住宅ローンがあっても生活保護は受給できる?持ち家を残せる条件と申請前の対処法
更新日 2026-02-19
「生活保護は住宅ローンがあっても受けられるのか」「家を手放す必要があるのか」と、生活保護を検討するにあたって、このような疑問を持つ方は少なくありません。
収入の減少により住宅ローンの返済が苦しくなり、生活保護を検討する方は多いのではないでしょうか。
生活保護費をローンの返済に充てることは、住宅ローン返済中は原則認められません。ただし、資産価値や家族状況によっては、住宅ローンの返済中でも生活保護を受けられるケースがあります。
本記事では、住宅ローンと生活保護の基本的な考え方を整理し、申請前に知っておきたい判断基準や現実的な対処法を解説します。
住宅ローンがあっても生活保護を受けられるケースはある
生活保護では、換金できる資産は生活費に充てるという考え方が基本です。持ち家がある場合は、原則として売却し、売却代金を当面の生活費や債務整理へ充てるように求められます。
したがって、住宅ローンがある状態での受給は、基本的には認められません。生活保護費でローンを返済して、自宅を手に入れるという本来の趣旨と逆の結果になるとみなされるためです。
ただし、すべてのケースで資産の売却が求められるわけではなく、例外的に保有が認められる場合もあります。
- 家の資産価値が低く、売却しても十分な生活費を確保できない場合
- 地域的に買い手がつきにくい事情がある場合
最終的な判断は、生活保護の受給判断をする福祉事務所が、個別事情を確認して判断します。
住宅ローン返済中に生活保護を受けるのが難しい2つの理由
住宅ローン返済中に生活保護を受けるのが難しい理由は、主に2つです。
- 生活保護費での「資産形成」は認められない
- 生活保護費で住宅ローンを返済してはいけない
それぞれの内容を見ていきましょう。
理由1:生活保護費での「資産形成」は認められない
生活保護制度は、あくまで最低限度の生活を維持するためのものであり、個人の資産を増やすことは認められていません。
住宅ローンの返済は、借金を減らすと同時に、持ち家という個人資産を手元に残していく行為です。もし受給者が生活保護費からローンを返済することを許せば、税金である生活保護費で、個人の借金を肩代わりしたことになりかねないためです。
理由2:生活保護費で住宅ローンを返済してはいけない
2つ目の理由として、生活保護費から住宅ローンを返済することは、原則として認められていない点も挙げられます。
国民の税金を原資とする生活保護費は、健康で文化的な最低限度の日常生活を維持するために支給されるものです。そのため、食費や光熱費など日常生活に必要な費用に使うことが前提です。
住宅ローンの返済が必要な状態では、生活保護費が本来の目的を果たせなくなりかねません。
参考:厚生労働省|生活保護制度に関するQ&A
住宅ローンがあっても生活保護が認められる5つのケース
住宅ローンが残っていても、生活保護が認められる代表的な5つのケースについて解説します。
- ローン残債が少なく完済までの期間が短い
- 売却しても価値が低い
- 住み続ける方が引っ越すよりもコストが抑えられる
- 住宅売却後の転居が難しい
- 親族などが代わりにローンを返済してくれる
それぞれ見ていきましょう。
ケース①:ローン残債が少なく完済までの期間が短い
住宅ローンの残債が数百万円以下など比較的少ない金額で、完済までの期間が短い場合は、例外的に認められる可能性があります。
生活保護費が借金を完済する行為に大きく寄与しないとみなされるためです。月々の返済額が生活扶助の基準と比べて大きな負担でなければ、住まいを変えずに対応できるケースもあります。
具体的な金額や判断基準は自治体ごとに異なるため、事前に福祉事務所へ確認しましょう。
ケース②:売却しても価値が低い
自宅の売却価格が低く、売却しても生活の立て直しが難しいとみなされるケースです。
- 売却しても住宅ローンが完済できないオーバーローンの状態
- 立地や築年数などの理由で買い手がつかず、売却自体が難しい物件や地域
オーバーローンの状態では、すべての売却代金が金融機関の回収に充てられます。また、需要が少ない物件売却では、当面の生活に必要な資金を残せる価格は期待できません。
ケース③:住み続ける方が引っ越すよりもコストが抑えられる
自宅を売却して賃貸住宅へ転居するよりも、今の家に住み続けた方が費用を抑えられるケースもあります。
具体的には、次のような状態です。
- 生活保護による家賃補助の金額よりも、住宅ローンの返済や固定資産税などの維持費が低い
- 引っ越し費用が高額になり、売却価格を上回ってしまう
自宅を売却した後の生活より現状の方が生活保護費による公的負担を抑えられる場合は、住み続けながら生活保護を受けられる可能性があります。
