競売=自己破産は違う!諦める前に知るべき任意売却の概要とメリット、注意点を解説
更新日 2026-01-30
住宅ローンの返済に行き詰まり、裁判所から競売開始決定通知が届くと、「もう自己破産になってしまうのだろうか」と考える方は少なくありません。
しかし、競売と自己破産は目的も効果も異なる別の手続きです。諦めて何もせず、ただ競売が進むのを待ってしまう事態だけは避けましょう。
何もせずに競売を迎えると、市場価格より安い価格で家を失い、多額の借金が残ってしまいます。結果的に「自己破産」以外の選択肢が閉ざされてしまう恐れがあるのです。
この記事では、競売と自己破産の関係を整理し、それぞれを避けて生活再建するための解決策となる任意売却について解説します。
競売は住宅ローン滞納の最終段階
競売は債務者にとって、自宅を失いかねない最終局面を意味します。まずは競売の仕組みと、混同されがちな自己破産との決定的な違いを正しく理解しましょう。
競売で自宅を強制的に売却される
競売とは、金融機関など債権者の申し立てにより、裁判所主導で債務者の不動産を差し押さえ、強制的に売却する法的手続きです。また、所有者の意思が一切反映されない点が特徴です。
通常の不動産売却のように売却価格を決めたり、買い手を選んだりすることはできません。法的手続きとして、裁判所の権限で事務的に進められるため、拒否することも不可能です。
最終的に落札者が代金を納付すると、所有権は落札者へ移転します。旧所有者が立ち退かない場合は、最終的に裁判所の執行官による強制執行が実施され、家から退去させられます。
競売と自己破産は別の手続き
「競売=自己破産」と考える方が多いですが、この2つは目的も効果も異なるまったく別の手続きです。
- 競売:担保を売却して債権の返済に充てる手続き
- 自己破産:裁判所に申し立てて借金の支払義務を免除してもらう債務整理の一種
つまり、競売になって自宅を売却されてもローン残債が残れば支払義務は消えません。逆に、自己破産をしたからといって競売が止まるわけではないのです。
住宅ローンの債権者は、破産手続きに関係なく担保権を行使できる権利を持つため、自己破産の手続き中であっても競売は進行します。
競売から強制退去までの流れ
競売開始決定から強制退去までは、相応の時間がかかります。しかし、競売手続きは裁判所主導で進められるため、債務者がスケジュールを調整することはできません。
具体的な流れは、次のステップで進みます。
- 裁判所から競売開始決定通知が届く
- 現況調査が行われる
- 物件情報が公開される
- 入札がおこなわれ落札者が決定する
- 明け渡しを拒否すると強制執行になる
それぞれの内容を見ていきましょう。
裁判所から競売開始決定通知が届く
債権者の申し立てが裁判所に受理されると、裁判所は競売の手続き開始を決定し、不動産の所有者宛てに「競売開始決定通知」を送付します。
通知が届いた時点で、自宅は裁判所によって差し押さえられた状態です。不動産登記簿にも「差押」と記載され、所有者は勝手に不動産を売却したり、名義を変更したりすることが原則としてできません。
現況調査が行われる
競売開始決定から約1~2ヶ月後には、裁判所の執行官と不動産鑑定士などが自宅を訪問し、「現況調査」が行われます。
競売物件の価値を査定するための主な調査は、以下のとおりです。
- 室内に入って間取りの確認
- 写真撮影
- 設備の不具合がないか確認
- 居住者への聞き取り
所有者が不在であったり、調査を拒否したりしても、実際の調査を止めることはできません。正当な理由があれば、執行官には鍵業者の手配などで鍵を解錠して立ち入る法的権限があるのです。
物件情報が公開される
現況調査の結果に基づき、物件の外観だけでなく室内の写真や住所などの物件情報が一般公開されます。情報の内容は、次の3つで構成されています。
- 物件明細書
- 現況調査報告書
- 評価書
これらの情報は、競売の入札期間が近づくと、「BIT(不動産競売物件情報サイト)」や新聞などで誰でも閲覧可能です。
入札がおこなわれ落札者が決定する
購入希望者が入札を行う「期間入札」が始まり、期間終了後に開札が行われ、最も高い金額を入札した人が落札者となります。
裁判所が売却の可否を審査した後、売却許可決定を出し、確定後に落札者が代金を納付します。代金納付が完了した瞬間に、不動産の所有権は落札者へと移転し、元の持ち主は法的に自宅を使用する権利を失うのです。
明け渡しを拒否すると強制執行になる
所有権の移転後、元の持ち主は不法占拠の状態となるため、すぐに退去する必要があります。もし自主的な退去に応じない場合、落札者は裁判所に「引渡命令」の申し立てが可能です。
それでも退去しない場合は、執行官による「強制執行」が実施されます。家具などの運び出しや鍵の交換によって強制的に家から退去させられるでしょう。
競売で家を売却される3つの深刻なデメリット
競売により家を売却されると、3つのデメリットが生じます。
- 市場価格より低くなりやすい
- 退去時期などの条件交渉ができない
- プライバシーが保護されない
それぞれの内容を見ていきましょう。
市場価格より低くなりやすい
競売における売却基準価額は、市場価格の約5~6割程度と低くなる傾向です。具体的な理由は、次のとおりです。
- 購入希望者が事前に内覧できない
- 物件の状態を正確に把握できない
- 落札後の立ち退き交渉の手間がある
価格が低く売却されると、多くの住宅ローン残債が残ります。通常売却であれば減らせたはずの借金が負担となり、その後の生活再建をより困難にしてしまうのです。
退去時期などの条件交渉ができない
裁判所主導の競売では、引っ越し時期の調整や個人的な事情による交渉は原則できません。手続きは法律に基づき事務的に進行し、所有者の生活状況は考慮されないからです。
