強制競売とは?家を失う流れと回避策3選をわかりやすく解説
更新日 2025-12-26
「住宅ローンは毎月遅れずに支払っているのに、なぜ競売になるんだろう」と疑問に思う方も多いでしょう。強制競売とは、住宅ローン以外の借金(カードローンや税金など)の返済に充てるため、裁判所の権限で自宅を強制的に売却する手続きのことです。
一般的に、家が競売になるのは住宅ローンの滞納が原因だと思われがちです。しかし、強制競売とは、住宅ローンさえ払っていれば安心というわけではなく、他の借金が原因で家を失うリスクがある手続きなのです。放置すると強制退去になり得ますが、適切な対処により解決できる可能性があります。
この記事では、強制競売とはどのような仕組みで進むのか、手続きの流れやデメリットなどを詳しく解説します。また、強制競売を回避するための解決策を3つ紹介しますので、直面している方は解決の一歩として参考にしてみてください。
強制競売とは?仕組みと通常の競売との違い
あらためて解説すると、強制競売とは、債権者(お金を貸している人)が裁判所に申し立てを行い、債務者(借りている人)の不動産を強制的に売却して借金を回収する法的な手続きです。ここでは、通常の競売との違いや条件について解説します。
強制競売とは?担保不動産競売との違い
一般的な競売である「担保不動産競売」は、抵当権が設定された住宅ローンの滞納によって行われます。一方、強制競売とは、消費者金融やカードローンなど、「家を担保にしていない借金」が原因で行われる点が大きな違いです。
本来、これらの住宅ローン以外の借金には家を直接処分する抵当権は付いていません。しかし、裁判所の判決さえあれば、抵当権がなくても強制的に売却が可能となります。つまり、強制競売とは、抵当権の有無にかかわらず実行される強力な回収手段なのです。
強制競売の条件となる「債務名義」とは何か
強制競売とは、無条件に行われるものではなく、「債務名義」という公的な文書が必要です。具体的には、裁判所が発行した「強制執行をしてもよい」という公的文書を指します。つまり、これがあれば財産の差し押さえが可能になるのです。
債務名義は、突然発行されるものではありません。借金の督促に応じない状態が続いた結果、債権者が裁判を起こし、その判決が確定した結果として発行されます。
この段階まで来てしまうと、当事者間の話し合いだけで解決するのは困難になるため、早急に専門家へ相談しましょう。
強制競売とは無縁ではない!主な3つの原因
自分は強制競売とは無縁だと思っていても、日常的な支払いの遅れが引き金となるケースが多くあります。主な原因は、次の3つです。
- 無担保の借金(消費者金融など)
- マンション管理費
- 税金(固定資産税・住民税)
いずれも放置すると深刻な事態を招くため、それぞれの特徴とリスクを確認していきましょう。
消費者金融やカードローンなど無担保の借金を滞納
消費者金融やカードローンの滞納は、強制競売とは切っても切れない代表的な原因のひとつです。借金が数十万円程度であっても、債権者は回収のために不動産を売却しようとします。
住宅ローンの残債が多く、競売にかけても回収できない状態であっても、あえて競売を申し立てるケースが少なくありません。家を失うという精神的なプレッシャーを与え、返済を迫る狙いがあるからです。
マンション管理費の長期滞納
マンションの管理費や修繕積立金の滞納も、強制競売とは密接な関係があります。マンション管理組合には住民全体の利益を守る義務があるため、特定の人が支払いを拒否し続けた場合、法的措置をとらざるを得ません。
最終的には「区分所有法59条」に基づき、管理組合から競売を請求することが認められています。月々の金額は小さくても、数年分積み重なれば大きなリスクとなります。判決が出れば強制的に退去となるため、決して放置してはいけません。
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固定資産税や住民税など税金の滞納
固定資産税や住民税の滞納による処分は、正確には「公売」と呼ばれます。手続き名は異なりますが、「自宅を強制的に売却される」という結末は強制競売とは同じであり、非常に強力な措置です。
市役所などの行政機関では、裁判所の手続きを経ずに、役所の判断だけでいきなり差し押さえが可能です。税金は他の借金よりも優先的に回収される権利を持っているため、督促状が届いた段階で、早急に役所の窓口へ相談に行くべきでしょう。
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強制競売の決定から退去までの流れ
