競売の費用とは?費用の内訳と、競売を回避する方法を解説
更新日 2025-10-10
もし、あなたの元に「競売開始決定通知」が届き、「家を失う上に、裁判所の費用まで自己負担になるのか」と不安を抱えているなら、その不安は現実のものになる可能性が高いです。
競売は、住宅ローンなどの滞納で起こり、市場価格より安く強制売却される上、高額な競売費用が最終的に残債に上乗せされます。通知が届いたら、競売による強制退去を避けるため、速やかな対応が不可欠です。
競売費用の上乗せを防ぎ、残債を最小限に抑える唯一の回避策が「任意売却(にんいばいきゃく)」です。
本記事では、競売の費用やその内訳、競売を回避する方法を解説します。
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競売にかかる費用とは?
不動産の競売手続きは、裁判所が主導するため、申立手数料、予納金、登録免許税といった様々な法定費用が発生します。これらの費用は高額であり、あなたの残債務を大きく膨らませる原因となります。
特に予納金は、裁判所の調査や公告などに使われる実費で、数十万円〜数百万円に達する最も高額な費用です。これらの費用を合計すると、ローンの残債額によっては総額で100万円を超える費用が、問答無用であなたの残債に上乗せされます。
この高額な費用負担を避けるためにも、まずはその内訳を理解し、競売費用の全体像を把握しましょう。
申立手数料
申立手数料とは、債権者(金融機関や保証会社など)が裁判所に対して競売手続きの開始を正式に申し立てる際に必要となる手数料です。
この費用は収入印紙で納付され、金額は担保権(抵当権)の数によって決まります。具体的には、担保権1個につき4,000円と定められています。例えば、住宅ローンと別にリフォームローンを組んでおり、それぞれに抵当権が設定されている場合は、4,000円×2で8,000円の申立手数料がかかることになります。
この手数料は、競売手続きの入り口となる費用ですが、この他にも手続きを進めるための実費が高額で発生します。
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予納金
予納金(よのうきん)は、競売手続きを滞りなく進めるために、裁判所が債権者に納付を求める実費です。これが競売費用の中で最も高額になる費用であり、債務者にとって最も大きな負担となります。
予納金の使途は多岐にわたります。主な使途としては、裁判所執行官による現況調査費用、不動産鑑定士による物件の評価・査定費用、そして競売情報誌やインターネット上での入札期間の公告費用などがあります。これらの費用は、裁判所の手続きを行う上で避けられない実費であり、数十万円から数百万円に達します。
この予納金の額があなたの残債に上乗せされることで、あなたの再建計画が大きく狂わされてしまうため、その金額感を把握しておくことが非常に重要です。
予納金の額
予納金の具体的な金額は、物件の規模や手続きの複雑性、そして主に請求債権額(債権者から請求される借金の総額)に応じて変動する従量制です。裁判所ごとに基準が異なりますが、ここでは最も案件数の多い東京地方裁判所の目安を例に挙げます。
請求債権額の目安 | 予納金の目安(東京地裁) |
---|---|
2,000万円未満 | 約80万円 |
2,000万円以上 3,000万円未満 | 約100万円 |
3,000万円以上 5,000万円未満 | 約150万円 |
このように、あなたのローンの残債額が大きければ大きいほど、予納金も高額になり、いきなり数十万円〜100万円以上の費用が残債に上乗せされることになります。この高額な費用が、競売のデメリットをさらに深刻なものにしているのです。
郵便切手代・差押登記のための登録免許税
予納金や申立手数料の他にも、以下のような付随費用が発生します。
- 郵便切手代:裁判所から債務者、債権者、その他の関係者(抵当権者、賃借人、管理組合など)に対して、競売開始決定やその他の通知を発送するために必要な費用です。関係者の数に応じて、数千円から数万円程度かかる場合があります。
- 差押登記のための登録免許税:競売開始が決定されると、裁判所はあなたの不動産に**「差押え」**の登記を行います。この登記を行うために必要な税金が登録免許税です。金額は、**請求債権額の0.4%(1,000分の4)**と定められています。例えば、請求債権額が3,000万円であれば、登録免許税だけで12万円かかることになります。
これらの費用をすべて合計すると、合計100万円を超える費用が競売によって発生することになります。
競売費用は誰が負担するのか?
