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引渡命令(ひきわたしめいれい)

引渡命令とは、競売によって不動産を落札した買受人が、元の所有者や占有者に対し、物件の明け渡しを求めるための裁判所の命令です。競売の場合、一般的な不動産売買のような双務契約(売主と買主が互いに義務を負う契約)ではなく、買受人は代金を納付することで所有権を得るのみとなります。そのため、仮に元の所有者や占有者が立ち退かない場合、買受人は物件を利用できない状態に陥る可能性があります。 このような事態を防ぐため、民事執行法第83条に基づき、裁判所は買受人の申立てにより、不動産の占有者に対して引渡命令を発令し、物件の明け渡しを命じることができます。引渡命令は迅速に処理される手続きであり、通常の訴訟を経ることなく占有者の退去を求めることが可能です。

引渡命令の申立期限

引渡命令には、申立期限が設定されています。期限を過ぎると通常の訴訟手続きを経なければならず、手続きが複雑化するため注意が必要です。

1. 一般的なケース:代金納付後6か月以内

競売の買受人は、代金を納付した日から6か月以内に引渡命令を申し立てる必要があります。この期限を過ぎると、訴訟による明け渡し請求が必要となり、手続きがより煩雑になります。そのため、競売で物件を落札した際には、早めに申立てを行うことが推奨されます。

2.例外:抵当権設定後に入居した賃借人がいる場合

抵当権設定後に入居した賃借人に対しては、賃借権が競売によって消滅するため、買受人は物件の明け渡しを求めることができます。ただし、賃借人には6か月間の明渡猶予期間が認められています。この場合、引渡命令の申立期限は代金納付から9か月以内となります。

3.さらに例外:賃借人が賃料を支払わない場合

抵当権設定後の賃借人が買受人に対し賃料を支払わない場合は、通常の6か月間の猶予を待たずに引渡命令を申し立てることが可能です。買受人が賃料を請求し、賃借人が1か月以上の滞納を続けた場合、すぐに申立てを行うことができます。

引渡命令への対抗手段

占有者は、引渡命令に対し不服がある場合、「執行抗告(しっこうこうこく)」を申し立てることができます。ただし、この抗告が認められる可能性は極めて低いのが現状です。

執行抗告が認められにくい理由

・競売の申立後、裁判所が現況調査を実施しているため、所有権や占有権の正当性はすでに確認されている。

・競売は法的手続きを経たものであり、買受人の権利が保護される仕組みが確立されている。

そのため、執行抗告を申し立てたとしても、実際に引渡命令が覆ることはほとんどないと言えます。

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