強制競売とは、裁判所主導で機械的に進められる手続きです。主な流れは、以下の5つのステップです。
- 裁判所から「競売開始決定通知」が届き差し押さえとなる
- 執行官による自宅の「現況調査」がおこなわれる
- 「期間入札」の通知と情報公開がおこなわれる
- 開札され売却相手が決まる
- 立ち退きを迫られ、強制執行の可能性がある
一連の流れを把握し、少しでも早く対処することが重要です。
1. 裁判所から「競売開始決定通知」が届き差し押さえとなる
まず、裁判所から「競売開始決定通知」が届きます。債権者の申し立てが認められ、正式に強制競売の手続きがスタートした合図です。
自宅の不動産登記簿には「差押」と記載され、所有者の意思で勝手に売買したり、名義を変更したりすることは一切できません。以降、すべての主導権は裁判所に移り、拒否権のないまま手続きが進んでいきます。
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2. 執行官による自宅の「現況調査」がおこなわれる
通知から約1〜2ヶ月後、裁判所の執行官と不動産鑑定士が自宅を訪問し、「現況調査」が行われます。物件の価格を決めるための調査であり、拒否することはできません。実際に室内へ入り、各部屋の写真撮影や間取りの確認が行われます。
もし家族に借金を隠している場合、家の中に入り込むこのタイミングで、すべてが発覚するリスクが高くなるでしょう。
3.「期間入札」の通知と情報公開がおこなわれる
現況調査の結果をもとに売却基準価額が決まると、「期間入札」の通知が届きます。同時に、不動産競売物件情報サイト(BIT)や新聞などで公開される主な情報は、以下のとおりです。
- 住所
- 外観
- 室内の写真
誰でも閲覧できる状態になるため、購入を検討する不動産業者や個人投資家が、下見で現地を訪れることがあります。そのため、近隣住民や知人に強制競売にかけられている事情を知られてしまいかねません。
4. 開札され売却相手が決まる
入札期間が終了すると「開札」がおこなわれ、最も高い金額を提示した人が落札者に決まります。裁判所が売却を許可し、落札者が代金を納付した時点で、自宅の所有権は強制的に移転します。
元の所有者は自宅ではなくなるため、住み続ける権利はありません。裁判所や落札者から退去日の通知が届きます。
5. 立ち退きを迫られ、強制執行の可能性がある
指定日までに自主的な退去をしない場合、「強制執行」が行われ、執行官が立ち会いのもと、専門業者が家財道具をすべて搬出します。
運び出された荷物は倉庫で保管されたのち、引き取り手がなければ売却・処分される流れです。執行後の生活再建が厳しくなりかねないため、強制執行になる前に解決に向けた主体的な行動が欠かせません。
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強制競売とは?知っておくべき4つのデメリット
強制競売とは、単に家を失うだけでなく、経済的・精神的にも甚大なダメージを及ぼす手続きです。具体的には以下の4つのデメリットがあります。
- 市場価格の5〜6割で売られる
- プライバシーが侵害される
- 強制退去のリスクがある
- 借金が残り生活再建が困難
それぞれの内容を見ていきましょう。
市場価格の5〜6割で売られてしまう
競売での売却価格は、市場価格の5〜6割程度まで下がる傾向があります。競売では、購入希望者が事前に室内を内覧できない点や、落札後の占有者との立ち退きトラブルなどのリスクが考慮されるためです。
このような価格で売却されると、本来なら返済に充てられたはずの資金が不足します。その結果、自宅を失った後も多額の残債が残り、支払い義務だけが続くという状況に陥るのです。
インターネットや新聞で公開されプライバシーの侵害にあう
強制競売にかかると、物件情報が不動産競売物件情報サイト(BIT)や新聞などに掲載され、誰でも閲覧可能になります。住所や外観写真だけでなく、執行官が撮影した室内の様子まで公開されるのが特徴です。
公開情報となるため、近隣住民や知人に知られる可能性があります。プライバシーが著しく侵害され、本人だけでなく、家族にとっても精神的苦痛となりかねません。
引っ越し費用の確保できず強制退去のリスクがある
強制競売による売却代金は、すべて債権者への返済に充てられます。そのため、次の住居を借りるための敷金や礼金といった初期費用が確保できず、退去後の生活が苦しくなる傾向があります。
