競売の強制執行とは?引き渡しとの違いと流れを徹底解説!
更新日 2025-11-17
「住宅ローンの返済ができないままだと、家を失ってしまうか不安…」
「強制執行とは、家から追い出されてしまうのか?」
住宅ローンの支払いが苦しくなり、このような不安を感じている方は多いのではないのでしょうか。
住宅ローンの滞納が続くと、自宅が競売にかけられ、さらに競売後は引き渡しという強制的な立ち退きを命じられる可能性があります。
競売が開始しても、入札開始までであれば「任意売却」で回避できる可能性があります。そのため、家を守るにはスピーディーな対応が欠かせません。
この記事では、競売に関連する2種類の強制執行の違いと手続きについて詳しく解説します。また、強制執行を回避するための方法を紹介しますので、住宅ローンの滞納で悩んでいる方は参考にしてみてください。
競売に関する2つの強制執行とは?違いと関係をわかりやすく解説
不動産競売には、2つの強制執行があります。
- 競売:強制的に家を売却する
- 引き渡し:強制的に家を立ち退かせる
それぞれの違いと関係性について、詳しく解説します。
競売は家を売るための強制執行
競売とは、債権者が貸したお金を回収するために、担保となっている自宅を強制的に売却する手続きです。
金融機関は住宅ローンを融資する際、融資物件である自宅へ抵当権という担保の権利を設定します。債務者による住宅ローンの返済が困難になり滞納が続くと、債権者は抵当権を使って、競売による不動産売却手続きを進めるのです。
債権者が裁判所に競売の申し立てを行い、裁判所を通じた法的な手続きに沿って売却されます。競売になると所有者の意思とは関係なく、強制的に手続きが進んでいくのが特徴です。
競売後は家を立ち退きさせるための強制執行
競売が完了し、落札者が裁判所に売却代金を納付すると、所有権が落札者に移ります。元の所有者は家に住み続ける権利を法的に失うため、家を明け渡さなければなりません。
しかし、元の所有者が意図的に家から立ち退かないケースがあります。その際には、所有者は裁判所に引渡命令の申し立てを行い、裁判所による引渡命令通知で立ち退きを促せます。
それでも立ち退かない場合は、最終手段として引き渡しの強制執行が行われるのです。
【第1段階】競売による不動産強制執行の流れと特徴
住宅ローンの滞納によって自宅が競売にかけられた場合、以下の流れに沿って手続きが進みます。
- 債権者が競売を申し立てる
- 裁判所から競売開始決定通知が届く
- 裁判所の執行官が自宅を訪問して調査
- 入札から落札の流れ
各手続きの流れと特徴について、見ていきましょう。
債権者が競売を申し立てる
住宅ローンの滞納が約3ヶ月続くと、金融機関から「催告書」が届き、それでも滞納が続くと6ヶ月後には「期限の利益喪失」になります。期限の利益喪失とは、分割払いの権利を失い、残りのローン全額を一括返済で求められる状態です。
一括返済は現実的に困難であるため、住宅ローンの保証会社が債務者に代わって「代位弁済」で金融機関へ残りのローンを返済します。
代位弁済後は、債権者が保証会社へ移り、保証会社より返済を促されるでしょう。保証会社は債権回収が進まないと、最終手段として裁判所へ競売開始の申し立てを行います。
裁判所から競売開始決定通知が届く
債権者による競売の申し立てが裁判所に受理されると、債務者には裁判所から「競売開始決定通知」が届くでしょう。通知を受け取った時点で正式に競売開始となり、債務者の意思とは関係なく手続きが進みます。
不利な条件で家を売却されないよう、すぐに弁護士や任意売却の専門家などに相談するのが重要です。
裁判所の執行官が自宅を訪問して調査
競売開始決定からしばらくすると、裁判所の執行官が対象物件に訪れて現況調査を行います。現況調査は対象物件の間取りや日当たり、損傷の有無などを調べ、競売の評価額を算出するための調査です。
訪問日は事前に裁判所から通知され、原則として拒否する権利はありません。調査を拒否した場合、執行官は立入権(たちいりけん)という権限を使い、鍵屋を同行させて強制的に鍵を開けて立ち入り調査できます。