ケース④:住宅売却後の転居が難しい
新たな引っ越しによる影響が大きいと判断される場合には、住まいを変えないよう配慮されるケースがあります。
- 高齢や障害により転居自体が困難
- 心身に大きな負担がかかると考えられるケース
- 転校や生活環境の急な変化が学校生活へ与える影響
個別の事情によるため、生活保護を検討する際には福祉事務所へ相談しましょう。
ケース⑤:親族などが代わりにローンを返済してくれる
親や兄弟などの親族が住宅ローンの返済を支援してくれるケースでは、生活保護の申請が否定されるとは限りません。
親族による支援だけで住宅ローンを返済できることを示せれば、生活保護費が返済に充てられないと判断できるためです。
ただし、援助が一時的なものでなく、継続的なものである必要があります。申請の際には、親族に援助についての照会があるでしょう。
生活保護を受ける前に持ち家を売却する必要がある4つのケース
生活保護を受ける前に持ち家を売却する必要があるケースは、主に4つあります。
- 住んでいない家を所有している
- 世帯人数に対して豪華すぎる
- 持ち家の資産価値が高い
- 多額の住宅ローンが残っている
それぞれの内容を見ていきましょう。
ケース①:住んでいない家を所有している
現在住んでいない家や土地がある場合は、居住用ではない不動産として扱われ、純粋な資産とみなされます。そのため、生活保護を申請する場合は売却対象になるのが基本です。
例えば、相続した実家が空き家のままになっているケースでは保有は認められず、売却して生活費に充てます。
将来のために持ち続けるものではなく、生活費を確保するために換金できる資産と考えられるためです。
ケース②:世帯人数に対して豪華すぎる
世帯人数に対して広すぎる住宅は、最低限度の生活水準を超える住まいとみなされる場合があります。生活維持に必要な範囲を超える資産は活用すべきとされているためです。
例えば一人暮らしで3LDKの家に住んでいるようなケースです。生活していくうえで広すぎるため、売却や賃貸としての検討を求められるでしょう。
ただし、地域の住宅事情や売却の現実性、転居にかかる費用とのバランスなどは考慮されます。
ケース③:持ち家の資産価値が高い
自宅の資産価値が高いと判断された場合は、原則として売却による資産活用が優先されるケースが多くあります。生活保護制度では、まず活用できる資産を生活維持に充てることが求められているためです。
例えば、売却価格が当面の生活費に十分で生活再建できると見込まれる物件は、資産活用として売却対応が求められる可能性があります。
ただし、実際の判断は自治体が個別の事情を踏まえて行うため、一律の金額基準があるわけではありません。
ケース④:多額の住宅ローンが残っている
住宅ローンの残債が多い場合は、住み続ける前提での受給は難しいケースが多い傾向です。長期間にわたって生活保護費でローンを返済すると、個人の資産形成につながるため、原則として認められていません。
なお、自宅を売却しても残債が残って返済の見通しが立たない場合は、任意売却や自己破産などの債務整理を検討する選択肢があります。
生活保護の申請前に!住宅ローンが払えないときの対処法3選
生活保護の申請を検討する前に住宅ローンが払えないときの対処法を3つ紹介します。
- 任意売却
- リースバック
- 債務整理(自己破産・個人再生)
それぞれの内容を見ていきましょう。
対処法1:任意売却を検討する
任意売却とは、住宅ローンの返済が難しくなった場合に、金融機関の合意を得て自宅を売却する方法です。
売却価格が住宅ローン残高を下回るオーバーローンの際に利用できる選択肢であり、主なポイントは3点あります。
- 競売より市場価格に近い金額で売れる可能性がある
- 売却後に残った住宅ローンの返済について交渉できる
- 引っ越し費用を確保できる可能性がある
自宅を売却したあとの経済的負担を抑えることができ、生活再建に効果的です。
任意売却の詳しい内容については、次の記事を参考にしてみてください。
関連記事:【図解】任意売却とは?競売との違いやメリット・デメリットをわかりやすく解説
対処法2:リースバックを利用する
リースバックは自宅を売却し、購入者と賃貸契約を結んで家賃を払いながら同じ家に住み続ける方法です。
主なポイントは次の3点です。
- 住み慣れた環境を変えずに住み続けられる
- 売却代金でローン返済や生活費を確保できる
- 家賃が生活保護の住宅扶助内なら受給が認められる可能性がある
引っ越しを避けたい場合や、子どもの生活環境を維持したい家庭にとっては、現実的な選択でしょう。
リースバックの詳細は、次の記事で解説していますので、参考にしてください。
関連記事:住宅ローンが残ったままでもリースバックは利用可能?条件や注意点を解説!