また、売却代金から引っ越し費用も捻出できません。落札者への所有権移転後は、すぐに退去を迫られます。資金を確保できないまま住居を失い、生活状況が苦しくならないように、競売が始まったら今後の対応を考えましょう。
プライバシーが保護されない
競売物件の情報が公開されると、近隣住民や職場の人に経済的な状況を知られるリスクが高くなります。
新聞やインターネット上には物件の住所や外観、室内の写真などの情報が誰でも閲覧できる状態になるため、プライバシーが保護されません。
通常の売却であれば知られることのない情報が、競売物件と知られてしまう状況は精神的にストレスとなるでしょう。また、債務者だけでなく、家族にも影響を及ぼします。
競売後の残債が原因で自己破産に追い込まれるケース
競売で自宅を処分しても、最終的に自己破産を選択せざるを得なくなるケースが多く見られます。主なケースは、次のとおりです。
- 売却後の住宅ローン残債が支払えない
- 住宅ローン以外の借入や収入不足で自力の返済ができない
- 給与の差し押さえなどで生活が苦しい
それぞれの内容を見ていきましょう。
売却後の住宅ローン残債が支払えないケース
競売の落札価格が住宅ローンの残高を下回ると、残った住宅ローンの差額は支払義務が継続します。競売は市場価格よりも低くなりやすいため、数百万円から場合によっては一千万円以上の残債が発生しかねません。
残債については、原則として一括返済を求められることが多くあります。競売では、分割払いの交渉に応じてもらえないこともあります。その結果、返済不能となり自己破産になるケースです。
住宅ローン以外の借入や収入不足で自力の返済ができないケース
住宅ローンを滞納している状況では、生活費を補うためにカードローンやキャッシングなど、他の借入も抱えているケースが多くあります。
収入が増えていない中で、住宅ローンの残債と他の借金の返済、そして日々の生活費をすべて賄うことは困難です。競売によって自宅を失うと、新たに賃貸住宅の家賃負担が発生するうえ、引っ越し費用などの出費もかさみます。
家計が赤字のまま支払負担が増えてしまい、家計が破綻して自己破産を選ぶしかない状況になりかねません。
給与の差し押さえなどで生活が苦しい
住宅ローンの残債を返済できないまま放置すると、債権者は裁判所に給与や預金へ差し押さえの申し立てを実行する可能性があります。
給与が差し押さえられると、手取り額が大幅に減少し、最低限の生活費すら確保できません。今後、自力での生活再建は難しくなり、自己破産によって借金を免除してもらうしか解決策がなくなってしまいます。
競売や自己破産を回避する手段としての任意売却のメリット
競売開始決定通知が届いても、回避する方法があります。任意売却を選択することで、競売による強制的な売却を回避し、有利な条件で自宅を手放すことが可能です。
任意売却と競売の違いを表にまとめました。
| 項目 | 任意売却 | 競売 |
|---|---|---|
| 売却価格 | 市場価格の7~8割程度 | 市場価格の5~6割程度 |
| 引っ越し費用 | 交渉次第で確保できる | なし |
| プライバシー | 保護される | 保護されない |
| 残債の返済 | 生活状況に応じた分割返済の交渉が可能 | 一括返済 |
| 退去時期 | 交渉による調整可能 | 調整できない |
任意売却では、競売よりも高く売れるため、住宅ローンの残債を大幅に減らすことが期待できます。残債が減れば、無理のない分割返済で解決できるため、競売後の自己破産を回避することが可能です。
任意売却を成功させるための注意点
任意売却は競売や自己破産を回避する有効な手段ですが、手続きを進めるうえで注意すべき3つのポイントがあります。
- 関係ある人すべてと合意がなければ成立しない
- タイムリミットは競売開札期日の前日まで
- 実績のある専門家を選ぶ
具体的な内容を見ていきましょう。
関係ある人すべてと合意がなければ成立しない
任意売却を行うには、住宅ローン契約に関わるすべての人の同意が不可欠です。物件の共有名義人はもちろん、連帯保証人や連帯債務者がいる場合は、その全員から売却の承諾を得る必要があります。
例えば、離婚した元配偶者が連帯保証人になっているケースでは、連絡が取れなかったり協力が得られなかったりして手続きが難しくなりかねません。一人でも反対すれば任意売却は成立しないため、早めの調整が必要です。
タイムリミットは競売開札期日の前日まで
任意売却ができる期間は、法律上は「競売の開札期日の前日」までと定められています。しかし、実際には買主を見つけ、債権者と売買価格の合意を得るまでの時間が必要です。
手続きには通常数ヶ月かかるため、開札期日の間際に相談しても物理的に間に合わず、債権者から許可が下りないケースがほとんどです。実務上は、期間入札の告知までに調整が必要になります。
競売開始決定通知が届いたら、一日も早く行動を開始し、専門家などに相談しましょう。
実績のある専門家を選ぶ
任意売却は通常の不動産取引とは異なり、債権者との高度な交渉力が求められます。売却後の配分案や利害関係の調整など、専門的なノウハウがなければ難しいでしょう。
そのため、一般の不動産会社ではなく、任意売却の実績が豊富な専門業者や不動産会社に依頼することが重要です。
また、自己破産も視野に入れている場合は、弁護士と連携できる窓口を選ぶと、法的な観点からも最適な解決策を提案してもらえます。
まとめ:競売や自己破産を避けるためにも早急に専門家へ相談を
競売開始決定通知を放置して時間が経過すると、自宅を失い多額の借金が残り、最終的に自己破産となるリスクがあります。
そのため、通知が届いたらすぐに行動し、任意売却へ取り組むことが重要です。競売より高く売却でき、残債を減らすことで自己破産を回避できる可能性が高まります。
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