競売費用が誰の負担になるのかという点は、競売開始通知を受け取った読者の方が最も不安に感じている点でしょう。結論から言うと、費用は一旦債権者が立て替えますが、最終的な負担はすべて債務者であるあなたにのしかかります。
競売申立費用は債権者が一旦立て替える
競売手続きは、住宅ローンの返済が滞った結果、債権者(金融機関や保証会社)が抵当権を実行するという形で裁判所に申し立てるものです。そのため、手続きを円滑に進めるため、上記の申立手数料、予納金、登録免許税などの費用は、債権者が一旦立て替えて裁判所に納付します。
この「立て替え」の事実から、「費用は債権者が払ってくれる」と誤解される方がいますが、それは間違いです。債権者は債権回収のプロであり、立て替えた費用も必ずあなたから回収する仕組みになっています。
最終的な費用の負担者は債務者となる
債権者が立て替えた高額な競売費用は、最終的に以下のメカニズムで債務者であるあなたの負担となります。
- 競売によってマンションが売却されます。
- 売却代金は、まず最優先で、債権者が立て替えた競売費用の清算に充てられます。
- 残った売却代金が、住宅ローンの残債務の返済に充てられます。
つまり、競売費用は売却代金から最優先で引かれるため、その分だけ債権者へ返済される額が減り、あなたのローン残債が膨らむことになります。売却代金で競売費用を清算しきれなかった場合は、その不足分もすべてローンの残債として加算されます。
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競売費用が高額であることによる残債への影響
競売費用が高額であることの最大の問題は、これが残債務をさらに大きく増やしてしまう点にあります。
競売の売却価格は、市場価格の5割〜7割と非常に安価になります。例えば、ローン残債3,000万円のマンションが、競売で2,100万円(7割)で売れたとします。
- ローン残債:3,000万円
- 競売売却価格:2,100万円
- 競売費用(予納金など):100万円(仮)
売却代金2,100万円から、まず費用100万円が引かれます。債権者への返済に充てられるのは2,000万円だけです。結果、残債は3,000万円 – 2,000万円 = 1,000万円となります。
もし競売費用が発生しない任意売却で2,700万円で売れていれば、残債は300万円で済んだはずです。競売によって費用100万円が上乗せされ、売却額も安くなったことで、残債は大きく膨らみます。この膨らんだ残債の返済が、あなたの再建をより一層困難にする深刻な影響を及ぼします。
競売を回避・取り下げするための方法
競売による費用負担と残債増大というリスクを回避するためには、競売の手続きを止めることが唯一の解決策です。競売の進行を止めるための具体的な方法について解説します。
そもそも、競売にかけられる前に回避することが重要
競売開始決定通知が届いた今、あなたは競売の最終期限が目前に迫っている状態です。競売は、手続きが進めば進むほど、あなたの損失が拡大していきます。現況調査や評価が完了する前にストップできれば、その分の予納金は使われずに済みます。
一刻も早く行動を起こすことが、競売費用の上乗せを防ぐための最初の、そして最も重要なステップです。この後の任意売却という選択肢を選ぶためにも、専門家への即座の相談が必要となります。
住宅ローン残高の一括返済
法律上、競売の手続きを債務者側の意思で取り下げるための最も確実な方法は、住宅ローン残高の全額を一括で返済することです。ローンが完済されれば、抵当権が抹消され、債権者(金融機関)は競売の申立てを取り下げます。
しかし、住宅ローンの返済に困窮している方にとって、数千万円にもなるローン残高を一括返済することは、現実的ではありません。この方法は、あくまで法的な選択肢の一つであり、次の任意売却が、唯一の現実的な解決策となります。
任意売却
任意売却は、高額な競売費用の上乗せを回避し、残債務を最小限に抑えるための最も現実的かつ有利な回避方法です。
- 費用回避:任意売却は裁判所の手続きではないため、競売費用である予納金などは発生しません。
- 残債圧縮:通常の不動産市場で売却するため、競売よりも高い市場価格に近い価格での売却が可能です。これにより、残債務を大きく圧縮できます。
任意売却が成立し、債権者が裁判所に「取下書」を提出すれば、競売手続きは停止されます。この際、仲介手数料や引越し費用など、売主側の諸費用も売却代金から捻出できる可能性があるため、経済的な負担を総合的に軽減できるのです。
競売の取り下げには費用がかかる?
