- 支払期限
- 法的手続きへ移行する可能性
内容証明郵便による管理組合側の明確な意思表示は、裁判になった際の強力な証拠としても使われます。これを受け取った時点で、状況は非常に深刻である最終催告と認識してください。
ステップ3:支払督促・少額訴訟の手続き
最終催告にも応じない場合、管理組合は裁判所を通じた法的手続きを開始します。強制執行の差し押さえを行うための法的根拠となる債務名義の取得が目的です。
主な手続きは支払督促と少額訴訟の2種類があります。
- 支払督促
- 書類審査のみで進む迅速な手続き
- 2週間以内に異議が出ないと自動的に確定し、債務名義になる
- 少額訴訟
- 60万円以下の滞納に使われる手続き
- 原則1回の期日で判決が出るスピーディーな手続き
裁判所から届いた書類を放置すると、一気に差し押さえへ進むため必ず期限内の対応が欠かせません。
ステップ4:強制執行による財産の差し押さえ
マンション管理組合は債務名義を取得すると、強制執行の段階に移ります。滞納者の財産を法的に差し押さえる手続きです。
差し押さえの対象は、所有するマンションだけではなく、給与や預金口座、解約返戻金のある生命保険なども対象となります。
実務上は、不動産の競売よりも手続きが簡単で回収しやすい給与や預金を差し押さえられるケースが多い傾向です。
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ステップ5:競売請求の実施
マンション管理組合は最終手段として、マンションの部屋を差し押さえ、競売を申し立てします。具体的なケースは、次のとおりです。
- 差し押さえでも滞納額を全額回収できない
- 滞納金額が大きくなっている
裁判所に認められると、競売開始決定通知が裁判所から滞納者である所有者に送られます。通知が届いた時点で競売の手続きが本格的な開始の合図です。
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管理組合による「競売」3つのパターン
マンション管理費の滞納を理由に管理組合が申し立てる競売には、法的根拠により大きく分けて3つのパターンが存在します。
- 通常の競売
- 先取特権による競売
- 区分所有法59条による「追放」競売
それぞれの競売の種類について見ていきましょう。
パターン1:通常の競売
マンション管理組合が訴訟や支払督促などを起こし、債務名義を取得したうえで行う一般的な競売のパターンです。
債務名義に基づき、一般的な債権回収と同様に不動産を差し押さえ、競売にかけて滞納額を回収します。滞納額を回収しきれない場合、マンションを差し押さえ、裁判所に競売を申し立てます。
住宅ローンがあり、金融機関の担保がある場合は同時に清算されるケースが多い傾向です。競売は最後の回収手段となります。
パターン2:先取特権による競売
区分所有法第7条に基づく「先取特権(さきどりとっけん)」を活用した強力な方法です。先取特権とは、管理費などの債権を他の債権者より優先して回収できる権利を指します。
住宅ローンで担保取得している銀行などより管理組合の回収が優先されます。このため、競売の売却代金からも管理組合が滞納費を回収できるため、銀行より先に管理組合による競売の申し立ても可能です。
参考:e-Gov法令検索|建物の区分所有等に関する法律 第七条
パターン3:区分所有法59条による「追放」競売
区分所有法59条に基づく競売は、追放とともに債権回収する手続きです。単に管理費を回収するためだけではなく、共同生活を乱す所有者をマンションから退去させることを目的にしています。
裁判所より「共同生活の維持が著しく困難」と判断された場合、所有者はマンションで生活できる区分所有権を失って売却により精算される重い手続きです。
区分所有法第59条による競売は最終手段
管理組合による競売の中で最終手段となるのが「区分所有法第59条による競売」です。ここでは、具体的な内容や認められる要件を解説します。
マンションから滞納者が強制的に退去させられる制度
区分所有法第59条に基づく競売の目的は、債権回収とマンションからの追放です。マンション全体の共同生活の維持が著しく困難になった場合に、その所有者を強制的に退去させるための措置になります。
具体的な対象者は、次のような行為をする方です。
- 深刻な管理費滞納
- 反社会的勢力の入居
- 騒音や悪臭などの迷惑行為
競売が実行されると、対象者は強制的に家を売却されて所有権を失い、その部屋から強制的に退去させられます。
競売請求が認められる要件
区分所有法第59条に基づく競売は強力な措置であるため、裁判所が競売請求を認める要件は厳格です。
- 督促や通常の差し押さえでは共同生活の維持を図ることが困難
- 総会での特別決議(区分所有者と議決権の各4分の3以上)が必要
上記2つの要件が求められ、単に滞納しているだけでは不十分であり、意図的に支払わなかったり、督促を無視し続けたりするといった悪質性が重視されます。