退去日も一方的に決められるため、準備不足のまま強制退去となるケースも珍しくありません。金銭的な余裕がない中での急な退去は、生活困窮に直結する深刻な問題となります。
売却後も借金が残り、生活再建が難しい
売却代金では払えなかった残債は返済義務が残ります。競売後には、残りの全額を一括返済するよう求められるケースが大半です。
場合によっては給与の差し押さえを受けることもあり、生活費が圧迫されます。結果として、経済的に立ち行かなくなり、最終的に自己破産を選択せざるを得ない状況に追い込まれやすいのが現実です。
強制競売を回避・取り下げるための3つの解決策
強制競売の通知が届いても、あきらめる必要はありません。主な解決策は、以下の3つです。
- 任意売却:債権者の合意を得て売る
- 個人再生:弁護士に依頼して借金を減額する
- 一括返済:親族などの協力を得て返済資金を確保する
それぞれの内容を見ていきましょう。
【解決策1】任意売却:債権者の合意を得て売る
現実的な解決策が「任意売却」です。債権者全員の合意を得て、通常の不動産取引と同様に自宅を売却する方法です。
一般的な売却価格は市場価格の7〜8割と、強制競売よりも高く売れるため、借金を大幅に減らせるメリットがあります。また、交渉次第で引っ越し費用の確保や、残った借金の分割返済を認めてもられやすく、新生活への移行がスムーズです。
「通常の売却」として扱われるため、近所や家族に事情を知られずに解決できる点も大きな魅力でしょう。
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【解決策2】個人再生:弁護士に依頼して借金を減額する
安定した収入がある場合は、法的整理である「個人再生」が有効な方法です。特に「住宅ローン特則」を利用すれば、住宅ローンはそのまま払い続け、カードローンなどの他にある借金を大幅に圧縮できます。
家を手放さずに借金問題を解決できる強力な制度ですが、複雑な手続きが必要です。裁判所への申し立てに時間がかかるため、強制競売の手続きが進んでいる場合は早急に弁護士への相談が必要になります。
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【解決策3】一括返済:親族などの協力を得て返済資金を確保する
残りの借金全額を一括で返済すれば、強制競売は確実に止まります。しかし、現実的に滞納が続いている状況で、数百万円以上の現金を用意するのは極めて困難でしょう。
手遅れにならないよう、親族へ資金援助の依頼や親族間売買で協力してもらうことも一つの選択肢です。返済するには親族に限らず、協力者がいなければ実現できません。この方法が難しい場合は、すぐに任意売却などの現実的な手段を検討すべきです。
強制競売の開始決定通知が届いたら放置せず専門家へ相談する
競売手続きは時間との勝負であり、放置すると状況は悪化する一方です。入札が始まってからでは、落札者の同意が必要となるため、任意売却への切り替えは困難になります。その結果、最終的には強制退去を待つしかなくなるでしょう。
しかし、競売開始決定通知が届いた直後なら、債権者との交渉期間を確保しやすく、解決できる可能性が高いと言えます。一人で抱え込まず、すぐに専門家を頼って相談することが生活再建には必要です。
強制競売に関してよくある質問
強制競売とは何かについて、よく問い合わせのある質問について回答します。
競売開始決定通知を無視するとどうなりますか?
通知を無視しても手続きが止まることはなく、執行官による現況調査を受け、競売手続きが機械的に進んでいきます。
無視せず、専門家へ相談して解決できる限りの対応をしていくことが重要です。
強制競売と担保不動産競売、両方申し立てられることはありますか?
強制競売が始まると登記簿に「差押」が記載されるため、銀行にも知られてしまう可能性があります。差し押さえは期限の利益喪失事由に該当することが多く、銀行が担保不動産競売を申し立てる可能性があります。
強制競売を止めるためには早めのご相談を
強制競売とは、放置すればするほど状況が悪化し、生活再建が困難になる手続きです。最悪の事態である強制退去を避け、生活を再建するためには、一日でも早い行動が不可欠です。
一人で悩まず、まずは任意売却の専門家へ相談することをおすすめします。一般社団法人 全国任意売却協会では、強制競売に関して経験豊富な専門家も在籍しています。無料相談も受け付けていますので諦めず、まずは一度ご相談ください。
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