任意売却の成立によって競売が取り下げられた場合、既に債権者が裁判所に納付した予納金のうち、現況調査などの手続きに使われずに残った未使用分は、裁判所から債権者へ返還されます。
この返還された予納金は、ローンの残債務の返済に充当されます。つまり、競売を取り下げること自体に、債務者が直接費用を負担する必要はなく、むしろ競売手続きの進行を止めることで、費用が無駄に使われるのを防ぎ、結果的にあなたの損失を最小限に抑えることにつながります。一刻も早い行動が、このメリットを最大限に享受するために不可欠です。
任意売却によって競売を回避した事例(当協会のご相談者様)
別居後、元夫の音信不通とローン滞納で競売目前に(A子さん)
A子さんは、ご主人と別居する際に「住宅ローンはご主人が支払い続ける」という約束で、お子様2人とマンションに住み続けることになりました。
しかし、ある時から元ご主人が病気を患い音信不通となり、住宅ローンを滞納。突然、金融機関から競売の申し立てがされたとの通知が届きました。
任意売却には音信不通の元ご本人の同意が必要でしたが、当協会が状況を丁寧に説明し、協力を得ることに成功。物件の立地が良かったこともあり、早期に買主が見つかりました。
無事に債務をすべて返済できる金額で売却が成立し、競売を回避。A子さんは新しい住まいへ、元ご主人も実家で療養できる環境が整いました。
下記にて、上記事例の詳細をご紹介しております。
➤別居後、元夫の音信不通とローン滞納、任意売却で競売回避したケース
管理費滞納500万円で競売目前、管理組合との交渉で再出発(Bさん)
Bさんは医療関係の不規則な仕事で働きながら、一人でお子様を育てていました。忙しさから住宅ローンと管理費の支払いが滞り、管理費の滞納が深刻化。
管理費の滞納額が約500万円に達し、管理組合から「区分所有法59条競売(追い出し競売)」の申し立てを受ける寸前となり、競売回避を求めご相談されました。
当協会では、管理組合との交渉を最優先し、売却による返済で滞納を解消できるよう約150万円の減免交渉を実施。債権者とも調整し、無理のない分割返済計画を立てました。
長年の管理費の滞納を解消し、住宅ローンの残債も無理のない範囲で進められるようになり、競売を回避して安心して生活を再スタートできました。
下記にて、上記事例の詳細をご紹介しております。
➤管理費滞納が深刻な競売目前、管理組合交渉で解決し安心生活再建したケース
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競売は、市場価格よりも安価に自宅が売却される上、裁判所費用などが上乗せされるため、結果として多額の残債が残り、生活再建が非常に困難になります。
この競売による残債の増加を回避し、市場価格に近い金額で自宅を売却できるのが任意売却です。任意売却を成功させることで、売却後の残債務を無理なく分割返済できるよう交渉の余地が生まれます。
住宅ローンの返済に悩んでいる方や任意売却を検討している方は、ぜひ当サイトを運営する全国任意売却協会にご相談ください。豊富な専門知識や任意売却への対応実績をもつ専門スタッフが最善の解決策をご提案します。
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