入札から落札の流れ
現況調査が完了すると、査定結果や入札情報が裁判所やインターネット上の「BIT(不動産競売物件情報サイト)」などで公開され、誰でも自由に閲覧可能です。
入札期間中に一番高い金額を入札した人が落札者になり、落札金額を裁判所へ納めた時点で、所有権が落札者へ移転します。競売を取り下げてもらうためには、法律上は入札前日まで可能です。
しかし、実務上では債権者との交渉や手続きに時間がかかるため、現実的ではありません。現実的な期限は、期間入札の通知が届く前と考えた方がよいでしょう。
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【第2段階】引き渡しのための強制執行の流れと特徴
競売で自宅が売却され、所有権が移転すると、元の所有者は家を引き渡さなければなりません。立ち退きに応じない場合、新しい所有者は裁判所を通して「引渡命令」を出され、最終的には強制退去になります。
ここでは、引渡命令から強制執行までの流れについて解説します。
引渡命令とは?
「不動産引渡命令」とは、裁判所が競売物件に住み続けている占有者に対し、新しい所有者に物件を引き渡すよう命じる法的な決定のことです。
競売によって家の所有権が落札者に移ると、元所有者は弁護士や新しい所有者から1ヶ月以内に目処に家を明け渡すよう求められます。
明け渡しに応じない場合、所有者は裁判所に不動産引渡命令の申し立てが可能です。申し立てが認められると、裁判所から元の所有者へ引渡命令が届きます。
強制執行の申立と流れ
引渡命令が出されたにもかかわらず、元所有者が物件を明け渡さない場合、新しい所有者は裁判所に「不動産引渡しの強制執行」を申し立てできます。
この強制執行は裁判所の執行官が主導し、より強制的に物件を明け渡させる手続きです。強制執行が申し立てられると、2週間ほどで執行官が物件を訪れるでしょう。
執行官は引き渡し期限(催告日から1ヶ月を経過する日)を定めた公示書を、家の玄関や内部の見やすい場所に貼り付けます。
参考:e-Gov法令検索|民事執行法 第百六十八条の二 明渡しの催告
強制執行当日
催告期限までに元の所有者が退去しなかった場合、強制執行が実施されます。当日は執行官や執行補助者、運送業者、鍵屋などが多数、現場に立ち会うでしょう。
元の所有者が鍵を開けなくても、執行官の権限で鍵屋が強制的に鍵を開錠可能です。執行官が室内に立ち入り、中にある家具や家電などは同伴した運送業者などにより運び出されます。
もし、強制執行を元の所有者が力ずくで妨害しようとした場合、公務執行妨害罪などの刑事責任を問われかねません。
競売・強制執行を避けるなら「任意売却」が現実的な選択肢
競売による強制的な売却や、その後の強制的な立ち退きを回避するため、最も現実的かつ効果的な選択肢が「任意売却」です。
ここでは、任意売却のメリットや注意点について解説します。
競売回避に有効な任意売却のメリット
任意売却とは、住宅ローンなどの支払ができなくなった際に、すべての債権者が合意して不動産を売却する方法です。
任意売却は競売よりも高く売れる可能性が高く、残債の負担を軽減しやすいのが大きなポイントです。
【任意売却と競売のメリット比較】
- 売却価格
- 任意売却:競売より高く売れる可能性が高い(市場価格の7〜8割)
- 競売:市場価格の5〜6割
- 残債の支払い交渉
- 任意売却:分割返済の交渉可能
- 競売:交渉不可
売却後の残債が少なくなり、今後の支払いも交渉できるため、将来的な生活再建にも有効と言えるでしょう。
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競売直前で任意売却を検討する際の注意点
競売の手続きが開始されて任意売却を検討する場合、時間との勝負になるため注意が必要です。
- 時間的なタイムリミットがある
- 法律上、競売を取り下げてもらうためには、競売の「開札日の前日」までに任意売却の決済を完了し、債権者の同意を得る必要がある