対処法3:債務整理(自己破産・個人再生)をする
債務整理とは、法律に基づいて借金を整理し、生活の立て直しを目指す手続きです。代表的な方法は、次のとおりです。
- 自己破産
- 個人再生
自己破産は、裁判所の決定により借金の支払い義務を免除してもらう手続きであり、原則として財産は処分の対象となります。
一方、個人再生は借金を大幅に減額し、原則3〜5年で分割返済していく制度です。一定の条件を満たせば、住宅ローン特則(住宅資金特別条項)を利用でき、自宅を残せる可能性もあります。
住宅ローン以外の借金がある場合も、あわせて整理を検討できます。ただし、法的な手続きを含めるため、早めに弁護士や司法書士などの専門家へ相談しましょう。
住宅ローンと生活保護に関するよくある質問
住宅ローンと生活保護に関して不安を抱える方から多く寄せられる質問に回答します。
住宅ローンがある状態で生活保護を受け取るとバレますか?
生活保護の申請時には、収入や資産状況が詳しく調査されます。金融機関へ住宅ローンの残高や口座の入出金情報を確認されるため、住宅ローンがある状態は隠せません。
また、意図的に事実を隠した場合は虚偽の申請と判断され、不正受給として保護費の返還を求められるリスクがあります。
生活保護の受給中に住宅ローンは組めないでしょうか?
生活保護を受けている間は、基本的に新しく住宅ローンを組めません。
最低限度の生活を支えるために生活保護を受けている間は、返済能力があるとはみなされないため、住宅ローンの審査に通するのは難しいでしょう。
完済済みの持ち家なら、売却せずに生活保護は受けられますか?
生活保護では、まず活用できる資産を生活費に充てることが原則ですが、必ずしも売却するわけではありません。
資産価値が低く住み続ける価値のほうが高い場合は、保有したまま生活保護を受けられるケースがあります。
生活保護と任意売却の相談で生活を再建した事例
実際に、生活保護と任意売却の相談で当協会へ相談し、生活を再建した事例をご紹介します。家族5人で暮らしていたW様は、うつ病で退職後、収入が途絶え住宅ローンの返済が困難になりました。
傷病手当や失業保険でしのいでいましたが滞納が発生し、「家族の生活を守りたい」と任意売却と生活保護の相談に来られました。
当協会では行政や弁護士と連携し、生活保護の申請と任意売却を同時にサポート。お子様の転校を避けるため学区内で住み替え先を確保しながら売却を進めました。
無事に任意売却が成立し、生活保護申請も通り、ワンストップでサポート新たな生活をスムーズに開始されています。
事例の詳細については、解決事例集をご覧ください。
参照元:病気で退職、住宅ローンが重荷に…生活保護を受ける決断で家族と新しい一歩へ
まとめ:住宅ローンの返済に困ったら、生活保護の申請前に相談を
原則として生活保護を受けるには、資産を活用した生活費への充当が前提であり、売却を検討するケースが多くあります。ただし、住宅ローンが残っていても、条件次第では自宅を残したまま生活保護を受けられます。
住宅ローンの返済が困難になり、生活保護費を申請する前の対処法は、任意売却やリースバックなどの選択肢です。
一般社団法人 全国任意売却協会では、実績ある住宅ローン問題の専門家へ無料で相談可能です。ご相談者の状況に合わせて最適な解決策をご提案します。住宅ローンの返済や生活保護の申請に悩んだら、まずは一度お気軽にご連絡ください。
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