さらに、求められる特別決議は規約変更などと同等の管理組合の運営において最もハードルが高い決議となっています。
競売を回避するために有効な任意売却を検討する
競売を回避するための、最も現実的かつ有効な解決策が任意売却です。ここでは、競売より任意売却を選択するメリットを解説します。
競売と任意売却の違い
競売は法的な強制手続きであるのに対し、任意売却は通常の不動産売買に近い形で進められます。両者の主な違いは以下の通りです。
| 比較項目 | 任意売却 | 競売 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場価格の7~8割 | 市場価格の5~6割 |
| プライバシー | 守られる | 情報が公開される(裁判所やネットで閲覧可能) |
| 退去時期 | 調整可能 | 強制的 |
| 残債の返済 | 分割返済可能 | 一括請求を求められる |
表のとおり、任意売却のほうが競売に比べ、売却後の条件が大きく有利です。
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任意売却のメリット
任意売却は、住宅ローンや滞納管理費の残債をより多く返済できるため、競売後に残る借金(残債務)を大幅に減らすことができます。
また、売却代金の中から、債権者との交渉次第で残債の分割返済や引越し費用の一部を確保できる可能性があります。
精神的負担や経済的負担をできるだけ軽くしたい場合、任意売却は現実的で前向きな解決策になりやすいでしょう。
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マンション管理費滞納に関してよくある質問
マンションの管理費滞納について、多くの方が抱える疑問にお答えします。競売や時効について、正しい知識を持つことが重要です。
マンション管理費の支払いが遅れたらどうなる?
管理費の支払いを滞納してすぐに競売の手続きが始まるわけではありません。しかし、滞納した翌日から遅延損害金が発生することは覚えておきましょう。
遅延損害金の利率はマンション管理規約で定められていることが多く、一般的に年利10%〜18%程度と高めに設定されている傾向です。
最初は書面や電話での督促ですが、最終的には支払督促や訴訟といった法的手続きに移行します。滞納してしまった場合に放置せず、支払い計画を相談しましょう。
マンション管理費滞納の時効はありますか?
法律上、マンション管理費の時効は原則として5年です。ただし、時効の成立を待つのは解決策として得策ではありません。
マンション管理組合は時効の成立を阻止するために、支払督促や訴訟などの法的な手続きを行うからです。裁判所の手続きが取られると、時効のカウントはリセットされます。さらに裁判で判決が確定すると、時効の期間は5年から10年に延長されます。
管理組合が滞納を放置するとは考えられないため、時効を待つことは現実的ではありません。
マンション管理費滞納が原因で競売に…任意売却で解決し新生活を再出発した事例(当協会のご相談者様)
ここで、当協会にご相談いただいたA様の事例を紹介します。
A様は医療関係のお仕事で、不規則な勤務が続く中、管理費や住宅ローンの支払いが滞りがちになっていました。気づいた時には管理費の滞納額が500万円近くに達し、管理組合から区分所有法59条競売による追放される競売が決まっていた危険な状態でした。
当協会が交渉し、すぐ管理組合と競売回避のための交渉を最優先で行いました。任意売却による返済計画を提示し、粘り強く交渉した結果、滞納額のうち約150万円の減免に成功しました。
無事に任意売却が成立し、競売を回避できました。この結果、住宅ローンと滞納管理費の大部分を整理でき、引っ越し費用も確保できました。ご相談者様は返済の重圧から解放され、新生活をスタートされています。
下記ページにて、上記事例の詳細をご紹介しております。
マンション管理費滞納が原因で競売に…任意売却で解決し新生活を再出発したケース
まとめ:まずは早めにご相談を
マンション管理費の滞納は、「管理費ぐらい」と軽視できません。最終的に競売となり大切な住まいを失う深刻な事態につながります。
マンション管理組合には法律上、強力な債権回収の権利があり、3種類の競売手続きが可能です。一般的な競売だけでなく、マンションから追放することを目的とした区分所有法59条による競売に至るケースもあります。
もし競売開始決定の通知が届いてしまった場合は、任意売却という手段があります。市場価格に近い価格で売却できる可能性があり、生活再建にも有利です。問題を先送りにせず、一日でも早く専門家へ相談しましょう。
当サイトを運営する一般社団法人全国任意売却協会では、管理費の滞納や競売に関するご相談を無料で受け付けております。一人で悩まず、経験豊富な専門スタッフへ、お気軽にご相談ください。
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