- 実務上の期限を考慮する
- 開札日の前日は法律上の最終期限
- 買い手を見つけ、債権者全員と交渉し、売買契約を結ぶといった多くの手続きが必要
- 入札開始日が知らされる通知が届く前には行動しないと間に合わない
任意売却の手続きは、債権者との交渉など高度に専門的な知識と経験が必要です。競売開始決定通知が届いたら、すぐに専門家へ相談しましょう。
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競売開始後と競売直前の任意売却に成功した事例
ここでは、当協会へご相談され、競売開始後の任意売却に成功した事例を2つ紹介します。
奥様の使い込みで競売間近!家族の「コミュニケーション不足」を乗り越え任意売却で絆を取り戻したケース
A様は家計管理を任せていた奥様がお金を使い込み、住宅ローンを滞納している事実を知らないまま、競売開始決定通知を受け取った状況でした。
執行官の現地調査が目前に迫る危機的な状況でしたが、すぐに専門家へ相談しサポートを受けて任意売却の手続きを進めました。当協会が債権回収会社と交渉に入り、こまめに報告と交渉を重ね合意に至りました。
無事に買主を見つけて売却を成立させることができたとともに、A様ご家族は経済的な問題だけでなく、家族の絆を取り戻すこともできたのです。
下記ページにて、上記事例の詳細をご紹介しております。
奥様の使い込みで競売間近!家族の「コミュニケーション不足」を乗り越え任意売却で絆を取り戻したケース
競売申し立て前日に申し出…住宅ローン滞納から任意売却で回避したケース
自営業を営むB様は、新型コロナの影響による収入減で住宅ローンの支払い困難になっていました。返済のために他の借金も増え、キャッシングの限度額も使い切ってしまった状態でのご相談でした。
ご相談後、連絡をとっていなかった債権者に確認すると、競売の申し立て準備が完了して翌日には裁判所へ書類を提出する段階であると発覚します。ギリギリのタイミングで競売を回避する交渉ができ、無事に任意売却の同意を得られました。
売却した結果、残債は残りましたが、任意売却による返済交渉で無理のない範囲での返済を合意できました。
下記ページにて、上記事例の詳細をご紹介しております。
競売申し立て前日に申し出…住宅ローン滞納から任意売却で回避したケース
競売に関する強制執行でよくある質問
競売に関する強制執行について、特に多い2つのご質問を解説します。
強制執行とは競売のことですか?
競売自体が強制執行の一種です。住宅ローンの滞納における強制執行は2種類です。
- 不動産を強制的に売却する手続き(=競売)
- 競売後に家から立ち退き、引き渡させる手続き(=引き渡し)
どちらも法的な強制執行であり、一般的には引き渡しを指すケースが多いでしょう。
競売と強制執行の違いは何ですか?
競売と強制執行の違いは、目的にあります。競売は住宅ローンの残債回収のため、家を強制的に売却します。一方で、強制執行は家から退去させるために行う強制的な引き渡しです。
なお、強制執行が始まると回避するのは困難ですが、競売は任意売却により競売自体を回避できる可能性があります。
まとめ:まずは早めにご相談を
住宅ローンの滞納によって起こり得る「強制執行」は2段階あります。家を強制的に売却する「競売」と、競売後に家から強制的に退去させられる「引き渡し」です。
任意売却は、競売よりも有利な条件で自宅を売却し、その後の生活再建につなげるための現実的な選択肢です。自宅が競売にかけられても、入札が始まる前であれば可能性があるため、すぐに専門家へ相談しましょう。
当サイトを運営する一般社団法人全国任意売却協会は、任意売却に関する豊富な経験とノウハウを持つ専門家スタッフが揃っています。競売にかけられてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
ご相談は全国から無料で受付中!
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